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第百九十四話 地下へ向かう者

はい、続きをどうぞ!



 セイオリック天聖国を手に収めたロスディ・クリアには三人の主格が集まっていた。


「おつかれさま~」

「ふん、この時代も人間は碌な奴もいないな」

「そう言われちゃ、人間の俺達は返答に困るぜ」


 三人の主格とは、ファステア、エルネス、ファムド。その三人はセイオリック天聖国で一番高い建物、城の頂点で集まっていた。街の外では大量の人形と竜が待機していたが――――


「まぁいい、こいつらは用がないな」



 パリリリィィィィィィッ!



 ファステアが指を鳴らすだけで、大量にいた人形と竜の軍団が一瞬にて、数体を残してヒビが入って、割れていった。大量の人形と竜は、ファステアが魔法で作り出したデコイなのだ。


「一瞬で消えるような存在なのに、あれで本物なんだよな」

「すごいまほうをもっているね~」

「お世辞はいらん。さっさと準備を始めるぞ」


 ファムドが気になることを言ったが、ファステアはどうでもいいと言う様に、準備を始めろと急かす。


 今回、セイオリック天聖国を手に入れた理由は、ここにも隠されていた封印があることを玲子は掴んでいたのだ。そして、その封印を解く為に、この三人を遣わされていたのだ。その三人は隠されていた地下へ向かい、階段を降りていた。




「やはり、人間は愚かだ。この街だけにある結界の意味を穿き違えている。ここが出来た年に、作った理由に気付いていないとはな」

「きづいたれいこはすごいね~」

「確か、ここを作った理由が東の地から襲ってくる魔王の軍隊を押し留める為だったか?」


 冒険者だったファムドもこの街が出来た理由が、その話だと聞いている。だが、実際は違っていた。


「では、この街が出来た年は?」

「む? そこまで詳しく知らないが、魔王が現れてからじゃないのか?」

「まおうは200ねんまえだっけ? あらわれたのは~」

「500年前だ。この街が出来たのは」

「はぁっ?」


 魔王が200年前に現れたが、この街は500年前からあると? つまり、この街は魔王が現れる前から作られていたということになる。


「待てよ、この街は外敵から守る結界があることから、魔王の襲撃ではない何かの別に対しての襲撃が前からあったって訳か?」

「ふん、その通りだ」


 なんと、このセイオリック天聖国は500年前からあり、魔物を弾く結界の魔道具もその時代に作られていた。そして、魔王ではない敵と戦っていたのも、初めて知った。しかし、腑が落ちないファムドは質問を続ける。


「でも、それが歴史に残らなかったのか?」

「ここのおうさまとか? ふういんがあるなら、はなれなかったとおもうけど、しらなかったのかな?」


 何が封印されているか知らないファムドとエルネスだが、紅い月に封印されていた化物を見た後では、大体は予想できる。その封印に似たような物がここにあるのを、一番偉い王様であるガラードが知らないで、あっさりと捨てたことに疑問を持っているようだ。知らなかったということは、封印のことを歴史に残していなかった可能性が高い。


「簡単な事だ。あの封印の情報を消し回った奴がいることだ。むろん、我ではない」


 精霊王ファステアは封印の件には関わっていない。時期的には精霊王ファステアにも出来そうだったが、自分で否定していた。ちなみに、ファステアが封印されたのは、100年前であり、他の王と比べると最近のことだ。


「しかし、れいこはどうやってみつけたのかな?」

「消し回っていた奴も、万能ではなかったようだ。たまたま、見つけた情報から推理して、アルトと言うゴーレムに確認させたと言っていたな」

「そのアルトに封印を解かせれば良かったじゃないのか? わざわざ、魔法で人間達を追い出したりして」

「追い出したのは、他の理由があってのことだ。それに、アルトでは鍵を持っても、条件を達せなかったと言う」

「つよいあるとでも? てあちゃんなら、できるの?」

「てあちゃんと呼ぶではないぞ! 何回言えばわかる!!」

「え~、てあちゃんはてあちゃんだから~」

「ちっ!」


 忌々しいと睨むが、玲子から仲間内で戦闘をしないようと厳命されているので、無視して脚を動かしていく。






「ここが結界の魔道具があった場所か」

「魔道具は魔王の幹部によって壊されているから、何もないけどな」

「いや、ある。見えている結界の魔道具は囮のようだったな」


 ファステアが結界の魔道具が置いてあった空間の中心に手を差し出すと、1つ目の鍵が現れる。玲子がある場所で見つけたのは、2つの鍵だった。その内の1つが使われる。




 鍵を出した瞬間に、虚空から鍵穴が現れた。




「一つ目はアルトでも、問題なく使えた。だが、ここからは――――」


 1つ目の鍵を差し込むと、中心から金色をした鍵穴の魔道具が浮かび出てきた。それこそが、封印を施している何かを開放させる為の鍵穴になる。2つ目の鍵を手に持ち、自分の魔力を込め始めた。


「こいつは特異魔法を持ち、『超越者』の称号、そして――――――――基本魔法を極めた者にしか開けられない!」






 ファステアが魔力を込めた鍵に鍵穴を差し込むと、巨大な魔力がこの空間を満たして、カチリ!と音を鳴らすのだった――――












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