第百五十五話 協力
メリークリスマス!!
はい、続きをプレゼント!笑
一話だけですが、ついに…………ッ!!
クレアが物理の力を以って、突撃する役に決まった。他の人は、その突撃の助けになるように動く。
「”ビームサーベル”」
クレアが突撃するために武器を魔法から作り出す。魔法から出来た武器だが、ちゃんと物理向けの能力を持った魔法のようだ。
何処かで見たような武器だったが、輪廻は突っ込まない。他の召喚者も輪廻と同じ心情だったが、何も言わない。
しかし、話に聞いたが……玩具魔法とは変な魔法だな。玩具が武器になるとか。
あの武器はどう考えても、地球にあった玩具と似てすぎるな……? まさか、この世界の玩具でビームサーベルとかあんのか?
玩具魔法と言う概念が理解出来なかった。輪廻はこの世界での玩具に見向きしなかったから、どんなのがあるかわからないが、ビームサーベルがあるとは思えなかった。
使っている玩具が、地球で見たことがある物ばかりで、気になることが増えるクレアと言う存在だが、今は防御の結界を越えて、繭を突き破らなければならない。
「ウル、クレアの強化は任せたぞ」
「あぁ、なんだアレは? 武器と言っても、魔法だから魔法を覚醒すればいいのか?」
「違うよ~。これは魔法で創られているけど、物質を創造した武器だから、武器を強化する魔法でお願い」
「……わかったよ」
ウルは玩具魔法というものがよく分からなかったが、ディオが使った骸ノ堕剣みたいな武器だと納得しておいた。とりあえず、言われた通りに武器を覚醒する魔法を使う。
「”武昇格”」
武器のランクをあげる覚醒魔法、武器や魔法を覚醒して強化出来る覚醒魔法だが、その効果は短い。長くても十秒しか持続はできないが、今はそれぐらいはあれば十分だ。
「さて、俺達は少しでも結界を削るぞ」
「了解しました」
「う~ん、今の魔力で出せる技は……」
「完全体になる前に潰しておきたいのぅ」
「お、俺等もやるぞ!!」
後ろで繭へ攻撃するタイミングを待っていた英二が声をあげる。結界を削るなら、威力が低くても人数は多い方がいいので、輪廻は好きにさせることにする。
まず、輪廻が一番手に動いた。
「道を切り開いてやるよ。”隠真空刃”!」
大気を斬り裂き、真空刃を生み出す。クレアが見つけた弱い部分に向けて放った。その真空刃は魔力ではなく、自然に生まれた斬撃に近いので、”虚冥”のように弾かれることはなかった。だが、威力は高くないのでヒビが入った程度でしかなかった。
しかも、ヒビが修復されていくのも見えていた。
「そこに撃ち込めぇぇぇ!!」
次に、英二の声で召喚者の皆が魔法を放つ。輪廻が切り開いた道は、ヒビが入ったお陰で魔法に対する抵抗が弱まっていた。
「”雷火”」
シエルは結構魔力を使っており、カツカツだったので、残った魔力を全て使い、少しでも高い威力を出せる技を選択した。”雷火”は貫通力もあるので、少しはヒビが広がった。
「私が出来ることはこれぐらいですね。”魔獄水召”!」
「我が手伝ってやろう。”絶対零度”」
テミアは現在で最強の水魔法を選び、魔界から特殊な水を召喚した。その水をルフェアが”絶対零度”により、質が普通の水よりも数十倍に濃縮されている特殊な水を凍らせた。氷柱の様な形に変え、更にヒビが広がった箇所へ突撃させる。先程より広範囲にヒビが入っているが…………結界はまだ壊れない。
「行けぇぇぇぇぇぇ!!」
最後にクレアが”ビームサーベル”を突き刺す。人間を越えた力で無理矢理に押し込む。その甲斐があってか、ようやく結界が壊れた。
ーーだが、同時に”ビームサーベル”も壊れた。ウルの魔法で強化した”ビームサーベル”だったが、結界の力も強かったため、相打ちの形になってしまった。
繭はまだ無事の姿を見せている。
結界を破壊したが、すぐに修復されて壊れた箇所を塞いでいこうとする。
輪廻はすぐに”隠真空刃”を叩き込もうとするが、充填しなければならないので間に合わない。チャンスを逃してたまるかと次の手を考えるが、先にクレアが動いていた。
「”ピヨピヨハンマー”ぁぁぁぁぁ!!」
壊れた”ビームサーベル”を手放して、次の玩具魔法を発動して、一瞬にして、手にはピヨピヨハンマーが握られていた。それを繭に直接叩いてーーーー
ドバァァァァァッ!!
パイルバンカーでも打ち込まれたような衝撃が何重にもなって、繭を貫通していた。
「や、やった!?」
英二が喜びの音色を含んだ声が響いた。繭は大きな穴が開いており、向こう側までも貫通していたので、中にいる蟲王メガロモスが生きているとは思えなかったのだ。
だが、クレアを含めた輪廻達が浮かない顔を浮かべていた。
「まさか、繭が囮だったとは……」
「手応えが少なすぎると思っていたけど、やっぱりそうなんだ~」
英二は二人が何を言っているのかと疑問を浮かべていたが、繭をじっくり見ると違和感を感じた。
「え、中身がない?」
そう、中身が何もなかったのだ。それに、メガロモスごと貫通したなら、液体とか何かが出てもおかしくはないのに、中身は綺麗なままだった。ということはーーーー
「ッ! やはり、もう繭から孵っていたのか!!」
「あ、地面が!?」
繭の後ろに位置する地面から、変な模様が浮かび出て光りだした。そして、地面が山のようにが盛り上がって…………
まず、盛り上がった地面から羽が姿を現した。羽の内側が宇宙のような輝きを放ち、周りの緑が命を得たように成長していく。
そして、成長した緑が死んでいくように枯れていった。
命と死を司る蟲王の力が片鱗を見せていた。盛り上がった地面が崩れて本体が見せる。
その姿は、どこかの怪獣を思わせるような巨体に、黒く硬い甲殻が最上級の生物だと誇示していた。
「ギュオォォォォォォォォォォ!!」
完全体となった蟲王メガロモスが命と死を振りまくべくに、この世界に現出したのだった…………
完全体となった、メガロモスが現れました!
ここからが本当の戦争の始まりとなりますぅぅぅ!!




