第百六十話 破獄
はい、お待たせました!
後、新しい小説を載せました!
『何でも屋は女神に頼まれました』です。良かったら見に来てねーー!!
テミア、ルフェア、クレアが発動した『破獄』。それは黒い鉄槌みたいな形になり、凄い存在感を放っていた。それが二本。
「私達の『幻融』で創り出した、最強の技です!」
『幻融』とは、『武神』、『神速』と同じように、『魔融』から進化したスキルである。テミアだけ魔力が五万を超えてはいなかったが、瘴気武装によって筋力ではなく魔力を強化させて、『幻融』を使えるようにしている。
三人同時で『幻融』を使い、それぞれの最強技を融合させた。その結果が、二本の黒い鉄槌だ。
「無駄にするなよ。もう2度と創り出せないからな?」
「わかっています。必ず当てます」
三人は既に魔力が尽く手前にある。この鉄槌が外れたり、効かなかったらもうすることがなくなる。
だが、テミア達はこの鉄槌なら、メガロモスを貫けると信じていた。
「メガロモス、受けてみろ!!」
テミアが一本の鉄槌を投げた。物凄いスピードでメガロモスの腹へ向かおうとしている。
だが、メガロモスは鉄槌から何か感じたのか、咄嗟に羽を動かして避けようとしていた。
「ギィッ!?」
身体から外れ、当たったのは羽の付け根部分だった。それが、本体と羽を分かつ程の威力を見せ、『超越者』の称号効果を突破する結果になっていた。
「すぐ最後の一撃を!!」
「わかっています!!」
この時が好機だと思ったのか、ルフェアが叫んで、テミアもそれに応えた。最後の一発を惜しみもなく、トドメだと言うように、メガロモスへ投げつけた。今度こそ、腹へーーーー
と思った先に、口から黒い光線を吐き出して、その反動で身体が大きく動く。この時点で、この攻撃は外れてしまう!! と理解していた。羽をうまく動かせないメガロモスは、その攻撃の威力を知ったには、必ず避けなければならないと。
それで、黒い光線を使って避けられたのだーーーー
「させっかよ!!」
神槍を持つウルが動いた。神槍の能力をフルに使い、メガロモスが避けようとしていた方向から大量の槍が時空を超えて現れた。全ての神槍がメガロモスへダメージを与えることは出来なくても、槍を受けたという衝撃は通る。
「ギーーーー!?」
避けたはずのメガロモスは、神槍によって押し返されて元の場所へ戻っていた。あの黒い鉄槌が通る場所へ。もうメガロモスが何をしようとも、既に腹へ突っ込み、反対側へ通り抜けていく。
「ギゴォォォォォォォォォォォーーーーーーーー!!」
完全に、腹に穴が空いていた。メガロモスは苦しそうに鳴き声をあげる。この鳴き声を聞いて、致命傷だと理解して皆が喝采を上げそうになった。
だが、その喝采は上がることはなかった。
何故なら、メガロモスの周りが死によって朽ちていっていたのだから。森は完全に枯れ、空気も全ての素が無くなって真空状態になっていた。それらの生命が、メガロモスの口へ集められていた。それは虹色の珠でとても美しく華麗なる物だった。
それをメガロモスが飲み込み、身体が薄く光り出してーーーー
「なっ!?」
「回復するだと!!」
三人の全力を使い果たしてまで、創り出した鉄槌で与えられた傷がーーーーあっという間に塞いでいき、再生されていく。
その淡い光が落ち着いた頃は、無傷の姿であるメガロモスがいたのだった。
「や、厄介な……」
「これでは、一撃で全てを消すような威力が必要になりますが…………私達では無理ですね」
「そぉだね。こりゃ、死んだかしら?」
無傷のメガロモスを見て、皆がそう呟いていた。この化け物は自分達では手に負えないと…………
「シュゴォォォォォーー!!」
黒い光線を放つ動作だが、明らかに溜めが長い。つまり、先程よりも強力な攻撃が来るということ。
だが、それを防ぐ術はテミア達には無かった。溜めが終わるまで見ているしかできなかった。
だが、皆の目はまだ諦めの光は無かった。まだ希望があるような瞳だった。その希望とはーーーー
ゴガァァァァァァァァ!!
ついに吐き出されて、先よりも強力な光線が皆に向かおうとしていたーーーー




