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第百四十四話 イア、死す

はいはい!!

続きをどうぞ!!

 


 宙に立つ玲子は、魔王の首を持って笑っていた。ウルが発した言葉により、その首は本物の魔王だと知って皆は驚いていた。輪廻だけはやはりと納得していたが、許せないことがあった。




「貴様、邪魔をしたな? それに、俺までに攻撃をするとは敵だと判断していいんだよな?」

「ふふっ、チャンスだったから攻撃して見たけどやれたのは魔人一人だけとか残念な結果になっちゃったね。貴方は厄介そうだから、今の内に消そうと思ったけど、避けられたなら仕方がないわね」

「初めから少年も狙って……!?」


 輪廻達は玲子と話をあまりしたことがないが、こちらに敵対するとは思っていなかったのだ。

 だが、輪廻達は確実に玲子を敵だと判断した。輪廻が動こうとした時、先に動いていた者がいた。




「貴様ぁぁぁ!! よくも、魔王様を!!」


 先に玲子に向かっていたのは、さっきまでクレアと戦っていたバルムだ。クレアと戦っていたバルムだったが、魔王の魔力に気付いて、魔王の首を持っている玲子を見つけた瞬間に戦いを放り出していた。




「ゴミの部下か? なら、私が手を下すまでもないわね」

「なっーー!?」


 いつ現れたのか、わかってないままバルムは銀色の身体をした魔人によって両手を斬り落とされていた。




「アルト、苦しませる必要はないわ。さっさと首を落としなさい」

「ハイ」


 アルトは以前、口がなくて話せなかったが、今は一線と書かれているような口が出来ている。アルトは以前、Sランクの魔人だったのに、バルムの両手を両断して素早い剣筋でバルムを斜め切りに斬り捨てる。




「ぐがぁ、魔王様……」

「ゴミと同じようになれるのだから、感謝をしなさいよね?」


 玲子は冷たい笑みを浮かべて、アルトがバルムの首と胴体を切り分けた。




「あのバルムがアッサリとやられるだと……!?」

「ウル……」

「あ、兄貴! 喋るな、直ぐに治してやるからよ!! ”活性強化”」


 覚醒魔法は隠された力を見出して強化するだけではなく、今ある能力を活性させて強化することも可能だ。今は死んだ細胞を活性化させて、新しい細胞を排除して、まだ生きている細胞から新たな細胞を生み出すように働きを掛けているのだが…………




「なっ、何故!? 回復しないだと!?」


 何故か、ウルの魔法が効いてなかった。輪廻から見たら、イアの傷に歪んだ空間のようなのが見えていて、ウルの魔法を逸らされているように感じられた。

 つまり、玲子が放った技は対象者に傷を付けて、回復させることが出来ないようにする効果があるようだ。

 このまま、回復出来ないならウルは死んでしまうだろう。

 輪廻はこのまま、イアを死なさせるのは許せないと思っていた。自分の手で決着を付けたかったからだ。




「チッ! ルフェア、あいつらを警戒してくれ! テミアとシエルは後ろの冒険者を解放して逃がしてやれ!!」

「了解した」

「はっ!」

「わかったわ!」


 輪廻は皆に周りのことを任せ、ウルとイアの元へ向かっていた。イアの側に立ち、魔法を唱えようとする。




「お前! 何をしやがる!?」

「黙れ! 先に傷跡に残っている魔力を排除しないと回復出来ないぞ。俺がそれを排除するから、お前は回復に集中しとけ!!」

「な、何故……敵を助けるつもりか?」

「ふん、決着もまだなのに、死なられたら目覚めが悪いだけだ。それとも、このまま死んでもいいのか?」

「っ! い、嫌だ!」

「なら、集中しろ!」


 輪廻は重力で歪みを相殺させることで破ろうと考えている。歪みで逸らされるなら、逸らされても破壊出来るように重力で全方向から攻撃を加えて、握り潰せばいいだけだ。

 破壊を始める所にーーーー






「いかん! 二人共、イアから離れろ!!」


 ルフェアは玲子を警戒していたが、玲子の笑みから嫌な予感を感じて、叫んでいた。その嫌な予感は当たっていたようで、イアを苦しめていた歪みの魔力が膨らみ始めた。

 それを見た輪廻はハクを呼ぼうとしたが、間に合わない。確実に玲子の攻撃が早いとわかったからだ。

 その歪みが動く前に、イアが先に動いていた。




「輪廻、ウルを頼んだぞ……、ウルも生きろ!!」

「あ、兄貴ーーーー!?」


 本来なら、膨らんだ歪みの魔力が爆発して時空の刃が発生するはずだったが、イアが最後の力を振り絞って、自分に催眠魔法を掛けた。

 イアは自分の魔力を使われて、歪みの魔力が膨張していることに気付いて、催眠魔法で自分の命を終わらせた。自分の命を終わらせたことにより、魔力が空へ霧散してしまい、膨張した歪みの魔力は萎んで行き…………消え去った。




「兄貴ぃぃぃーーーー!!」




 輪廻とウルは助かったが、代わりにイアは死んだ。ウルが泣き叫んで、イアの身体に寄り添うが、イアは目を閉じたままだ。

 それを見た輪廻は額に青筋を浮かべていた。助けられなかった自分へ怒りと…………




「貴様!」

「ふふっ、敵が死んだのだから喜ぶべきでしょ?」


 宙に浮いている玲子を睨むが、玲子は笑顔を浮かべたままだ。




「先にそのゴミも片付けておきたかったけど、いいかぁ。これから、私達の仲間を紹介しよう!! 来なさい!!」


 空が歪みによって、上と下へ分かれるように時空からの扉が現れる。そこから、四人の人が現れる…………




「なっ、あいつは!?」

「あ、あぁ……」


 テミアとシエルが声を上げて、現れた者に驚いていた。四人の内、二人はローブを着ていたから誰かわからないが、他の二人には見覚えがあったのだ。




「あら、ひさしぶりねぇ。りゅうのすみかであったいらいかしら?」


 赤と黒が混じったドレスを着ていて、ぬいぐるみを持った少女。影から人形のメアが現れたことから、その正体はSSSランクの冒険者、エルネスだった。

 もう一人は、ある物を連れていないからすぐにわからないが、シエルだけはわかっていた。




「あ、貴方は、『暴竜』!?」


 そう、もう一人の男は『暴竜』の二つ名を持つ冒険者。シエルの故郷を潰した本人でもある。




「ふん、俺のことを知っているのか。有名になったものだな」

「そりゃ、ふぁむどもSSSランクになったんだし」


 エルネスが呼んでいたファムドはこの前にSSSランクに上がった強者である。他の二人はわからないが、そんな強者が玲子の仲間になっていることから、只者ではないとわかる。




「ふふっ、驚いたかしら? このメンバーで『ロスディ・クリア』と名乗っているわ」

「……あいつらを集めて、何をしようとしているんだ?」

「そうね、目的はまだ話してなかったわね」


 玲子の目的。それはーーーー






「私達、ロスディ・クリアの目的はーーーー世界の破壊よ」






明かされた、玲子の目的!

それに対して、輪廻達はどうするか?続きをお楽しみに!!

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