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第百五十七話 超越者

お待たせました!

続きをどうぞ!

 


 輪廻は大樹の中身に閉じ込められてしまい、攻撃を当ててもすぐに傷から新しい蔓が生えて塞いでしまう。




(面倒なッ!? どれだけの厚さがあるんだよ!)


 輪廻がいる中心から外部までの距離は30メートルはある。それだけに大樹は大きくて、アルト・エルグにある王の住処になっている大樹を超える。しかも、輪廻が出ようと攻撃を加えてもすぐにその傷は塞がれてしまう。

 輪廻が出るには、新しい蔓が生えてくる前に攻撃を加え続けるしかない。だが、それをしてしまえば、外に出る時は体力と魔力を大量に消費した状態で、完全体になったメガロモスと相対しなければならなくなる。そうなれば、輪廻には勝ち目がないのはわかりきっている。

 何故なら、メガロモスはそれだけ強く…………




「『超越者』……、推測が当たるとは面倒な状況だな」




 輪廻はメガロモスが完全体になる前から、実力を推測していた。最低でも、蟲人が王だと認めているからには、4体よりも強い。

 その程度だったら、テミア達が攻撃を当てたら致命傷まで行かずとも、ダメージを与えられていたはずだ。

 だが、無傷だったのを輪廻は見ている。なら、推測出来る中で、可能性が高いのは一つだけある。




『超越者』




 輪廻が口にしていた言葉。その称号・・は、輪廻が知っている中でも最上の効果を持っている。その効果とはーーー



 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 超越者


 ある領域へ達した者に与えられる称号。ある数値以下の効果やダメージを完全無効させ、その者の本質を覚醒させる。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー



 ふざけた効果だと思うだろう。だが、現実にあるのだから『超越者』になった者はほぼ無敵である。

 そうだ、『超越者』を倒すには同じ『超越者』でなければ勝てないだろう。ただ、一つだけに突き抜けた馬鹿みたいな威力があれば、少しはダメージを与えられるが、致命傷には届かない。




(俺の仲間では、メガロモスに勝てない! ルフェアはそれがわかっているから、無理をしない筈だが……)


 輪廻はテミア達のことをよく知っている。勝てないからと言って、輪廻を置いてこの場から逃げ出す程に臆病者ではない。

 仲間に戦略撤退さえも期待できない。なら、早めに輪廻が大樹の中から脱出しなければならない。

 そのために、輪廻は覚悟を決めなければならない。




「仕方がない……、やるしかない!!」




 大樹から脱出のために、輪廻は再び、本気を出すことにする。今迄隠していたことが暴かれようが、仲間がやられるよりはマシだ。

 輪廻を中心に高質な魔力が渦巻いていくーーーー






 ーーーーーーーーーーーーーーーー






 外部では、テミア達がメガロモスに攻撃を加えていた。足手纏いにしかならない冒険者や召喚者達はこの場から離れて貰っていた。

 この場に残っているのは、輪廻の仲間、クレア、啓二達、英二達、SSSランクの冒険者だけ。




「硬いレベルじゃねぇぞ!?」

「全く攻撃が効いていないわね……」


 啓二達も攻撃を加えているが、傷一つも出来ず、攻撃を攻撃だと思わずに突っ込んでくるメガロモスに文句を言いたくなるのだった。




「単独で攻撃をしても無駄だ! 一点に集中で、攻撃を加える。それしか勝ち目がないのぅ。さすが、『超越者』だと言うべきのぅ?」

「!? もしかして、ルフェアさんは攻撃を受けても無傷のカラクリがわかるんですか!?」

「カラクリと言う程ではないが、称号の効果で防がれているだけだのぅ。効果はーーーー」


 ルフェアから聞かされた『超越者』の効果。全てを聴き終えた後は、テミア達とクレアを除いた皆が絶望の表情を浮かべていた。




「な、なんだよ、無敵のと変わらねぇじゃんないか!?」

「馬鹿か。だから、一点に集中して攻撃を加えろと言ったんだ」

「この程度で絶望するなら、足手纏いですよ。手を動かさないなら、ここから消えてなさい」


 テミアはルフェアから『超越者』の概要を聞かされても、顔色を一つも変えない。それがどうした? と言うように、力を溜めていた。シエルも諦めておらず、メガロモスの行動を制限しようと、矢を大量に撃ち出していた。ルフェアも本気の姿でやろうと、魔力を溜めていた。ウルも、神槍へ覚醒しようと、ゲイボルグを構えていた。

 クレアもどの玩具で遊ぼうかなと笑顔で戦いを楽しんでいた。




「お前ら……ッ! 俺もやってやらぁ!!」

「ケイたんがやるなら、俺も」

「仕方がないわねぇ。少しでも力になればいいけど」


 啓二達もテミア達の闘志に当てられたからなのか、ヤル気を出していた。それから…………




「私も、輪廻君の力になるんだから!!」

「絢がやると言うなら、私もやらないとね」

「はっ! これぐらいで怯えていられるか!! 夜行のシバキに比べれば、屁でもねぇぇぇ!!」

「…………ッ!」


 皆も諦めることはせず、メガロモスへ立ち向かうようだ。ただ、英二だけはーーーー




 英二はーーーー輪廻から此処に残るか、元の世界へ帰るか今の内に決めておけと言われた日を思い出していた。自分は、元の世界へ帰りたい方に心が偏っていた。友達は残ると決めていたが、自分はまだ決められないでいた。英二は友達と一緒に元の世界へ帰りたかった。

 晴海から言われたことを思い出していた。「……私達は自分で選んだから、貴方も自分がそうしたい方を選べばいいわよ。後悔をしたくないならね」と。

 英二は周りを見て、ここは戦場。敵は無敵に近いメガロモスと言う化け物。自分達の中で強い輪廻は大樹の中に閉じ込められている。

 これで、勝てるのか? ーーーー否だ。

 元の世界へ帰りたい英二は生きていたい。此処で死んでしまえば、帰れない。

 そんな状況で英二が選んだ選択はーーーー






 友を見捨てて、此処から逃げ出すことを選んだ。






「……え?」

「お、おい! 英二!?」

「あー、そっちを選ぶのね……」


 英二が逃げ出したことに絢と貴一が絶句し、晴海は残念そうに見ていた。テミア達はちらっと英二が逃げる様子を見ていたが、無視していた。まるで、虫けらが一人逃げようとも気にしないのと変わらないような眼だった。




「放っておけ! 今は敵に見据えろ!!」


 ルフェアの一言に、皆がメガロモスへ視線を集める。今が決戦だと言うようにーーーー










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