閑話 他のクラスメイト
今回はちょっと短いです。
クラスメイトの様子を書きました。
輪廻と英二達が旅に出ている頃、クラスメイトの方では…………
午前の訓練で、皆は外にいた。いくつかのグループが集まっており、訓練しているグループ、休憩でだべっているグループ、指導員に質問するグループなどに別れていた。その中、休憩でだべっているグループでは…………
「なぁ、英二達だけで旅に出るのは狡くねぇ?」
一日目にローブを被った男に取り押さえられた男が、そんなことを呟いた。
「輪廻を追い掛けるために、旅に出たと聞いたが別に英二が行かなくてもいいよな。英二は勇者なんだから、普通はここに残ったりするんじゃねぇのか?」
「確かに、そうだよな……」
近くにいたクラスメイトも同意する。
「でも、旅は危険だと言っていたし。4人はクラスメイトの中でも上位に位置するから大丈夫と判断されたじゃないの?」
近くで聞いていた女性がそんなことを言う。
「だからと言っても二大美女である晴海も行くこともないだろ……、明日から何を見て生きて行けばいいんだよぉ……」
晴海のことが好きだった男は晴海がいなくなって嘆いている。
「……ったく、嘆いてないで他の人にしとけばいいだろ。晴海がお前に見向くわけないしな」
「クソォォォ!! リア充爆発しやがれぇぇぇ!!」
「リア充ねぇ、このクラスで付き合っていた人はいたっけ?」
「……いないな。なんて、寂しいクラスだよなぁ」
「確かになー」
このクラスでは、珍しく男女関係に発展した人はいないのだ。
「いや、いた。と言っても片思いだけどな」
「あー、絢のこと?」
「絢が輪廻を好きなのは周りにバレバレなのに、輪廻君は気付いてなかったっぽい」
「お姉さんみたいに思っているとかー?」
「そうそう。始めはお姉さんらしく振る舞って、そのうちに好きになっていたよね。始めにお姉さんらしく振る舞ったから恋愛対象から外されたかもね」
「うわー、それは自業自得だねぇ」
いつの間にか、女性達が集まって恋愛話になっていた。
「確かに、惚れるのは仕方がないと思うよ? 輪廻君って、まだ小学生なのに大人っぽいし、訓練の時は凄かったしね」
「あと、文字をもう覚えていて本を読んでいたのも驚いたわね」
「運動も勉強も出来て、さらに美形だよねっ!? 将来は期待出来るわよね?」
「うんうん、あの夜行は変人だったけど、輪廻君はそれ程に変人ではないし、将来は有望だね。今の内に囲っておくべき……?」
「確かに……、他のクラスメイトよりいい男なのは間違いないわよね。輪廻君は年上でもイケる口かな……?」
「あらあら、絢のライバルが増えそうわね……」
キャッキャッと話し続ける女性達の声が周りにも聞こえ、男達から黒いオーラのような物が出ていた。
「……リア充死すべき」
「小学生に負けている俺達って……」
「言うな! 虚しくなるぞ!」
「これが輪廻じゃなくて英二とかだったら決闘でも挑むんだが、相手が輪廻じゃね……」
「小学生に負けたら恥ずかしくて死にたくなるし、万一に勝っても小学生相手にみっともないと言われそうだな……」
「どっちも地獄じゃねぇかよっ!?」
だから、男達は陰口でリア充爆発しろとしか言えないのだった。もし、輪廻がクラスメイトだったら話が違っていたかもしれなかったが…………
「おい! 休憩は終わりだ! これから俺と一対一で試合をするぞ」
「は、はい」
「声が小さい!!」
「「「はい!」」」
ゲイル隊長から変わって指導員になったナザド副隊長が声を上げる。ナザド副隊長はいわゆる体育会系のような男で、厳しいのだ。
このように、クラスメイト達は扱かれていくのだった…………
絢のライバルがクラスメイトから生まれるか?
続きを楽しみに。




