第百四十九話 本気
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では、続きをどうぞー。
戦いが始まってから十分が経った。メガロモスは何を考えてなのか、戦いは蟲人に任せ、動かなくなった。英二や啓二達は襲ってくる蟲の魔物を相手にしていたが、目の前で起こったことに信じられない思いだった。
「嘘だろ……」
啓二からそんな言葉が漏れる。啓二は決して、弱音を吐かないが、今は吐かなければならないぐらいに信じられない思いだったのだ。
啓二の眼にはーーーー
輪廻以外の魔人達は蟲人相手との戦局が最悪だった。
蟲人は全員が、最終形態と言うスキルで強化された姿になっていた。
そして、側には傷だらけに倒れている女性が。
ルティアは手脚を千切られて生きているだけの存在と成り下がっていた。
ウルはゲイボルグを真ん中から折られて、倒れ伏せていた。
テミアは腹に大きな穴を開けられて手脚は粉々に砕かれていた。
シエルは最初の攻撃によって、森の奥まで吹き飛ばされていた。
なんとか相手にしている唯一の輪廻でさえも相手に傷を付けることが出来ず、身体に小さな傷ができていた。
四体の蟲人の後ろには蟲王が控えているのに、それでは勝ち目があるとは思えなかった。
「弱いな。昔の先人の方がまだ戦えていたぞ」
「チッ、此処まで強いとはな…………よし、溜まったか。お前達の最終形態は思ったより大したことはなかった」
「何を言っている? 現に押されているのはーーッ!?」
輪廻から魔力が吹き出す。輪廻だけではなく、テミア、ルフェア、ウルからも高質な魔力が高まっていく。
皆はやられながらも、この時を待っていたのだ。高質な魔力を溜めるには、自分の動きに制限を掛けなければ、早く溜まることはなかっただろう…………
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ルフェアの場合
「漸く溜まったかのぅ」
「何ぃ、まだ死んでいなかったのですか?」
「それぐらいで我が死ぬわけがあろうか。もう、ここからは私の番だ」
「ッ!?」
インビノクタスは嫌な予感が咄嗟に身体を動かしていた。後ろへ跳んだため、ルフェアから噴出された冷気に触れずに済んだ。なのにーーーー
「グギィィィ!? て、手がぁぁぁ!?」
インビノクタスの右手が完全に凍っていた。芯まで凍っており、軽く叩いただけで砕けてしまいそうな感触を感じていた。
「”氷神姫”ーー」
冷気の霧から現れたのは、神々しく輝く氷のドレスを着たルフェアだった。今まで来ていた白いゴスロリの上に透明で精密にドレスと言う形を創り出していた。
「この姿を見せた者はお前が二人目になる。光栄だと思え」
「あ、あぁ…………」
インビノクタスは圧倒的な差を感じていた。なんとか隙を見つけようと複眼を動かして探すが、全く見つからなかった。というより、近付いたら死ぬと理解しているので、隙を見つけても意味はなかった。
インビノクタスのスキルは殆どが接近戦に特化しており、遠距離攻撃は余り持っていない。
「うあぁぁぁぁぁぁぁーー!!」
インビノクタスが選んだ手は、逃亡だった。次に繋げるための戦略撤退ではなく、言葉通りに恐怖から逃げようと背を向けて、此処から去ろうとした。
「逃すと思っていたか? ”氷之儀”」
ルフェアの”氷之儀”は氷神姫を発動していなければ、使えない技だ。自分が持つ氷結無効を突破して、傷を付いてしまうからだ。
”氷之儀”によって、冷気の霧が集まって、その中から真っ白な狼が現れた。その狼は全ての防御や無効系を無視して、攻撃することが出来る。ルフェアは氷神姫のお陰で、狼が発する冷気から守ることが出来ている。
「凌駕せよ、天氷狼!!」
天氷狼と呼ばれた狼は、逃げ去ろうとするインビノクタスに向けて、一閃の矢となる。
矢の如くにインビノクタスの飛行スピードを超えたスピードでインビノクタスを貫いた。
「そんナ……」
貫かれた場所から、急激というよりも一瞬で全身の細胞が凍っていき、風が吹いただけで身体を削られていくぐらいに脆くなった。
地面に衝突し、インビノクタスだった形は全く残さずに砕かれた。
一戦目の戦いは、ルフェアが勝ったのだった…………
どうでしたか?
あと、他の作品も宜しくお願いしますー。




