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第百九十五話 第二の標的

まだ輪廻の出番はありませんが、続きをどうぞ~。




 ディオとガラードは数人の護衛を連れて、セイオリック天聖国へ戻っていた。街から数時間しか離れていなかったが、既にロスディ・クリアは街から出て行った後だった。ある被害を残して――――




「一足、遅かったですね」

「ワシらの街が……」


 結界の魔道具があった地下、その地上が括り抜かれたような大きな穴に成り果てていた。周りにあった建物は酷い被害を残しており、避難をすぐ決断して良かったと思える程に。


「何を求めていたかわかりませんが……、ガラード殿。地下には結界の魔道具以外に、何が隠されていたのですか?」

「ワシは何も聞いておらん……、奴らは街を破壊したかっただけではないのか?」

「それでは、他の場所に被害が無いのがおかしいと思われます。特に、地下が一番被害が酷いのが見受けられますので、地下に何かがあったと考えるのが適切だと思います」


 被害があるのは、地下があった箇所だけで離れた場所に建ててあった城は無傷。むしろ、あのテロリストに占拠されたのに、この被害だけで済んで良かったと考えてもいいだろう。相手の目的はわからないままだが……


「しかし、あの竜が偽者だと思わなかったな……」

「いえ、少し違うでしょう。アレは、本物に近い偽者・・・・・・・と言うべきでしょうね」

「最初、そう言っていたな。急いでいたから説明を省いていたが、教えてくれるか?」

「そうですね、あの人形と竜の軍団はある者の魔法によって作られた存在だと話しましたね?」


 ディオは街の人を護衛した後、すぐガラードの元へ向かい、先程の軍団の正体を簡潔に話したのだ。そして、ここへ転移で確認の為に戻っていたのだ。


「精霊王ファステアの特異魔法だと、書物に残されていました。詳細はわかりませんが、本物に近い偽者を生み出すことが出来ると」

「書物にか?」

「ええ、魔王様は慎重な人でしたので、危険な敵になりえる相手の情報を集めていて、その中に精霊王ファステアも入っていました。百年前に封印された王ですが、解放されてしまう可能性を考え、数少ない情報を私が纏めておりましたので」

「そうか。危険な相手なのか?」

「ええ、1人でいくつかの軍隊を創り出せる化物です」


 どんな魔法かは曖昧な情報でしか知らないが、精霊王ファステアは普通なら両立出来ない筈の基本魔法と特異魔法を使い、基本魔法は完全に極めており、特異魔法は軍隊に勝る能力を持つ。本物に似た偽者を大量に生み出せて、自由自在に操る。その力があって、精霊の中でただ1人の王と呼ばれていたと。


「その敵はあの子達に任せるしかありませんね。称号、『超越者』を持っていると情報に残っていましたので」

「くっ、また子供に任せるしかないのか!?」

「貴方が『超越者』の称号を貫ける程に強いなら問題はありませんでしたが、数日でそこまでの力を得るのは不可能ですね」


 ここにいるガラードと護衛達は人間の中でも、強者と言える強さを持つが、『超越者』を持つ者は一、二段上どころか、凡人には届かない頂にいる。あるステータス以下の攻撃を無傷で済ませる化物には、同じ化物をぶつけるしか方法がない。


「皆の力を合わせて、一点に集中すれば……」

「アレは、あの子達だから出来たことですよ。最低でも、五万に近いステータスを持つ数人が集まらないと、掠り傷1つも付けられないでしょう」


 ガラードはテミア達が力を合わせて、蟲王の羽を突き破っていたのを見ていた。だが、それも十万に届かなくても、最低でも五万ぐらいのステータスが数人でやって、やっとダメージを与えられるのだ。

 ここにいる人でやっても、ダメージを与えられないだろうとディオはハッキリと言う。


「そうか……」

「今は、調査を進めておきましょう。何かがあればいいのですが……」


 世界の全てを敵対する組織が、わかりやすい何かを残すとは思えないので、あればいいなと思う気持ちで調査をしていくのだった。














 別の街にて、1つの建物から轟々と煙と炎が立っていた。その側に立つ一人と、倒れている者が数人。立っている者は、ポンポンと音を建てながら燃え上がる建物をじっと見ていた。


「綺麗に燃え上がっているね。そう思わないかい?」

「き、貴様、なんで……」

「なんで? そりゃ、敵だからに決まっているでしょう?」


 倒れている者はこの街で偉い人であり、ある物を大切に預かっていた人物であった。だが、血塗れで倒れており、周りにいた護衛の者は既に事が切れている。


「貴方も運が悪かったね。あんな物を預かっていなければ、狙われることはなかったし」

「ふ、ふざ、けるな! ティミネス、王国にいる召喚者から預かった物を壊すとは!!」

「転移が出来る魔道具、作った召喚者は凄いよね。今まではこれみたいな使い捨てではない転移の魔道具を作り出せる人なんて、いなかったしね」


 襲撃者は召喚者が作った転移が出来る魔道具を壊しに来ていたのだ。そう、その襲撃者も『ロスディ・クリア』のメンバーであり、1人だけで玲子からの指令をこなしていた。


「そろそろ、人が集まって来そうだから、バイバイするね」

「っ!」


 もちろん、まだ生きていた人にトドメを刺すの忘れない。襲撃者がロスディ・クリアのメンバーであるのを誰も知らない。だから、簡単に潜入できて、最小の戦闘だけで偉い人が預かっていた魔道具を破壊する事が出来たのだ。召喚者が作った転移の魔道具を壊すと言う指令をこなすには、まだ誰も自分が敵であることを悟られない方が動きやすいので、顔を見られた人を生かすにはいかない。




「ごふっ!」

「……これでよし。次は――――あそこね」


 襲撃者はトドメを刺した後、玲子から貰った魔道具を使い、次の襲撃地点へ向かうのだった――――









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