表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/217

第二十五話 直接依頼

いつも感想をありがとうございます。

全部読ませて頂いています!



 呼ばれた理由は…………




「まず、魔石を一日で100個集めた奴を見たかった。少年がEランクの冒険者で、1人で倒したとは言わなかったら呼ばなかったな」

「それで?」

「ああ、俺の威圧に堪えたならEランクの範疇に入らないわな。望むなら、すぐにDランクを飛ばして、Cランクへ昇格させてもいい」


 つまり、Cランクなら一日で100体を倒せる実力はあるということだ。だが、そんな甘い話の裏には何かがあると輪廻は感じていた。




「でも、それには条件があるんでしょ。時間がかかるなら断るよ?」

「ハハッ! 頭の方も働く奴だな!」


 ダガンが笑うところから、条件があるのは間違いないようだ。




「簡単なことだ。ワシから一つの依頼を請けて、クリアしてもらう。それだけだ」

「言ったでしょう? 時間がかかるなら断ると。内容がわからないのでは即答は出来ない」

「ふむ、何を急いでいる?」

「お前には関係ない」


 まだ内容を言わないダガンに少しイラッとし、軽く殺気を突き付けた。とその時に、護衛が動いた。




 ガチッ!




「ゴミがやらせるつもりはありませんよ?」


 護衛を止めたのはテミアだった。大包丁剣は既に抜かれており、殺気を出しつつ、護衛の剣を止めていた。




「なっ!?」

「屑が、御主人様に剣を向けた罰を……「テミア」……了解しました」


 輪廻の言葉に反応して、大包丁剣と殺気を納めるテミア。




 殺気に反応して、輪廻に剣を打ち込んだ護衛だったが、テミアに止められ、反対に殺されると錯覚されたのだ。もし、輪廻が止めていなかったら死んでいたのは護衛の男の方だった。


 急展開についていけなかったディアは「……はぇ?」と声を漏らしていた。輪廻とシエルは護衛が攻撃してくるのは見えていたが、先にテミアが動いていたから任せていたのだ。

 殺気を向けられたダガン本人は笑っていた。




「ハハッ! まさか、Bランクの冒険者が殺されるところだったとはな!」

「はぁっ、わざと俺を怒らせて、攻撃を仕掛けるか、殺気を飛ばせるように仕向けたんだろ? そして、護衛を仕向けて俺らの実力を見たかったってとこか?」

「当たりだ! もし、反応出来ていなかったらワシが止めていたからな」


 護衛は本気で輪廻を斬るつもりだった。ダガンにそう言い含まれていたからだ。もし、反応出来なかったらダガン本人が止めるつもりだったが、結果は反対に護衛が殺されるところだった。

 それに笑わないわけがないのだ。




「しかしなぁ、そのメイドの実力は予想外だぞ? Bランクと遜色ねぇぞ」

「言うつもりはありません」

「……ったく、お前は動かなかったが、反応は出来ていたはずだ。ならCランクじゃ低いか?」


 ブツブツと呟きながら考えるダガン。考えが纏まったのか、言い放つ。






「よし! 依頼をクリアしたら2人をBランクにしよう。どうだ?」

「だから、詳しい内容を聞いてからと言っているでしょうが」


 まだ内容を話さないダガンにイライラしてしまう輪廻。そして、ようやく内容の話に入ってくれた。




「ワシが頼みたいのは、『奈落の穴』の地下20階にいる中ボスを倒して魔石を持ってくることだ」

「は? それだけでいいのか?」


 Bランクに昇格させるには、簡単な依頼だと感じた輪廻。3人でやれば100%でクリア出来ると確信している。




「もしかして知らないのか? シエルから聞いていると思ったが……?」

「あ、まだ話してないのです。地下20階に着いたのですが、まず武器を買ってから話そうと思ったのです」

「そうだったのか。では、ワシから説明しよう」


 『奈落の穴』の地下20階にいる中ボスは少し特殊なのだと言う。

 地下20階にいる中ボスは魔鼠ネズミの1体だけではなく、他の魔物も沢山いる。他の魔物も魔鼠であり、小さい上に素早く動き回る魔物だ。

 その中から、中ボスを早めに倒さなければ中ボスだけが消えて、他の魔物だけが残る。他の魔物を全部倒せば、地下に進めるが、魔石は残らない。

 つまり、大量の鼠の中から中ボスを早めに倒さないと魔石が残らないのだ。厄介なことに、中ボスの魔鼠は他の鼠との違いが全くないのだ。

 強さも他の鼠と同じだから、剣を振れば一撃で倒せる弱さだが、大量いるため、見つけられず、時間だけが過ぎて自動的に中ボスだけが消えてしまう。だから、魔石がなかなか手に入らないのだ。

 さらに、経験値は他の魔物より物凄く少ないから、レベル上げには合わなくて、中ボスを倒せなくても、もう一回挑もうとする人がいないのだ。






「……というわけだ。やるか?」


 説明を聞き、3人だけで魔鼠を倒せるかどうか? 見分けがつかないなら、逃げられる前に全部倒せばいいだけだが、その策があるか考えている。




(……一回戦ってみないとわからんな)


