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第二十七話 緊急召集

思ったより早く書き上げたので、本日二話目になります。


朝の前書きに書いてあった質問に答えて頂きありがとうございます。


千の位までは普通の数字で、万の位を越える場合は、漢数字にしたいと思います。



全て直すのに、少し時間がかかりますが、よろしくお願いします。


 大量の冒険者がギルド前に集まっていた。ここでギルド長、ダガンからの説明があるからだ。まだ台の上に誰も立っていないからまだ始まっていない。


 集まった冒険者は1500人で、他に冒険者もいるが、長期に渡ってダンジョンに潜っていたり、依頼で遠征に行っているパーティもいて、緊急召集を聞いていないのは仕方がない。ギルドカードを剥奪されるのは、緊急召集を聞いた後に、手伝わなかった場合だ。


 ここの国はダンジョンが三つもあり、長期に渡って探検するパーティが多いから他の国より集まりが悪いが、1500人は集まっており、警備の騎士や兵士達も含めれば2500人。

 対抗するのに、充分過ぎるの数が集まっている。


 そこに輪廻達もいた。周りの景色と違っており、異様さを放っていた。3人は周りの人に注目されている。




「ねぇ、周りに見られていない?」

「まぁ、子供1人にメイドもいるから仕方がないんじゃない?」


 輪廻はまだ11歳で、テミアはメイドの服を着ている。そこに美女が多いと言われているエルフのシエルも一緒にいるのだから、目立つのは仕方がない。

 そう思っていた時に、1500人もいたら、馬鹿も何人かいるようで…………




「おい! ガキとメイドがここに来る場所じゃねぇぞ!」


 髭面の男がそう突っかけてきた。だが、輪廻は無視をする。いくらでも、今に喧嘩を買うのは馬鹿らしいので無視することにした。

 輪廻の態度にブチ切れる髭面の男だったが、間に入る人がいた。その者はシエルだった。




「止めた方がいいわよ? 今はそんなことをしている場合ではないでしょう?」

「ふざけんな! 馬鹿にされたままで引き下がれるか! 俺は何も出来ないガキを心配してやって言ってんだぞ? だから、何も出来ないガキはここから消えやがれっ!!」


 髭面の男の言葉にピクッと輪廻が反応する。「何も出来ないガキ」と言う言葉は輪廻にとっては禁句だった。前のことを思い出すからだ。






「……テミア、今の俺がやったら殺してしまいそうだから、お前が熊を半殺しにしろ」

「畏まりました」


 輪廻に命令され、テミアが動く。その様子にシエルは「あー、あの男は終わったな……」と手を額に付けていた。




「あぁん!? 誰を半殺しすると言ったんだ? ガキだろうが、容赦はしないぞ!!」

「煩い。熊の遠吠えは山の中でやっていなさいな。モジャモジャ熊はここにお呼びではありません」

「こ、このアマがぁぁぁぁぁ!!」


 腰に掛けていた剣を抜こうとする髭面の男だったが、その剣を抜くことはなかった。




「本当なら殺したいぐらいですが、御主人様が半殺しが望みです。この程度で済むことで、御主人様に感謝しなさいな」

「……は?」


 テミアは大包丁剣を抜いており、男の足元には、1本の腕が落ちていた。そう、一瞬で右手を切り落としたのだ。






「あ……、あぁぁぁ!! 腕がぁぁぁ!!」




 遅れて痛みがやってきた髭面の男は喚く。だが、テミアがそれだけで終わらせるつもりはなかったようで…………




「屑はぶっ飛びなさいな」


 大包丁剣は背中に戻しており、拳を握って構えていた。




「ま、待っ……ブゲハラッ!?」


 テミアの拳は痛みで膝立ちになっていた男の顔にぶち込まれ、熊のような巨体を向こう側にある家までぶっ飛ばしていた。




「御主人様、お仕置きは終わりました」

「うむ、ご苦労様だったな。ご褒美は夜にやろう」

「……!! 最上級のご褒美です!!」


 テミアは蕩けるような笑顔を浮かべていた。

 だが、周りの人は顔を青ざめていた。巨体を何も強化されていない状態のままで、向こう側の建物までぶっ飛ばしたのだから。シエルは仕方がないように、説明を始めた。




「あー、だから止めたのに。2人はBランク以上の実力を持っているので騒がないようにー」


 Bランクと聞いて、ピクッと体を震わせた人が数人はいた。おそらく、自分が行かなくて良かった! と思っているだろう。









「何事だっ!?」






 ギルドからギルド長のダガンが現れた。外から騒ぎを聞いたからだろう。騒ぎの中心になっている3人が皆の視線を集めていたことと、向こう側にある建物の一部が壊れていて、脚が見えていることから、ダガンは何が起こったのか悟った。




