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第百四十話 一つの決着

お待たせました!


 


 向こうから爆発音が聞こえ、ルフェアは手を止めた。




「ふむ、一人の気配が増えているな。こっちの味方なら放ってもいいか」


 爆発の矛先がバルムへ向けられていたことから、こちらの味方だと判断した。ルフェアはここから1キロも離れている先が見えていて、向こうの状況を掴んでいた。




「どうやら、魔王側が不利のようだ。それについて、何か一言あるかな?」

「ぐげぼぁぅ…………」

「既に言葉を表すことが出来なくなっておるか」


 ルフェアはゼロクアを相手にしていたが、今のゼロクアは無残な姿であった。

 回復力が高い悪魔族であっても、氷に貫かれて傷を凍らされてしまえば、高い回復力も役に立たない。

 ゼロクアの長所であった凄さ増しい魔力もルフェア相手には歯が立たなかくて敗北を喫していた。




「しかし、魔王の幹部がこの程度だとはな。輪廻に隠れて特訓をした意味が薄くなるじゃないか」


 今のルフェアは前と違った服装で、黒いゴスロリから白いゴスロリに変わっていて、ルフェアの魔法に映えるような姿だった。この力を持ってゼロクアに相対したが、ルフェアの相手にもならなかったのだ。




「まぁいい、消えろ」




 ルフェアはパチッと指を鳴らすと全身へ氷が覆っていく。そして、爆発するように氷が中身ごとバラバラへ割れていった。




「次は輪廻の元で見学でもするか」


 戦いにもならなかった戦闘を終わらせて、ルフェアは輪廻の元へ向かうのだった……






 ーーーーーーーーーーーーーーーー






「なんだよ、その剣は!? ゲイボルグと打ち合って壊れないとか!!」

「ただの剣じゃないからな。一つ目の剣を見せてやる!」

「む!?」


 輪廻はカオディスアの一つの剣を見せることにする。

 刀身が見えなくなったカオディスアに対して、ウルは刀身が見えなくなる能力だと判断した。刀身が見えなくても、輪廻の手には柄が見えていてそこから軌道を判断するのは難しくない。

 剣が通ると思われる軌道にゲイボルグを挟んで防御しようとしたが、自分といい勝負しているあの輪廻がただ見えなくなる剣で決着を付けるとは思えなかった。その考えに思い立ったウルは勘に近い反応が身体を咄嗟に後ろへ下がらせていた。




「っーー!?」

「お、下がったことからこの剣がなんなのか見破ったのか?」


 ウルの薄い胸に浅い傷が生まれていた。防御していた筈のゲイボルグにはなんの反応を起こさずに、ウルまで剣が届いたのだ。

 致命傷を避けたといえ、斬られたことに驚愕とバランスを崩したことで次の攻撃は避けられない。




「くっ!!」


 完全に避けられない代わりに腕を犠牲して、死を回避しようとするーーーー






「”永眠死”」






 何処からか聞こえた言葉から、突然に輪廻の身体が重くなり、力も抜けてまぶたも下がりそうになった。だが、輪廻は気を強く持って舌を噛んだことで、意識を覚醒させる。その隙に危機から逃れたウルは輪廻から離れて、声が聞こえた方へ向くと、そこにはウルの兄であるイア・ダ・エルがいた。




「ふわぁっ、防がれちゃった。前よりは強くなったみたいだね」

「あ、兄貴!?」


 さっきのは、イアの催眠魔法で相手を死に至らせる眠りの魔法だったが、輪廻の高い能力と精神力によって、それを防いだのだ。

 輪廻はここで幹部の一人が加勢に入ったと警戒していたが、その展開にはならなかった。




「兄貴! もう起きても大丈夫なのかよ!?」

「んー、まだ眠いけど大丈夫。それに、その子は僕の獲物だから他にはやれないんだよね……ふわぁ」

「む、何処かで会っていたのか?」

「うん、アルト・エルグでちょっとね~。だから、次は僕の相手ね」


 どうやら、向こうは交代するだけで二人同時に掛かってこないようだ。もし、二人相手だったら輪廻は負けるつもりはないが、苦戦すると考えていた。




「イア。アルト・エルグではお世話になったな」

「んー、僕の部下がやってたから僕のお世話になったとは違うと思うけど~。まぁ、いいや。強くなったら相手をしてもいいかなと思っていたし……ふわぁっ、みゅぅっ…………」

「お、おい。本当に大丈夫なのかよ……?」


 イアは話の途中で身体がぐらついて眠そうに欠伸をしていた。この状態では、流石に戦闘は難しいんじゃないかとウルが心配していた。

 だが、イアは大丈夫というようにウルを手で止めていた。




「アレをやるから、二人の身体を頼んだよ」

「おい!? あれは戦争中に使う技じゃねぇだろ!?」

「大丈夫ー、ウルが側にいるんだからー」


 二人の会話を聞いていた輪廻はウルが止めるほどにヤバイ技を使おうとしているだけはわかる。だが、イアが言っていた『二人の身体を頼んだよ』と言う意味がわからなかった。

 その疑問の答えがわかる前に、イアが動いた。




「輪廻と言ったかな? お前にはただの催眠では防がれてしまうから、切り札を切らせて貰うよーーーー」




 側にいたウルは少し離れていて、見ているだけで何かしてくる気配はない。むしろ、邪魔にならないように離れたような感じだった。

 そして、イアから先程の魔法と違って凄さ増しい魔力が吹き荒れるーーーー






「眠りに惹き、夢の楽園へ赴けーーーー”夢之理”」






 切り札が発動した瞬間に、輪廻とイアの二人は一瞬の抵抗も出来ずに深い眠りへ落ちていったのだったーーーー








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