第二百四話 テミアの試練
久しぶりです。
遅くなり、すいませんでした。続きをどうぞ!
ヘビモスを倒す。テミアの母親であるベルゼミア・アルデウスから出された試練の1つだ。ヘビモスは魔界にしか存在しておらず、伝説の魔物と呼ばれており、レベルは400。それに対して、テミアのレベルは289。ここまで、万に近い魔物を倒してきたが、ヘビモスには全く届いてはいない。だが……
「“爆砕剣”……やはり、傷1つはありませんか」
レベル差などは気にしたことはないというように、あっさりと攻撃を加えていた。
ヘビモスは『超越者』であり、ステータスの10万以下では相手にならないが……テミアは既にオール10万まで届いており、『超越者』になっている。それでも、傷1つは付けられていなかった。
「耐性と魔耐が20万を超えているので、その程度では傷1つは付きませんよ?」
「わかっていますよ! お母様は黙っていてください」
ヘビモスとは、世界で一番硬い魔物と魔界では有名な話だ。青龍王は聖獣枠なので、外すとして……、筋力だけ14万で、他はようやく10万を超えたテミアでは、傷を1つでも付けるのは難しいだろう。
ステータスだけでは難しいなら――
「“瘴気武装”」
テミアには、1段階のパワーアップがある。それが、“瘴気武装”であり、両手に普段の瘴気よりも濃い魔力で生み出された、瘴気を集中させ、筋力を上げられる。そして、“瘴気武装”でパワーアップしたテミアのステータスはこうなっている。
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テミア(魔族) ???歳 女(瘴気武装中)
レベル:289
職業:魔王・メイド
種族:魔瘴族
筋力:146200(219300)
体力:104620
耐性:103750
敏捷:134150
魔力:108450
魔耐:110370
称号:病の魔族・珍魔族・毒舌家・破壊魔人・愛に走る者・掃除者・メイドの鏡・パワー系メイド・魔王・超越者
魔法:水魔法(水刃・水遁弾・再水・水蛇・時雨・鏡花水月・魔獄水召・水龍・水之理・八王水龍)
スキル:魔王威圧・魔物支配・瘴気支配・瘴気変化・魔力操作・上位鑑定・上位隠蔽・集中強化(武神・神硬・神速・幻融)・状態異常無効・念話・言語理解
契約:輪廻(人間)
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これで、筋力だけ21万になり、これでヘビモスの身へ攻撃が届くようになった。
「ゴォォォォォォォォ!!」
「あらあら、向こうも強化されているみたいですよ? 流石に素のステータスでは受け止められないと判断したわね」
「なっ、に、24万……」
ヘビモスも強化されたテミアの様子から、警戒されたのかヘビモスが持つ硬化のスキルをいくつか発動され、さらに突き放してきた。
「……いえ、あの龍みたいに『不壊』がないだけでも、マシでしょうね」
青龍王が持っていた特性、『不壊』は今のテミアでは、破壊することは出来ない。それをヘビモスが持っていないだけでも、マシだと考えていた。3万の差ぐらいなら、自分が持つスキルを上手く使えば勝ち目はある。だからこそ、ベルゼミアはテミアの試練の1つとして設定したのだ。
「時間はかかるでしょうが、必ず殺して見せましょう!!」
「ゴオオオオォォォォォ!!」
まず、ヘビモスが動いた。ヘビモスの全長は30メートルを超える。今まで戦った魔物の中でも、そして蟲王よりも大きい。ステータスだけではなく、体重も桁外れであり――――
「クッ! 地面が割れて!!」
一歩動いただけでも、足場が揺れたり割れたりするので動きにくい。テミアは瘴気を使えば、空に浮くことは出来るが、身体が大きい、振り回す規模が広い相手には悪手だとわかっている。だから、浮くこともせずに我慢して足場の悪い地面で戦う。
「あの巨人みたいに死んで貰う!!」
3万の差があるが、小さな傷ぐらいは作れる。瘴気のナイフを飛ばして、隙だらけの脚へ1つの傷を作り、その傷へ瘴気を潜り込ませる。そうすることで、体内で魔力暴走を誘導させることが出来る。そうして、魔王の幹部だった巨人のトトを倒したのと同じやり方で殺そうとした……
「なっ、瘴気が!?」
体内に潜り込ませた筈の瘴気の気配が消え去ったことに、テミアは驚きを隠せないでいた。
「当たり前です。レベルの差を考えなさい。そして、魔力もヘビモスの方が上ですよ?」
「…………」
テミアは忘れていた。ヘビモスのレベルは400で、ステータスも耐性、魔耐が圧倒的に高いが、他のステータスも15~18万と高い。
「そして、敏捷も……「ぐっ!?」遅かったですね」
ベルゼミアのアドバイスを言い切る前に、巨体では有り得ない敏捷の高さでヘビモスは前足の振り回しでテミアは吹き飛ばされていた。身体全体を動かすのは、敏捷の高さを持っても体重があるから、10万には届かない速さだが、片足だけならステータスの数値通りとなっている。
「“水龍”、“再水”!」
吹き飛ばされたテミアは“水龍”でヘビモスの追撃を牽制し、その隙に“再水”で防御して折れた両腕を回復していた。
「忘れているのね……」
「な、何がですか」
「貴方は魔瘴族」
「?」
ベルゼミアが言いたいことがわからず、眉を潜めるテミアだが、話している場合ではない。ヘビモスがこっちへ来ているので、それに対応しなければならない。全神経をヘビモスに集中しているので、後から続いたベルゼミアの言葉は聞いていなかった。
「気付きなさい。貴方は魔瘴族であることに……」