 どうせ、地下20階に挑むのだから、とりあえず受けることにする。

 もし、一回失敗しても、中ボスへの入口に戻って扉を閉めれば、復活してくるからもう一回挑めるのだ。それを何回か繰り返せば、一つは手に入るだろうと考えている。




「わかった。請けよう」

「よし、一個だけじゃなくて何個か手に入ったら買い取ろう」

「いくらで買い取ってくれるんだ?」

「地下20階の魔石は希少だから、一つで金貨1枚でどうだ?」

「成る程。地下10階の五倍とは、希少なのがわかりやすいな」


 了承し、輪廻達はギルド長室を出る。




「まず、武器を調達しないとな」


 新しいナイフを買いに行くことに。出来れば、魔剣みたいな武器で壊れにくいのが欲しいが、それらはあまり売っていなくて、もしあったとしても白銀貨は必要らしい。


 しばらく歩くと、他の建物より少しぼろい武器屋を見付けた。




「あれも武器屋か?」

「そうみたいですが、客もいないですね。良かったら、私が良く行く武器屋に案内しますが……」

「……いや、掘り出し物が眠っているかもしれないな。見てみるか」


 輪廻は何かありそうだなと思い、もし何もなくてもシエルが行っている武器屋に行けばいいだけなのだ。









「おーい、誰もいないのか?」


 店の中に入るが、誰もいなかった。とその時に、上から気配を感じたから上を見てみると…………






 猫耳を付けた少女がぶら下がっていた。






 腹にはロープが巻いており、宙ぶらりんと動けなくなっていた。




「……何をしてんの?」

「ニャニャ……、見ていないで助けて欲しい……」


 猫耳の少女は輪廻達に助けを求めていた。状況から、ここの店には輪廻達以外はこの子しかいないから、宙ぶらりんになっている少女が店員かもしれないが…………




「なんで、そんなことになっているんだよ? 店員なのか?」

「ふにゃ、恥ずかしいですが、私が店長です……」


 まさかの店長だった。輪廻達は驚きながらも、話を聞き続ける。

 何故、こうなったのかは、天井を見ればわかると言われて見たら、光が漏れ出ているのが見えた。つまり、猫耳の少女は上に昇って直そうとしたが、命綱を付けたら足を踏み外してしまい、こうなったと。

 命綱は堅めに結んだため、解けず、切るものも何も持っていないから助けを待つしか出来なかったと。だが、ここに来る客はあまりいないため、運が悪かったら誰にも見付からず、ずっとこのままの可能性が高かったのだ。




「……命綱なのに、命綱に殺されるなんてな……」

「ふにゃ、助けてぇ……」


 耳をぺたんと萎れて顔を赤くして助けを請う猫耳の少女。

 輪廻は仕方がなく、助けることにした。”空歩”で上へ行き、猫耳の少女へ向かう。




「ニャッ!? 空中を歩いている!?」

「あー、魔法だから大人しくしてな」


 ナイフで命綱を切り、落ちないように”重壁”を敷いておく。




「ニャッニャッ!? 空中で立った!?」

「さて、命綱は切ったし……、面倒臭いからこうした方が早いな」

「ふにゃ?」


 輪廻は身長が同じぐらいの猫耳の少女をお姫様抱っこをして、下に飛び降りる。降りる時、少女から悲鳴が聞こえたが、輪廻は無事に地面まで飛び降りることが出来た。




「で、君が店長だよね?」

「ふにゃぁ〜、間違いないです……」


 急に高いところから降りたのが怖かったのか、まだ耳がぺたんとしていた。








「お騒がせて、すみませんでした。あと、助けて頂き、ありがとうございました。私はここの店長をやっているレミュータと言います。どんな武器を扱いですか?」


 しばらくすると落ち着いたようで、始めに出ていた猫の泣き声のような癖がなくなっていた。慌てると、無意識に出てしまうらしく、普段は言わないようだ。

 そんなことはどうでもいいように、輪廻は軽く自己紹介してから新しいナイフが欲しいと伝える。




「ナイフですか、ナイフ類は少ないですが、見ますか?」

「ああ、ナイフ類を全て見せて欲しい」


 とてとてと、奥に戻っていくレミュータ。しばらく待つと、何本かのナイフを持ってくるのが見えた。




「あの、これしかないのですが……」


 ナイフは冒険者にとっては、人気があまりないようで、剥ぎ取り用のナイフしか表に出してないらしい。ナイフの人気があまりない理由は、リーチが短くて決定打に欠ける、剣の方が使いやすいなどの理由があって人気があまりないらしい。




(はぁ、ナイフの利点を理解してないな。まぁ、人気がないと思っている奴らに教えてやる理由はないからいいか)


 輪廻にとっては、一番使いやすい武器はナイフだと思っている。敏捷が高い輪廻にしたら、ナイフは振り回しやすいし、ナイフでの攻撃は狙う場所を瞬時に切り替えがしやすいのだ。

 輪廻の前にナイフが並べられて、順番に見てみたら…………








 『邪神の加護』が発動した。








 輪廻は”鑑定”を使って見ていた。殆どは名前がないただのナイフだったが…………




(あれ、これだけに名前が付いている?)


 中に一つだけ刃が他のナイフより短いのがあり、名前が付いていることに気付いた。名前だけではなく、説明文みたいのもあったから読んでみる。




−−−−−−−−−−−−−−−


名称:紅姫べにひめ


 魔力の刃を作り出し、五メートルまで伸縮が可能になる。


−−−−−−−−−−−−−−−




(お、魔剣じゃないか! 買いたいが、魔剣だと高いんだよな……)


 とりあえず、値段を聞くことにする。




「これはいくらになりますか?」

「それがいいの? 銀貨60枚だけど、助けてもらったから、銀貨30枚に負けていいよ〜」


 銀貨30枚。魔力の刃を作り出せる魔剣がたった銀貨30枚で内心、驚愕する輪廻。




(安いな!? もしかして、このナイフの価値に気付いていない?)


 魔剣だと気付いていないなら、この金額だと納得出来る。少女は”鑑定”みたいなスキルはないのか? と思ったが、せっかく銀貨30枚で買えるのだから、黙っておく。




「お、半額にしてくれるのか? なら、買うわ」

「毎度ありがとうございました!」




 こうして、輪廻は新たな武器、紅姫を手に入れたのだった…………







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