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第二十四話 ギルド長



 輪廻達は余裕で地下20階まで行き、中ボスは戦わないで、転移の魔道具を使って1階に戻ったとこだ。

 何故、地下20階の中ボスに挑まないのかは、ナイフが一本、ガタにきているのがわかったから探索を切り上げたのだ。




「あれだけ斬っていたら、ガタが来るのは当たり前か」

「確かに、このナイフで中ボスと戦ったら折れていた可能性が高いわね」

「でも、御主人様のレベルが結構上がっているのでいい結果になっているかと思います」


 そう、ナイフにガタが来るまでは様々な魔物を斬ってきたからレベルも上がったのだ。

 輪廻のステータスはこうなっている。




−−−−−−−−−−−−−−−


崇条輪廻 11歳 男


レベル:16

職業:暗殺者

筋力:600

体力:650

耐性:400

敏捷:1150

魔力:1000

魔耐:500

称号:邪神の加護・暗殺の極み・冷徹の者・魔族を虜にした者

特異魔法:重力魔法(重壁・重圧・重球)

スキル:暗殺術・隠密・剣術・徒手空拳・身体強化・鑑定・隠蔽・魔力操作・言語理解

契約:テミア(魔族)


−−−−−−−−−−−−−−−




 敏捷と魔力が1000台に入り、ここまでの魔物では相手にならないステータスになっている。




「よし、まず大量の魔石を売ってからナイフを買いに行くか」


 テミアとシエルの持つ鞄には大量の魔石があり、このままで買い物をするには邪魔なので、先にギルドで魔石を売りに行くことに。

 2人が輪廻に荷物を持たせなかったから、ナイフをさしたホルダーだけ。2人ばかりに持たせるのは悪いんじゃないかと思ったが、戦うのは輪廻だけで、2人はやることがないから荷物ぐらいは持たせて欲しいと言われては仕方がないだろう。






 ギルドに着いて、換金することに。




「あのー、すみません」

「あら、主従コンビとシエル様ではありませんか?」


 出てきたのは、この前、換金した時にいた受付嬢だった。




「主従コンビ?」

「はい。お二方の名前を聞いていないので……」


 輪廻も自己紹介をしていなかったことに気付いた。とりあえず、自己紹介をすることにした。




「俺は輪廻、メイドはテミアな」

「はい。御主人様と愉快な仲間達+ペットのパーティになります。ちなみに、年増エルフはペット役になりますがね」

「酷っ!? そこは愉快な仲間達に入れてよ!!」


 受付嬢はテミアとシエルのやり取りに苦笑してしまう。




「ふふっ、あの2人は仲が良いですね。あ、私はディアと言うね」


 ディアは人間で、特徴はあまりないが、いつも微笑を浮かべている女性という感じだ。




「そうですね。あ、魔石を換金してくれる?」

「あら、ダンジョンの魔物を倒したの?」


 2人に持たせていた全ての魔石を出した。




「また、多いのね。Bランクのシエル様がいたからかな?」

「いや、全ては少年が今日だけで倒した奴だから」

「…………えっ?」


 シエルの言葉でカチリッと固まるディア。シエルの言葉が他の人にも聞こえたのか、周りの人もギョッとして、輪廻を見ている。

 魔石は見ただけでも100個は超えている。さらにこの中で大きな魔石が1個も混ざっている。

 つまり、輪廻だけで魔物100体以上を倒したと言うことになるのだ。




「嘘でしょ!? 輪廻様は後ろで2人に指示を出しているとかじゃなかったの!?」

「あー、もしかしてこの前の素材を換金していた時もテミアが全て倒したと思っていたの?」


 そうではなかったら、あの時の反応が薄かった理由がわからない。

 ディアはうんうんと頷いているが、ギルドカードを見せれば、今日で倒した魔物の数がわかる。それが本当のことなのか判断出来る。




「……本当だ、まだEランクなのに?」

「少年の実力は見た目通りじゃないから。というか、私でも勝てるかわからないよね……」

「えぇっ……マジですか……」


 さらに、Bランクのシエルでも勝てるかわからないと言っていて、ディアは驚愕ばかりだった。




「ねぇ、魔石の換金はまだ?」

「あ、すみません。今から持って行きますので、しばらくお待ち下さい」


 慌てて裏に向かうディア。待つ間に、何をしようかと考えていたら、すぐにディアが戻って来るのが見えた。






「すみません! ギルド長が話をしたいと!」

「はぁ?」


 すぐに戻ってきたと思ったら、ギルド長と会って話をしたいと言われた。何故、ギルド長に会う必要があるのかわからなかった。




「何故?」

「それは……」


 ディアの話では、大量の魔石を裏に行っていたら、たまたまギルド長に会って輪廻のことを話したらしい。そしたら興味を持ったようで、ギルド長が話をしてみたいと。




「はぁ……、もしかして、俺はギルド長に興味を持たれるようなことをした?」

「自覚はないのね……、これだけの魔石を持ってきて、中に一つだけ中ボスクラスの魔石があったのよ。それらはまだ小さい子供でEランクの冒険者がやったと聞いてもギルドカードを見ない限り、信じられないことなのよ?」

「そうなのか……?」


 それならギルド長に呼ばれるのはありえることだと理解出来る。だが、輪廻は出来れば避けたいことだと思っている。

 何故なら、もしギルド長が強くて有名な人だったら”上位鑑定”を持っている可能性がある。




「……シエル、ギルド長に会ったことは?」

「いえ、ないです。少年程に凄いことをしていたわけじゃないからね」

「おい、これが異常だと思ったなら教えてくれよ……」


 輪廻も自分から聞かなかったから、自分も悪いと思うが、今はどうするか悩んでいた。




(…………悩んでも仕方がないか? 断れるとは思えないし)


