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第百四十三話 一撃必殺

はい、続きです!

 





「っ! クリスタルが割れそうだよ!?」


 シエルの言う通りに、中で輪廻とイアが眠っているクリスタルという揺り籠が割れていく所だった。

 ピキピキと少しずつではなく、一気にバリィィィーーとクリスタルが崩れていく同時にーーーーイアが口から血を吐き出した。




「あ、兄貴!?」




 イアは血を吐いて膝を付き、反対に輪廻はトンッと地面へ降り立っていた。その様子から、外で待っていた者は輪廻がイアの魔法を破ったのがわかった。




「う、げごほぁッ」

「まさか、兄貴の魔法が破られたのか!?」

「御主人様! 御無事で!?」

「まだ眠気が残ってるが、問題はないな」


 輪廻は眠そうな瞳をしつつ、身体に異常はないか確かめたが無傷だった。ちなみに、イアの魔法は殆どが精神攻撃で、肉体に直接傷を付ける技はあまり無い。




「さて…………って、後ろで氷漬けにされている奴らはなんなの?」


 戦いを続けようと思ったが、後ろで数十人の人間が顔以外を凍らされて動けない状態になっていたことに気になったのだ。




「それは我が説明しようじゃないか!!」

「うぉっ、何処から現れたんだよ。お前だけは察知に引っかからねぇから普通に出て来いよ」

「うむ、すまなかった。上空で他の敵が来ないように見張っておったんだ! それに、こいつらは二人が夢の中で戦っているのに、手を出そうとした不届きの者だ。殺したら後が面倒そうだったから、動けなくしただけだがな」

「成る程」


 つまり、凍らされているのは自分ごとイアを葬り去ろうと考えた冒険者ってわけだ。あいつらは啓二と一緒に魔物退治をしていたが、数が多すぎて本隊から外れて…………ここへ鉢合わせたってとこかな。




「まぁ、ここは暫く放っとくか。後は啓二達が来たら任せよう」

「解放しやがれ!! すぐに解放しないなら後が酷いぞ!!」

「……まだまだ元気な奴がいるな」


 身体を凍らせられても、顔だけは出ているので口も動く。それに、叫んでいる男以外は体温を奪われて叫ぶ元気も無くなっていた。

 まだ元気な男は体力だけはあるようで、氷から抜け出そうとジタバタしていた。




「御主人様、あの男です。私達が手を出すなと理由も説明しましたのに、御主人様ごと消そうとしました。周りの人はそれに吊られただけですが、攻撃しようとしたので同罪となりました」

「ふーーん、ねぇ。むさ苦しいおじさん? 俺は一応、そっち側なんだけど?」

「知るか! 途中から仲間だと言われても信じられんな! それに厄介な魔人をたった子供の一人だけで道連れに出来るなら安いものだ!!」

「やはり、こいつだけは殺しても?」


 テミアは額に青筋を浮かべて、地喰を力強く握っていた。




「あー、俺もそう思うけど…………今は放っとくぞ。戦いが終わっても、その男だけは解放しなくていい」

「了解した」

「まぁね、後は偉い人に任せよう」


 ここで殺しても、後ろにいる冒険者を怖がらせるだけなので、死刑は見送る。まぁ、啓二に言う予定だから命が残るかわからないが……




「あ、魔人の二人は…………逃げなかったんだ?」

「チッ、逃げようと思っても、お前は逃してくれなそうだしな。アレも小僧の力だろ?」


 ウルがチラッと茂みの方を見ると、そこにはアモンとハクが隠れていた。もし、逃げようとしたらあの二体の蛇が逃さなかっただろう。




「それに、負けっぱなしも気にいらねぇ」

「成る程。逃げるよりも戦って死ぬを選ぶか」

「そういうことさ。まぁ、私も本気でやることに決めたからな。魔王様に止められているが、もう知らねぇ!!」


 ウルが前に出て本気を出そうとしたが、後ろからウルの手を掴む者がいた。その者とは…………イアだった。




「あ、兄貴?」

「だ、駄目。俺はまだやれる」

「なっ! やめとけよ! もう身体はボロボロなんだろ!?」


 イアは催眠魔法を破られた反動で内臓は潰れていて、外傷も所々に付いている。流石に戦える状態ではないのはウルにはわかっている。だから、代わりにウルが戦おうとしたが、イアはそれを許さない。




「あいつは、俺の獲物だ……。ウル、わかるよな……?」

「くっ……! あ、あぁもう! 死んだら許さないからな!! ”身魔覚醒”!!」


 ウルの覚醒魔法がウルの身体を回復し、強化させる。回復し、強化したが、それは時間制限があって数分だけだ。




「すまない、ウルは下がってくれ。あいつと最後の決着を付けてくる!」

「ほぅ、覚醒魔法はそんなことが出来るんだな。最後の攻撃で決めるつもりか?」

「ああ。精神に作用する技が効かないなら、直接に作用させてやるよ。”眠撃”…………」


 右手にまとわりつく青白い魔力、”眠撃”は催眠魔法の中でも触れる必要がある唯一の技だ。この技なら、直接に脳へ作用させて永眠させることが出来る。それに最後の攻撃を選んだのだ。




「ふむ、触れられただけで死ぬ技みたいだな。一撃必殺の技で決めに来るなら俺もそうしようーーーーアモン、”死紋剣”!!」


 輪廻も相手に合わせて、一撃必殺になる技。アモンをカオディスアへ吸収し、”死紋剣”を発動した。

 カオディスアから黒い魔力が溢れ出て相手へ死を感じさせるほどの力がイアへ向けられる。




「先に当たった奴が死ぬ。わかりやすい決着だな? テミア達は黙って見ていろ」

「そうだな。わかっていると思うが、ウルは手を出すな」


 二人は他の人の邪魔を許さない。二人だけの空間が出来ていた。お互いのどちらが死ぬまで戦いは終わらないというように…………




「終わりだ」

「お前こそ」


 二人は笑っていた。最後の決着を楽しむように、二人は小細工もなしに脚へ力を入れて、前へと地を踏み込むーーーーーーーー






「っ!?」






 寸前に、輪廻は嫌な気配を感じてハクを巻きつかせていた。






 シュッ!






 何が起こったのか、輪廻とイアに攻撃があった。周りの人には手を出すなと言っていたから、攻撃が来るわけがない。だが、実際にハクへ攻撃が加えられていた。

 輪廻はハクを咄嗟に巻きつかせていたから無傷だったが…………




「ぶぁごふっ……」


 イアは上半身と下半身を真っ二つに分かれて、口からさっきより大量の血を吐き出して倒れていた。




「兄貴ーーーー!?」

「誰だ!? 戦いに邪魔を入れた奴は!?」


 輪廻はハクに攻撃された方向へ向けていた。そこには、空中で立っている人影が一つだけ見えた。

 その人影は、手に何か持っていてクスクスと笑い声を上げていた。

 輪廻は目を凝らして、その人物が誰なのかわかった。




「き、貴様は玲子!? その手にはーーーー」




 その正体は、前からいなくなっていた玲子であり、その手には誰かの首を持っていた。玲子は白いドレスを着ており、真っ赤な血で汚していた。

 輪廻にはその首は誰なのかわからないが、残った強大な魔力が秘められていたことから、それがなんなのか読めていた。その答えはイアを抱きついていたウルの口から発された。






「ま、魔王様…………」






 玲子が持っていたのは、無残な姿にになった魔王の首であったーーーー






ようやく、玲子が現れました!

魔王もやられていて、これからはどうなるのか!?

続きをお楽しみにして下さいね!

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