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第百九十二話 本題




 本題とは、テミアが綺麗な森を死の森へ変えてしまったことだ。


「お待ち下さい。あの場所は私がやったことなので、責任は全て私が取るつもりです。罰を与えるなら、私だけにしなさい!!」


 まずい話になると悟ったのか、テミアが前に出て輪廻を庇うように動き出していた。罰を与えるなら、私だけに! と言い放っていたが――――


「安心しなさい。罰を与えるつもりはないわ。ただ、元の森へ戻せればいいだけなので」

「戻す……? 戻せるのか? あの状態になった森を?」


 テミアがやったことは、魔力の毒を広範囲に降り注ぎ、魔力を持つ生き物、植物を全て死に至らしたこと。今も魔力の毒が漂っており、生物が立ち入れないような状況になっているのだ。そんな場所になったが、ベルゼミアは元に戻せると言っている。


「簡単な事です。あの場所は娘の放った毒が漂っているので、死んでいますが――――、それを取り除けば、いいだけですよ。その為に重要な物を準備する必要がありますが」

「物? それを俺達が取りに行けばいいのか?」

「いえ、皆で行くのではなく、娘だけで行ってもらいます。他の人は当初から予定していた目的をする必要があるのでしょう? 娘の腕があれば、一週間もあれば終わるのでしょうから」

「ん? もしかして、受けてくれるのか?」

「はい」


 当初の目的とは、輪廻達の強化だ。ベルゼミアは理由を聞かずに、それを受けてくれると言うのだ。テミアだけは後始末で一週間は別々になるのは少し寂しいかもしれないが、向こうが災害クラスの被害に対して、結構譲歩してくれているのがわかるので、輪廻は何も言わなかった。


「テミア、大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。元は私が起こしたことなので、最後までは自分で片付けます」

「そうか。無理だけはするなよ」

「畏まりました」

「では、これを取ってきてください。場所も書いてありますので」


 何を取りに行かせられるかはわからないが、テミアはベルゼミアから幾つかの文字が書かれていたメモを受け取り、すぐ城から出て行ったのを見て、信じて待つしかないと思った。


「では、すぐ始めますか? 貴方達は時間が余り無いようですが?」

「あぁ、頼む」

「良い覚悟ですね」


 パチッと指を鳴らしたと思えば、正面に幾つかの門が現れた。こっち側の人数と同じ数の門が輪廻達を誘うように開いていく。眩しい光が発され、輪廻達の視界を潰される。


「うおっ!?」

「こ、この魔力は!?」

「眩しいぃぃぃ!?」

「うっ!?」


 少しして、光が収まったと思えば――――


「む? 別々にされたか?」

「はい、ここからは一対一で鍛えますよ」

「俺はベルゼミアさんが直にやってくれるってことか?」

「そうですが、貴方だけ・・・・ではありませんわ」


 別々にされた、他の人も――――




「ふふっ、ルフェアと言いましたね? 貴方は私が相手をします」

「黒エロフ、厳しくしてきますわよ?」

「ウル、私に着いて来れるかしら?」


 ルフェアも、シエルも、ウルも、同じようにベルゼミアが正面に立ち、それぞれが違うステージに移っていた。輪廻は闇の世界、ルフェアは氷の世界、シエルは森の世界、ウルは武器の世界と言った、それぞれを強くする為に適した魔界にある場所へ。




「「「「さぁ、始めましょう!!」」」」




 ベルゼミアによる修行が始まる中、テミアだけは自分の足で森を復活させる物を集めに行っていた。集める物は三つ。どれも魔界でも十指の強さに匹敵する魔物が持つ素材であった。それを一人で取りに行けと言うのは普通の魔人であったら、自殺行為であったが、ベルゼミアはテミアなら一人でも一週間で集めることが出来ると考えて、行かせたのだ。


「まず、この素材を取りに行きますか。この場所はえっと……――――邪魔をしないで下さい」

「ゴガアアアァァァ」

「シャァァァァァ」

「ブゴォォォォォ」


 城を出て、街から離れるとすぐ様々な魔物に囲まれていた。どれも一筋ではいかないような強さを持った魔物だと感じられる。街の近くにそんな魔物が大量に出てくるのは有り得ないが、あの母親なら『門界魔法』でテミアの元に魔物を送り続けることぐらいはやってのけると、テミアは知っていた。つまり、この環境はテミアに対しての修行だと考えられる。


「確かに、お母さんならすぐ私に必要なことぐらいはすぐわかってしまうでしょうね。私に必要なのは、レベル・・・だと言うことに――――」


 テミアのレベルは200。だが、魔界の魔物はどれもレベルが高く、倒せばレベルが結構上がる。今のテミアに必要なのは、技量でもなく、新しいスキルや魔法などの小手先でもない。ただ、レベル上昇により、ステータスを高めるのが一番だと、ベルゼミアはこの一週間で一番望める強さだと考えていたのだ。

 今のテミアは魔王の称号を持っており、それによるステータス上昇の効果が高まっている。レベルを上げられるだけ上げて、ステータスも更なる強さを誇れるようにと、様々な魔物と戦い、素材になる強敵の魔物とも戦わせようとしていた。


「魔物ごときが、魔王である私に傷を付けるとは思わないことです!!」


 高い筋力による強さで魔物を殴り、蹴り、投げ、斬る。そうしながら、目的である場所まで走っていく。

 そのように、皆が様々な方法で修行を受けている中、ゼアスの方では――――












 輪廻達が魔界へ向かった中、一つの闇が動き出していた。その闇は一つの街へ向かい、大量の人形と竜の群れが長い行列となって、空と陸の両方を蝕むように進んでいた――――









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