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閑話 動くクラスメイト

はい、今回は精霊王ファステアを狙う人の話になります!




 輪廻達が青龍王の所に向かっている時、召喚者の方では――――




「この森の奥にあるのか?」

「ええ、間違いはありません。皆様の準備は大丈夫ですか?」

「問題ねぇぞ。なぁ、皆!」

「問題はないというか、あるというか……」

「もうケイちゃんは割り切っているんだね」

「輪廻君に似たタイプなのね。啓二さんは」

「だから、輪廻と気が合うんだろうな」

「私は別に気にしてはいないけど……」


 召喚者は二つのグループに分かれていた。ティミネス王国で待機組と今回の探索組の二つに分かれ、動き出していた。

 この場にいるのは、探索組になる啓二のパーティ、絢のパーティ、そして――――


「なぁ、聞きたいだが……魔族さんは研究だけが目的なんか?」

「魔族さんではなく、ディオとお呼び下さい。一時的と言え、協力する仲なのですから」


 魔王の配下で生き残った、二人の内、ディオと言う魔族が二つのパーティと一緒に森へ進もうとしていた。


「ウル次第で、一時的が永久に変わるかもしれませんが……」

「はぁ?」

「いえ、今はいいでしょう。先程の質問ですが、私は研究が第一であり、その知識を知りたい欲求を満たせれば、充分なのですよ」

「う~ん、嘘を言っている様には見えないね。まぁ、啓二が魔族と組むことに反対してないから、問題はないけどねぇ」

「俺もケイちゃんの決定には従うよ~」

「おやおや、リーダーさんはとても信頼されていますね」

「そのリーダーさんは止めてくれよ。こいつらは前からつるんでいるから、他の奴らより長いだけだ」


 この二つのパーティとディオが組み、何処に向かっていると言うのは、北の地にある『樹海』と呼ばれる深きの森になる。『樹海』を超えた先に、啓二達が求めるモノがある。そう、精霊王ファステアが封印されている場所だ。


「では、確認しておきますね。皆様の中でレベルはまだ100に達していない方もいますね?」

「そうだな。俺達三人はもう100を超えているが、絢達はまだだな」

「うっ、レベルが低くてゴメン……」

「いえ、怒ってはいませんので、気にしないで下さい。これから、『樹海』でレベルを120~130まで上げていけばいいでしょう。そして、精霊王ファステアを倒すには、最低でもそれぐらいは必要になります」

「すまないな」

「あの大きな蟲みたいな相手だったら、役に立たないと思いますが……」


 メガロモスみたいに強かったら、絢達どころか、啓二達でも勝てないだろう。しかし、ディオは最低でもレベルは120はあればいいと言った。どういうことなのか、聞いてみると――――




「いえ、戦いはしません。何せ、封印状態のままで倒せばいいだけなのですから」

「えっ?」




 封印状態のままで、倒す。それが、ディオの見解だった。だが、説明はまだ終わらない。


「もちろん、貴方達の攻撃では封印状態でも倒せは出来ないでしょう」

「おいっ!? じゃ、どうすんだよ!?」

「落ち着いてください。倒すのは、私がやります。貴方達が作った、結界を壊したの覚えていますか?」

「結界を? ――――まさか、あの剣はお前がやったのか!?」


 結界とは、セイオリック天聖国で召喚者達が作り出した、二度目の結界のことだ。それを破壊したのは、ディオが作った一振り限りの最強剣、『骸ノ墜剣』であり、それを使って封印状態の精霊王ファステアを倒す作戦を提案している。封印状態といえ、精霊王ファステアはメガロモスにも劣らない程の実力を持っているので、啓二といえ、ダメージを与えるのは難しい。なら、魔物の死体が多い程に際限も無く強力になっていく『骸ノ墜剣』を使えばいい。

 そこまで聞けば、啓二達がやるべくのことがわかってくる。人先に気付いた、絢が確認の為に、聞いてみる。


「えっと、私達は魔物の死体を集める仕事を……?」

「はい、そうです。最低でも二万ぐらいは欲しいですね」

「に、二万!?」


 これから二万の魔物を死体に変えるという、無茶な仕事に皆はギョッとする。メガロモスが集めた魔物は一万には満たない数だったので、その二倍の魔物を倒せと言われたら、驚くだろう。


「封印状態の精霊王ファステアを倒すなら、結界を破った時と同様の力ぐらいは欲しいですね。それでも、最低なので、余裕を持って、三万の魔物を倒しましょうね!!」

「無理だろ!?」

「いえいえ、皆様の力なら一週間あれば、充分やれると思いますよ? あの輪廻さんだったら、一日も掛からず、三万と言わずに五万でも集めることは難しくも無いでしょうね」

「っ!」

「そこまでの差が……」


 皆のやる気を持たせる為に、わざと輪廻の話をぶっかけるディオ。確かに、今の輪廻ならこの『樹海』にいる魔物であれば、一日で三万程度の魔物を倒すことは難しくはないだろう。

 だが、ディオはそこまでの無理を言わずに、一週間の時間で終わらせると言っている。ここにいる魔物はレベル100に近いので、皆のレベルを最低でも120まで上げて、三万の魔物の死体を集めるという計画を建ててくれている。その提案に皆は――――


「……わかったわ。やるわ!! 私だって、輪廻君に追い付きたいの!」

「よく言った、俺もやるぜ!!」

「ケイちゃんがやるなら~」

「もう、啓二がやるなら、私も一緒よ~」

「強くなれるなら、いくらでも戦うぜ!」

「もう、絢ったら。私も手伝うわ」


 皆はディオの提案に乗り、レベルを上げて魔物の死体を集めると決まった。


「初めに、精霊王がいる場所へ向かいましょう。そこを拠点として、周りにいる魔物を倒していきましょう」

「おう、わかったぜ」


 まず、精霊王がいる場所へ向かう。そこで一週間ぐらいは拠点にしていく予定だったが――――














「あれ、魔物が全く出てこないね?」

「あぁ、かれこれ一時間は歩いているのにな?」

「おかしいですね……」


 魔物が全く出てこないことに、ディオもおかしいと感じ始めていた。そして、森を突き進んでいくと、木々の途切れが見えてきた。そこにあった物は――――




「な、何もない……?」

「これは、大きなクレーター?」

「まさか!?」


 木々が途切れたと思ったら、そこは大きなクレーターのような物があり、全く何もない状況になっていた。ディオは慌てて、先に走り出していくが……


「ない、ない!」

「へ、何が――――」

「封印されている精霊王ファステアがいない! このクレーターから考えると…………先に、誰かが開放した可能性が高い!」

「なっ!?」

「嘘でしょ……」

「いえ、距離を考えると、ここが目的の場所になります。こんなことが出来る人は――――」

「くそっ、玲子の奴らに先越されたか!?」


 こんなことが出来るのは、メガロモスの封印を解いた経歴がある玲子しか思いつかない。輪廻達だったら、出来るかもしれないが、そんなことをするメリットがないので、玲子達の『ロスディ・クリア』しかいない。

 最悪のスタートになってしまった、召喚者達の先はどうなるのか――――








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