第百六十二話 輪廻vsメガロモス
お待たせてすいませんでした!
昨日から『人形転生の復讐劇』が投稿されています。舞台は『最強で最凶な兄妹転生』の聖戦から千年経った世界となっています。
良ければ、読みに来てくださいね。
では、続きをどうぞ!
大樹から脱出することが出来た輪廻は、手に『天冥覇王』で強化されたカオディスアを持っている。その剣先をメガロモスに向けーーーー
「破壊の力を思い知れ。『豪壊天誅』!」
大樹を斬り裂いた破壊の力が一点に集中され、剣先から黒いレーザービームみたいのが発射された。メガロモスが使う技と同じように見えるが、その性質は全く異なる。
それをみたメガロモスは同じ技を使われていると勘違いし、迎撃しようと生命が濃縮された黒いレーザービームを発射していた。
その選択が間違いだと気付いた時は既に羽を貫かれていた。
生命の力で破壊への迎撃は失敗して、破壊が勝っていた。メガロモスにとっては、破壊と言う性質とは相性が悪かった。メガロモスの生命は生と死を司るが、輪廻が使う破壊は全てを無に返す暴力な力なのだ。
自分の攻撃を弾かれ、羽を貫かれたのを見て、一層と警戒し始めた。
「頭を狙ったんだが、少し逸らされてしまったか」
「ギィィィ!!」
メガロモスは生と死を司る蟲だとしても、使える技は生命を使った物だけではない。羽を大きく羽ばたいて、風魔法を発動していた。
『激嵐竜巻』
自分の周りに嵐を発生させ、大量の竜巻が輪廻を襲う。竜巻に触れたら、鉄であってもミキサーのように斬り裂かれてしまう程の威力がある。それを輪廻はーー
「消えろ、『無界』!!」
輪廻の手からブラックホールを発生させ、竜巻にぶつけていた。竜巻はぶつかった瞬間にブラックホールへ吸い込まれて輪廻がいる場所まで通さなかった。
それでも、メガロモスは次の攻撃を始めていた。輪廻がいる場所が鱗粉に包まれて、周りが見えなくなっていた。メガロモスが発生した鱗粉は目隠しのためだけではない。
「はぁ、幻覚を見せるのか」
輪廻は呆れていた。前には、仲間であるテミア達が立っていて、親の仇だと言うような睨んでいた。
その幻覚には声までも聞かせる効果もあったが、偽物のテミア達の口が開こうとしていた所に輪廻が元凶である鱗粉を片方しかない翼を振って消していた。翼にも破壊の力が込められているので、動かす意図するだけで周りの鱗粉を完全に消しきっていた。
「全く、今更に幻覚とかは意味ないだろ」
呆れていたのは、幻覚が輪廻に通用すると思われていたことにだ。今の輪廻は邪神の一部を使っており、超越者であるメガロモスがそれに気付かないわけがないのだ。
「ギィッ!」
「……そういうことか。幻覚は時間稼ぎだったのか」
メガロモスがやりたかったことを理解した輪廻は感心していた。メガロモスがいる真下には、先程に倒した筈の蟲人がいたのだ。
だが、その蟲人からは理性を感じられなくて死人のような表情だった。
「ネクロマンサーの真似事かよ! 面倒なことをしてくれたなッ!!」
超越者になった輪廻でも、メガロモスに加えて蟲人が四体も現れてしまえば、苦戦してしまう。
そう、このままでは。
「ちっ、もう少しだけ侵食させるか」
輪廻は今のままでは苦戦するのは理解していたので、更に力を上げるために邪神の一部を拡大させた。
今までの変化は四箇所だったが、それに加えて左脚が黒く染まって片方だけだった翼が両翼となった。
「ぐぅぅ、ここまでの侵食は堪えるな」
この力はノーリスクではなく、対価を払っていたのだ。邪神の一部を使うということは、命を削っていることと等しい。だが、蟲人が同時に掛かってきても撃退出来るだけの力を得た。
しかし、メガロモスはそれで終わりではなかった。なんと、メガロモスが生命を注入された蟲人から命を吸収し始めたのだ。
それに故、メガロモスは蟲人の性質であった『最終形態』のスキルを手に入れた。どうやら、生命で蟲人を生き返らせたのはこのスキルを手に入れるためだったようで、姿が変わっていく。
「ゴァァァアアァァァ!!」
メガロモスが雄叫びを上げると、星空のようになっている羽の内側から何かが光り出した。どういう原理なのか、羽から大量の隕石が落ちてきた。その隕石は離れている仲間達にも向けられていた。
魔力を使い果たしたテミア達に、反撃するのに力が足りない啓二達は絶体絶命であった。
「チッ!」
輪廻は『無界』を発動し、形を『虚手』と同じように変えていた。その巨大な手で仲間を守るように隕石を吸収していく。だが、その隕石の数が多すぎて、迎撃に脚を止める必要があった。
隕石は輪廻の脚を止める為の技だったようで、その隙にメガロモスは『最終形態』が発動されるのだったーーーー




