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第百七十四話 洞窟の主 後半

本日3話目

今日は3話も載せています。間違えないように!

 


 ウルの必殺技であった技を防御も無しにまともに受けてしまう輪廻だったがーーーー




「”虚冥”」

「!?」


 反撃を予想してなかったのか、ドッペルゲンガー改はまともに受けていた。

 ドッペルゲンガー改が初めて感情を出したような気がしたが、何故、輪廻がドッペルゲンガー改の攻撃を受けても無事だったのか?


「大丈夫だ。今の輪廻は超越者になっている」

「あっ、そうか!!」

「確か、10万以下のステータスでは、完全無効の効果を得られるのでしたね……忘れていました」

「あのドッペルゲンガー改のステータスは多分、オール7万ぐらいだろうな」

「7万!? あー、私じゃ、瞬殺だわ」


 ドッペルゲンガー改のステータスは見えないが、動きと力を見て、ルフェアはそう判断した。


「ぼぅっとしてんじゃねぇよ!」

「え、あ……大丈夫なのか!?」


 代わりに攻撃を受けたことに気付いて、心配していた。輪廻はその心配に呆れていた。


「俺は大丈夫だ。それよりも、お前は自分の心配でもしていろ」

「何を……」

「必殺技を破られたんだろ?」

「…………」


 ウルは悔しいが、何も言えないでいた。本家の”神葬槍”が真似っこで防がれたのが悔しいが、それ以上にドッペルゲンガー改の方がゲイボルグを使いこなしていたことに気付いて、悔しかった。


「ルフェアが言うには、お前はまだ底を見せてないと。だったら、さっさと底を見せて、やりやがれ! それか、俺に任せるか……?」


 今の超越者になっている輪廻なら、攻撃を無効化して力尽くに勝利を得るのは簡単だろう。

 だが、それではウルは成長しない。




「…………」




 ウルはわからなかった。今の言葉もそうだが、何故、私を助けるようなことをして、兄貴みたいなことを言ってくれるのか。輪廻は人間、ウルは魔人だ。仲良く出来るのはあり得ないことだと、心の底では現状を否定していた。


「お前のことはイアから頼まれているんだよ! その心を無駄にするつもりか!! それだけではない、俺もお前のことを認めているんだ、無様な姿を見せるんじゃない!!」


 輪廻は自分のことを認めていると言ってくれている。だが、それは何故なのか、まだわからなかった。




「お前は俺の事をどう思っているんだ! 敵か? それでもいいが、ただの敵で浅い関係じゃねぇだろ!?」


 関係……、私はあの女から攻撃された時、助けてくれた時は嬉しかった。顔には出せなかったが、あの時のことで御礼を言いたかった。そして、もう今は敵だと思えない。

 だが、自分の心を伝えて断られたらと……怖いと言う気持ちもある。

 だが、それでは進めない。もし、兄貴が生きていたら、進めと言っていたかもしれない。




「……わかったよ。私は逃げない」

「そうか。言ってみろ、お前の気持ちを!!」

「私は輪廻のことが好きだ!!」






 洞窟内に沈黙が降りた。敵のドッペルゲンガー改も固まっていた。




「…………え?」

「あぁ、気分がいい。自分の気持ちを言うだけでも、変われるんだな」

「……えっと」

「返事は後でいい。今は戦闘中だからな。これからは私に任せてくれ」

「……おぅ、頑張れ」

「うん!!」


 輪廻は困った。まさか、告白されるとは思っていなかった。てっきり、ライバルとか仲間と言うと思っていたが……。

 今のウルは今まで見たことがないような笑顔だった。想像のと違っていたが、目的は達せたから良いかと諦めの心情になるのだった。


「すまないな。私はゲイボルグの力を引き出せていなかったようだ。だが、今ならわかる!!」


 ウルから今までのと違い、巨大な魔力を包んでいた。この魔力こそが、ゲイボルグに隠された力だ。


「神槍ゲイボルグは、数を重ねる必要無かったんだな。ただ、一撃があればいいんだ」


 落ち着いた構えに、ドッペルゲンガー改は何か感じたのか、”神葬槍”を放っていた。ウルの周りから時空を超えた突きが襲ってくる。




「神槍ゲイボルグの極意は、一撃必殺だ。”一新”」




 ウルが放った一撃は静かだった。

 その一撃は周りの”神葬槍”を連ねて、新しい一撃に纏め上げていた。この技は自分の一撃に敵の攻撃を上乗せにした、新しい技に変える。それが、”一新”であり、一撃必殺に相応しい技だ。

 その一撃はキチンと、ドッペルゲンガー改の左胸を貫いていた。弱点を貫かれたドッペルゲンガー改は自分の身体を構成出来なくなり、崩れていった。


 この戦いはウルが覚醒し、自分の心へ素直になれる瞬間であった。









どうでしたか?

あと、『乙女ゲームの悪役令嬢はシナリオから外れて、魔王になる』を書いております。良かったら見に来て下さいね。

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