 たかがEランクの冒険者がギルド長の誘いを断れるとは思えなかったので、仕方がなく受けることにした。




「はぁ、わかりました。換金の後でいい?」

「はい。それでもいいですよ」


 先にお金を貰っておく。もしかしたら、ギルド長と話をして、すぐに逃げる可能性もあるのだ。どんな人がギルド長なのかわからないが、荒業で上に立つ者が弱いのは考えられない。




「はい、お待たせました。銀貨43枚と銅貨28枚になります。詳しい内容を聞きますか?」

「いや、いい」


 魔石は良質から劣化まであり、良い魔石ほど高くなる。シエルから中ボスの魔石は最低でも銀貨20枚になると聞いている。 つまり、中ボスを倒せば宿の10日分は稼げるということだ。




「では、ギルド長室に案内致します」

「武器を持ったままでもいいの? ギルド長は偉い人なんだよね?」

「はい。魔法があるこの世界で、武器を預けても魔法を使われては意味がありませんからね。そして、ギルド長本人は強いですし、一応警護する人もいます」

「成る程」


 3人はディアに着いていく。と、ギルド長室まで歩いている時に、ディアから質問があった。




「えぇと、失礼ですが、輪廻様は本当に11歳なんですか?」

「え、ギルドカードにも11歳と明記されているでしょ? もしかして、11歳より低い歳だと思うの?」


 輪廻は11歳の中では身長が低い方なのだ。本当は小学5年生なのに、たまに小学3、4年生に間違われることもあった。




「何と言うか、見た目は少年で11歳より小さいと思いますが、中身が大人っぽいので少し違和感が……」


 中身が大人っぽいので、見た目と違って違和感を感じているようだ。ここでは前の世界にいたと違って、猫を被ってないのだから、そう思われても仕方がないのだ。




「あー、皆からそう言われているね。あ、あそこがギルド長室でしょうか?」

「あ、はい」


 他の扉と違って、少しだけ立派に造られているので、すぐにわかった。

 ディアは扉にノックして向こうの様子を伺う。




「入りなさい」

「はい、皆様どうぞ」


 扉を開けると、2人の人間がいた。1人はソファに座っており、服はスーツだった。もう1人は後ろで待機していた。おそらく、座っている男がギルド長で後ろに立っている男は護衛の人だろう。




「急に呼び付けてすまなかったな。ワシがギルド長のダガンと言う。後ろの男はワシの護衛だから気にしなくていい」


 ダガンと自己紹介した者がギルド長で、歳は40代辺りだと感じられた。鑑定を使っていないが、強いのはわかった。威圧感が他のより強く、様々な経験をしてきた自負がある。




「いえ、招待をありがとうございます。俺がパーティのリーダー、輪廻です。メイドがテミア、もう一人はシエルと申します」


 輪廻が纏めて紹介して、2人は礼だけをする。




「ほぅ、まだ少年なのに、丁寧だな。貴族と言われても違和感がないぞ」

「いえ」

「では、ソファに座るがいい」


 ソファに座るように、薦めるが、座るのは輪廻だけ。テミアとシエルは座ろうとしない。




「御主人様はお座り下さい。私は護衛と同じように立っております。年増エルフは…………床におすわりしなさいな」

「私は犬じゃない!! まさか、ペットのネタをここまで引っ張るとは思わなかったわよ!?」


 ここはギルド長室なのに、テミアはいつも通り、シエルに毒を吐いていた。シエルも大きな声を出していたことに気付き、顔を赤くしてソファの後ろで黙って立っていた。テミアもしれっと輪廻の斜め後ろ横に位置する場所に立つ。




「楽しそうだね……」

「はい。楽しいです」

「私は楽しくないよぅ……」


 この時、シエルが憐れだと思う輪廻だった。




「ハハッ!! ワシの前でも自然体でいるんだな!」

「だったら、その威圧を引っ込めてくださいよ? ディアが可哀相です」

「おっと、すまない」


 輪廻に言われて、気付いた。扉の前で動けないまま、身体を震わせるディアがいることに。




「怖がらせてすまなかったな。下がるか?」

「い、いえ! ここで待っています!」


 戦闘に出たことがないディアにはダガンの発する威圧に動けなくなるのは仕方がない。だが、ディアは受付嬢としてのプライドからなのか、ここに残ると言っているのだ。話が終わった後に、輪廻達を受付までに送る仕事が残っているからだ。


 もし、機密の話をするなら下がる必要だが、強制退場させないのは、今回は機密の話ではないからだ。


 ダガンは威圧を引っ込めて、ディアはホッとして扉の側で待つ。




「それにしても、Bランクのシエルはわかるが、まだEランクの二人が威圧に堪えるとはな」

「人は見た目じゃないと言った方がいいかな?」

「ククッ、確かに子供らしくないな。どうやってその精神を手に入れたのか気になるな」

「それは本題ではないでしょう? さっさと本題を聞かせて下さいよ?」


 輪廻は一応、丁寧に言っているが、場合によっては暇じゃないから、さっさと話せと言っているのと変わらなかった。

 後ろに立っていた護衛の眉が動いたが、何も言わない。




(ふむ、護衛はこっちが何かしない限りは動くなと言い含められているかもな)


 わざと急がせるような言い回しを使って護衛の反応を伺ってみたのだ。




「面白い奴だな。まぁいい、本題に入らせて貰うぜ」


 ギルド長が輪廻達を呼んだ理由をこれから話すことになった…………







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