閑話 動く闇
本日二話目!
今回は短いですが、闇の動きになります。
ここは会議室のような場所、机が八角形のようになっており、椅子の席も八の数字と同じように置かれている。その椅子に座っているのは、五人だけで、あと三人はまだ来ておらず、空席だった。
既に座っている五人は、全員が同じロープを着ていた。その集まりは――――
「ねぇ、ふぁむど。みんなはまだ~?」
「まだのようだな。我がリーダーと、あと二人だな」
「そうだねぇ。はやくきすぎたかなぁ?」
ロープのフードを脱いでいる二人、SSSランクになったばかりの『狂忌の人形使い』、エルネスと『暴竜』、ファムドの姿があった。そう、この集まりは『ロスディ・クリア』のメンバーであった。
「そろそろ、うごきはじめるのかな?」
「それはわからん。まだ準備が終わってはいないと思うがな」
「そうだね~。てあちゃんはどうおもう?」
「てあちゃんと呼ぶな。我は王ぞ? 殺すわよ」
「やれるなら、やってみなさいよ~。おうのくせに、れいこにしたがっているよね?」
「っ! あの化物を話に引き出さないで!」
「うふふっ、わたしもれいこがばけものなのはひていしないけどね」
「チッ」
「そこまでだ。その化物が来るぞ」
フードを深く被った人物とエルネスが言い合いをしている時に、ファムドが止めに入った。リーダーになる、化物がこの場に来るのを感じ取ったからだ。一番上席になる椅子に歪みが現れ、白いドレスを着た女性が現れた。その後ろに、一つの影が現れる。
「待たせたかしら?」
『ロスディ・クリア』を纏めるリーダーの玲子、ゴーレムの魔人であるアルトがこの場に現れた。アルトは椅子に座らず、玲子の後ろで立つようだ。
「あら、あと二人はまだみたいね?」
「もう一人は準備が終わったら、来ると言っていた」
「準備ね、あの雑魚に構っているなんて、暇人よねぇ。少しだけ待ってあげましょうか」
そう言った瞬間に、一つしかない扉から、黒いロープを着た男性が入ってきた。
「遅れてすまなかったな」
「あらあら、ちょうど、貴方の話をしていた所よ」
これで、リーダーと六人の幹部が揃った。あと一人は別行動をしており、椅子は一つだけ空席のまま。しかし、来なくても問題はないようで、会議を始める所だった。
「戦力は充分ね。次はアレを集めるわよ」
「ようやく、アレを集める時期になったか」
「ふふふっ、たのしみ~」
「ふん」
「…………」
「アレね、制御は出来るの?」
アレとは何かわからないが、『ロスディ・クリア』にとっては、重要なピースだ。一人だけは制御が出来るのか、疑問を浮かべていた。
「出来るわよ。私の力があればね」
「あー、出来るなら、何も言わないよ」
「うふふっ。カゲ、そちらはどうなのかしら? あの雑魚は使えるの?」
「大丈夫だ。アレでも、勇者だ。今のままでは、使えないなら使えるように直しておけばいいだけさ」
「そう、なら、任せるわ」
カゲと呼ばれている男は、この前に勇者をこちらに来るようにと勧誘した。その勇者を使えるように、何かをするつもりである。
話をしていた時に、扉が開いた。本来なら、来る予定ではなかった、ある人物が入ってきたのだ。
「あら? 今回は来なくてもいいと言ったじゃない」
「暇だったんでね。それよりも、順調?」
「問題はないわ」
入ってきた人物は、ポンポンと音を立てながら、子供のような笑みを浮かべて、残った椅子に座るのだった。
「貴方こそ、そちらは順調かしら?」
「えぇ、問題はないわ。暇過ぎる程にね」
顔は影で隠れているが、露出が酷い服を着ており、手には一つの物を持って、ポンポンと音を立てながら動かしていた。
「なら、いいわ。皆、『ロスディ・クリア』の目的を達する為に、動き出しましょう。それぞれの皆の目的を達せるようにしたいわね。ふふふっ……」
ここに今、『ロスディ・クリア』と言う世界のテロリストが表立って動き出したのだった――――