「……まさか、殺していないよな?」

「多分ね。テミアに半殺しでやれと命令したから虫の息ぐらいはあるんじゃない? 正当防衛だし、いいよね?」


 輪廻が周りを笑顔で見ると、他の冒険者が顔を青ざめながら顔を凄い勢いで縦に振る。




「……はぁ、ここはギルドの外だから私闘したことに文句は言わないが、建物の弁償ぐらいはしておいてくれよ」


 殺していないなら、問題はないらしいが、壊した建物の弁償は必要らしい。




『御主人様、あの熊から盗んでおきました』


 テミアが念話で話し掛けていた。輪廻はその報告をニコッと笑顔で答える。




「まぁ、それは仕方がないですね。テミア、壊した建物の住民に払っておきなさい」

「了解しました」


 テミアは出て来た住民に熊から奪ったお金で払った。金貨3枚は必要だったが、熊の冒険者は稼いでいたのか、財布の中には金貨5枚ぐらい入っていた。

 これで、金貨2枚は手に入れたのだった。

 ダガンは溜息を吐きながら台に上がって説明を始めた。




「おそらく、あと半刻すれば北側からゴブリンの軍団が攻めてくるはずだ。兵士は北口の門を守り、冒険者に皆には遊撃としてゴブリンの軍団を潰してもらう。もちろん、ゴブリン、ホブゴブリンを倒した数の分、報酬が国から出る! 特に、リーダーのキングゴブリンを倒した者は金貨10枚を出すということだ!!」


 おおー!! と騒ぎ出す冒険者達。普段の依頼で、単独のキングゴブリンを倒したとしても金貨1枚になるか程度だが、今回は軍団を率いていることから、強いスキル持ちだとわかる。なので、10倍の金額が付いたのだ。




(煽るの上手いな。冒険者は高いお金が出るならほぼ全員がやる気を出し、働くからな)


 輪廻はダガンの手腕に感心していた。半刻に相手が見えてくるのだが、北側に向かっていく冒険者が数パーティかいた。

 輪廻はお金はどうでもいいが、レベル上げに持ってこいなので、自分達も行くべきか? と考える。




「2人はどうしたらいいと思う?」

「冒険者ごと切り伏せてはどうですか? 冒険者達を斬ることで、競争相手が減り、私達はレベルが上がる。まさに、一石二鳥です!!」






「「「やめろよ!!」」」






 テミアの声は周りにも聞こえたようで、皆からツッコミが入った。近くにいた冒険者の男が代表として文句を言う。




「さっきみたいな冗談はやめてくれよ!? あの戦いを見た後では、冗談には聞こえないんだから……」


 テミアの戦いには、容赦がなかったから冗談に聞こえなかったのだ。




「え、冗談ではありませんよ?」

「なお悪いわ!!」


 ジリジリと周りの冒険者は輪廻達から離れていく。次にシエルの意見を聞く。




「シエルはどうだ?」

「そうですね、まず他の冒険者が突っ込み、そこに魔法を大量に撃ち込むのは?」

「アンタもかよ!?」


 シエルの案も冒険者ごと巻き込むものだった。だが、シエルは冗談を言ったようで、口を手で軽く覆い、笑っていた。




「……ったく、3人共はどうするんだ? Aランクの冒険者もいたが、もう先に行っちゃってるぞ?」

「そうだな、適当にゴブリンやホブゴブリンに相手をしとくか。沢山いるなら、レベル上げにちょうどいいしな。……って、お前は誰なの?」

「ん、俺か。お前達と同じBランクの冒険者だ。ザイルと言う」


 さっきまでツッコミを入れていた男は、ザイルと言って、ガチガチな鎧を着ており、ハルバードと小盾を持っていた。小盾は左腕にくっついており、両手を使えるようだ。




「俺達は入口付近で戦うつもりだ。お前達はどうするんだい?」


 ザイルにも仲間がいて、ほとんどがBランクと言う。輪廻達も軽く自己紹介を終わらせ、方針を決める。




「まぁ、Bランクの冒険者が入口付近にいるなら、俺達は奥に進んでも問題ないな。もしかしたらゴブリン1体も流れないかもな」

「はっ! たいした自信だな!」

「それじゃ、俺達も行くか」




 輪廻達はゴブリン達が来るまで待たずに、こっちから北の森を通り抜けて、攻めることに決めた。







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