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第百九十八話 対最強




 召喚者達が準備した戦闘場へ引き込まれた、襲撃者であるクレアだったのだが……、その顔は笑顔を浮かべるだけで、悲壮、怒りなどの感情はないように感じられた。


「わざわざ、私の為に準備したみたいだけど……、この程度で『最強』を討ち取れると思わない方がいいわよ!」


 追尾機能がある、爆発する“フリスビー”がクレアの周りを埋め尽くすように浮かべ、目の前にいる啓二達へ突撃していく。


「ふん! 彼方、あと何分掛かる!」

「あわわ、あと5分です!」

「よし、予定通りに動くぞ!! 裕美、勲! 着いて来い、『仲間意識』、『全魔変換』!!」


 啓二は早速、ステータスの数値を大幅に上げ、『全魔変換』で筋力と俊敏が魔力の数値分だけ上がっていく。啓二は蟲王の時から力不足を嘆き、精霊王の件が終わった後はダンジョンへ潜っていた。勿論、裕美と勲も一緒だ。そのお陰で、筋力と俊敏だけは6万近くまでに上がっていた。

 何故か一緒のパーティに入っている彼方に指示を出し、前から予定していた陣形で絢パーティに彼方の守りを任せ、啓二パーティは攻めると。召喚者より少し力が劣るゲイルは啓二達をサポートする動きで下がっていた。


「へぇ、前より少し強くなっているみたいだけど、この数は捉えきれないだろう?」

「そっちこそ、俺達を舐めるな! 裕美!」

「は~い、『迷走誘導』」


 裕美がスキルを発動すると、突然に向かってきたフリスビーが変な方向へ向かい始めた。追尾機能があるのに、敵へ向かわずに逸れていくのだ。逸れた先には結界がある壁、そして、一部はクレアへも向かっていた。向かってきたフリスビーだけ消したので、クレアはダメージを受けることはなかったけど、驚いている様子を見せていた。


「あら? 追尾機能が働かなかった? 何をしたのかしら?」

「敵にそれを教える訳ねぇだろ! オラッ!」

「あはっ、そうよね」


 白いオーラを纏った拳をクレアに叩き込む啓二だが、あっさりとけん玉に止められてしまう。一発だけで終わらず、連撃を繰り出していくが……


「速いけど、読みやすいわよ?」

「クソ! 勲!」

「はいよ、ケイたん! 二歩後ろ、一歩横!」


 勲は少し未来を見ることが出来るので、最適である動きを指示して、自分もクレアへ攻撃を仕掛けていく。


「か弱い女の子に酷いことをするのね?」

「何処がか弱い女の子だ!? あっさりと止めやがって!」

「“フリスビー”を忘れていないか?」


 2人で仕掛けているが、それでもクレアへ傷1つも付ける事もできず、反対に反撃されそうになってしまう。


「『迷走誘導』!」

「あら、また逸らされたわね……でも、これならどう?」

「っ!?」

「やらせん!」


 さっきまでは裕美が“フリスビー”の攻撃を味方から逸らし続けたが、いくつかの攻撃が『迷走誘導』の効果を受け付けなくなり、そのまま裕美へ向かおうとしていた。だが、裕美の前にゲイルが前に出て、カイトシールドで爆発するフリスビーを受けていた。守りのスキルも使っていたので、大きな怪我を負うことはなかったが、カイトシールドはもうボロボロに成り果てていた。


「たった数発で盾を壊されるとは!」

「私の力を知っているでしょ? 余計な怪我をする前にここから消えた方がいいわよ?」

「貴様、余所見をするとは、余裕だな!?」

「実際にも、余裕だもの」

「何故、私のスキルが効かない……?」


 クレアは2人が繰り出す猛攻にも余裕で裁きつつ、視線はフリスビーを受け止めたゲイルへ向けていた。裕美も『迷走誘導』で逸らし続けることが出来ていたのに、数発のフリスビーに対しての効果を消されたことに疑問を浮かべていた。


「そんなの、私の力が貴方の力を上回っているのだから。私自身が操作をせずに追尾機能だけど動いていたから、逸らすことが出来たのよ。でも、さっきは数発だけ、私の意志によって動かしていたから、スキルの効果を打ち消したってわけよ」

「……本当に余裕みてえだな」

「さっき言ったけど、余裕よ。傷1つも付けられていないのだから」


 裕美が呟いた疑問にあっさりと答えるクレアに青筋を浮かべて睨む啓二だったが、その威圧も風の余所程度にしか感じていなかった。


「私は別に『超越者』でもないのだから、この程度は付いてこれないとね」


 クレアはそういい、いつの間に後ろへ回り込んでいたゲイルの攻撃を避け、ゲイルの後ろを取って、蹴り飛ばしていた。


「ぐっ!」

「ゲイル、貴方のステータスは1万もないでしょう? なんで、逃げないのかしら?」

「く、当たり前のことは聞かないで下さい! 貴方と冒険をした時は、強い相手にも向かっていた。それと同じことで、貴方は私の憧れだった!! だから、そんな組織から助け出したいと思うのはおかしなことですか!?」

「ふふっ、そうね。私はいつでも強い相手にも下がらなかった。でもね……」


 そういいながら、自分の意思で操作された“フリスビー”が全てゲイルへ向かって行く。啓二達が間に入って、ゲイルを守ろうとするが、数が多くて爆発に飲み込まれてしまう。




「それは力があったから。それがわからないのはまだ子供である証拠よ」




 まだ続く爆発に周りにいる兵士達に動揺が浮かぶが……、啓二から聞かされていた召喚者達は違っていた。切り札・・・・があることを知っている召喚者達は動揺していなかった。




 爆発の範囲が大きいことに気付いたクレアは眉を潜めていた。




「……そう、次の手を繰り出していたのね」

「あ、貴方を、止めますぅぅぅぅぅ」




 クレアは攻撃を止め、漂う煙が晴れるのを待つと……なんと、啓二達は無傷の姿で現れたのだ。それをしたのが――――


「おいっ! 助けてくれたのはいいが、俺の後ろに隠れるなよ!?」

「だ、だって、怖いからぁぁぁ……」




 啓二の後ろに隠れる彼方であった。







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