第百七十五話 洞窟を抜ける
お久しぶりです。
最近は仕事で忙しくて、なかなか書けていませんでした。
お待たせてすいませんでした。では、続きをどうぞ!
「輪廻! やったぜ!!」
「お、おう…」
ドッペルゲンガー改を倒したウルは喜んでいたが、輪廻はさっきのことに気に掛かっていた。
輪廻はウルに喝を入れて、戦闘に集中させようと考えていただけに今の結果に驚きと困惑を混ぜた様な感じを味わっていた。まさか、好きだと言われるとは思っていなかった。微妙な表情を浮かべる輪廻に気付いたのか、ウルは少し気を落として眉を下げていた。
「…駄目か?」
「い、いや、そんなことを言われるとは思ってなかったから、驚いただけだ。俺は仲間かライバルとかと思っていたし…」
「そうだよな、急に言われたら困るよな。だが、私が輪廻のことを好きなのは本気だ」
ウルは一時の迷いではないと言う様に、両手で輪廻の手を握っていた。その様子をシエルの手に乗って見ていたテミアは、うんうんと納得したように頷いていた。
「わかります。御主人様はとてもカッコいいのですからね」
「そうだよな!! きゅんと来たぜ!!」
「あはは、少年のハーレムは確実に広がっていますね」
「ハーレムを作ろうと思ったことはないが……まあ、今更か」
「強い雄には沢山の雌が集まるのは自然の摂理だからのう」
輪廻はウルのことは嫌いでもないし、自分達に着いて来られるだけの実力があるので、問題は無い。だが、今はまだ洞窟を抜けていないのですぐ動き出したいところだ。
「大丈夫だ。あの面倒な奴さえ抜ければ後は楽だ。少しは走るが、東の地はすぐだ」
「そうか、なら走るか。そろそろ太陽が恋しくなる」
もうすぐで洞窟を抜けられるとわかり、ここからは少しペースを上げて行く。途中で分裂でウザい雑魚が現れるが、ほとんどは力が有り余っているルフェアが洞窟に傷をつけないやり方で氷獄魔法を使って倒していく。
「失せろ」
分裂が間に合わないスピードで敵を凍らせていくので、どんどん数が減っていき、前半よりも速いペースで走って進められる。ルフェアの活躍により、厄介な敵はおらず、遂に洞窟を抜けることができた。
「ようやく抜けた!!」
「あら、走るだけでもギリギリな黒エルフが何を言っていますか? 瘴気の力無しでも頑張って欲しいものですね……」
「肩に乗っているだけの人形には言われたくないよ!?」
「そう、これからは瘴気の手助けはいらないのね」
「すいませんでした!!」
シエルの体力だけでは皆には着いていけなかったので、瘴気の力が大きかったのは確かだ。もう少しレベルを上げてステータスを強化すればいいが、今はテミアを元に戻してあげないと駄目なので、シエルの強化は見送りされているのだ。
輪廻はステータスに差が出来ているのは知っているので、テミアを元に戻したら、シエルを強くしてあげようと考えていた。
「……洞窟を抜けたのはいいが」
「ここが東の地?」
「砂漠しかみえないのう」
「ううっ、メイド様……どうか、また強化を……」
洞窟を抜けた先はーーーー砂漠だった。向こう側までも砂漠しか見えず、体力に差があるシエルは土下座でテミアに瘴気の強化を求めていた。太陽が恋しいと言ったが、強い日射は求めていなかった輪廻はげんなりしていた。
「ウル、砂漠は何日で抜けられる?」
「そんなにいらないぞ。数時間で簡単に抜けられるぞ」
「そうなのか?」
ここの砂漠は前に行ったアラハ砂漠よりも小さいようで、数時間で抜けられるとわかり、ホッとする。ルフェアに頼んで氷の道を作って貰う必要はないようだ。
「ただ、ここにいる魔物は数は少ないといえ、強いぞ。ドッペルゲンガー改より強い奴はあまりいないが、油断だけはするなよ」
「わかった。東の地に詳しいのはお前だ。注意はちゃんと受け取るさ」
「そ、そうか。好きな人に信頼して貰えるのは嬉しいことだな……」
今のウルはまんま乙女のものだった。その姿に輪廻は苦笑しつつ、砂漠をどう抜けていくか考えていた。
「魔物は無視して、先に進むのは……」
「難しそうだな。既に一体の魔物がこっちに来ておるぞ」
先に気付いたのはルフェアだった。ルフェアが指す方向を見てみると、砂が盛り上がってこっちへ向かってくるのが見えた。そして、その魔物の正体が現れる。
「うげっ、サンドスピアワームか」
「我も知っている。SSランクの魔物だったな」
「洞窟から抜けて、早速か」
表に表れたのは一瞬だけで後は砂に潜っていて、姿が見えない。魔力を上手く隠しており、暑さで集中できないのもあってなかなか感じ取れない。
「クソッ、暑い中で戦いたくないな」
「それが敵の戦法なんだよ。暑さで弱らせてからパクッと来る。しかも、魔法に対して耐性も高いときてる」
「周り全てに魔法で攻撃しても効果は低そうだな」
普段なら隠れている敵には魔力で見つけ出すか、全方位に魔法を撃ちだすが、今回の敵には効果が低い戦法になってしまう。輪廻はしばらく考え、ここは自分がやると決めた。
「さっさと終わらせたいから、ここは俺がやる。あの力の試運転に丁度いいだろうーーーー」
あ、星球大賞で一次選考を突破しました。
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では、また。




