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第十四話 ゴブリン討伐 後半

本日一話目


 結局、ラン達も一緒に戦うことに決めたようだ。2人が戦っているのに、見ているだけなのは嫌らしいと。




「はぁ、なんでそんなことになったんだろう……」


 メンバーの命を預かる立場にいるリーダー、ランは本来なら止めるべきの場面だ。だが、2人の言葉を撤退させることも出来ずに、2人だけで向かいそうになったので仕方がなく一緒に戦うことにしたのだ。




「作戦がありますので、全員が無傷で勝てると思いますよ?」

「それは……、確実なのか?」

「ええ……」


 輪廻はニヤリッと口を歪めて、作戦を話した…………









 洞窟の近くまで着き、洞窟にはゴブリンの姿が見えたから、全ての洞窟がゴブリンの住家だとわかった。

 中にまだ沢山いる可能性もあるので、数は外にいる分しかわからないが、外にいるゴブリンは10体はいた。


 ここで輪廻が立てた作戦とは…………






「”風球”!!」






 まず、アニーが魔法で適当な場所に向けて何発か撃ち出す。

 ゴブリン達が魔法による破壊音で洞窟の中にいたホブゴブリンとゴブリン達が出てくる。

 ランが見た所、ホブゴブリンは5体、ゴブリンは30体以上はいた。

 これで洞窟内のゴブリン達を引っ張りだせたと推測し、テミアは前に出て、ランとダリオとアニーは後ろから遠距離攻撃をする。ランは火魔法を使えるらしく、アニーと一緒に魔法を撃つ。ダリオは弓で矢を射り続け、テミアは…………




「ゴミ共、私の前に平伏せなさい!」




 片手で大包丁剣を構えて、向かって来るゴブリンだけを一線と振り払う。

 当たったゴブリンは何をされたのかわからずまま、横真っ二つになって倒れていく。

 それらの攻撃でどんどんとゴブリン達が倒れていく。後ろで待機するホブゴブリンは、攻撃範囲に入っていないので無事のままだ。

 何故、ホブゴブリンを狙わないのかは、後ろに忍び寄る者まで巻き込むにはいかないからだ。






「まず、1体」






 テミアやラン達を注意深く警戒していたホブゴブリンは後ろに忍び寄っていた輪廻に気づかなかった。

 そのまま喉を斬られ、まずホブゴブリン1体が死んだ。そのままこっちに振り向いて来るホブゴブリン2体の額にナイフを突き立てる。






「残り2体」






 黙々と仕事をこなしていく輪廻。ここまでやれば、作戦が何なのかわかっただろう。

 まず、テミアとラン達が囮になってゴブリン達を引き付け、ホブゴブリンの警戒も輪廻に向けさせないように暴れてもらった。

 そして、注意の全てがテミアとラン達に向けられた所に、”隠密”を使える輪廻が統率するホブゴブリンの後ろに周り、消していく作戦なのだ。




「ギィィ!」


 残った2体のホブゴブリンが輪廻に向かうが、急に身体が重くなって地に膝を付かされて、恐怖心が浮かんで身体を震えていた。




「おっ、このコンボは使えるな」




 輪廻がしたことは、暗殺者として活動していた時に、身につけた殺気の操作と、重力を変える”重圧”でホブゴブリンの動きを止めたのだ。

 殺気の操作はスキルに出ないが、”重圧”のコンボで”威圧”に似た技を使えたのだ。


 今のホブゴブリンの状態は、身体の体重に100キロの重さが追加され、輪廻の殺気によって身体の硬直で自分の身体を上手く動かせないでいた。




「おまえ達の命を貰おう」


 額に刺さっていたナイフを抜き、膝を地に付いているホブゴブリンにも額に刺した。

 ”重圧”を解除すると糸が切れたように倒れたのだった…………




(案外と簡単に倒せたな? お、ちょうど向こうも終わったみたいだな)


 向こうを見ると、テミアの大包丁剣と何も持っていない左手もゴブリンの血で濡れていた。左手が血に濡れたのはおそらく、周りにある頭が潰れたゴブリンを見るには、高い筋力を持って、直接殴ったから潰れたのだろう。

 メイド服には返り血一つもなかったが、攻撃した部分を汚さないのは無理だったようだ。




「お疲れ」

「いえ、御主人様もお疲れ様でした。布をお借りしても?」


 鞄に入っていた布をテミアに渡してやった。武器は血がついたまま放置をすると、錆びてしまうから手入れをきちんとしておかないと駄目なのだ。

 テミアはいいとして、3人の方を見ると、顔を青ざめてテミアを見ていた。




(……まぁ、テミアの戦いを見ればそうなるだろうな)


 テミアは笑みを浮かべながら大包丁剣を片手で持って斬りつけ、空いた手は裏拳などでゴブリンの頭を叩き潰していたのだ。それをただの人間がやれることだと思えず、顔を青くしている。

 そんな所だろうだと思い、声を掛ける。




「大丈夫? 顔が青いのですが?」

「あ、ああ……、あのメイドは、何者なのよ……」


 ランは何とか声を搾りだし、テミアのことを聞いてくる。




「うーん、力強いメイドさんとしか言えませんね。終わったので、ギルドに報告しに戻りませんか?」

「こちらも終わりました。布、ありがとうございます」


 汚れた布を渡して来るテミア。鞄を持っているのは輪廻しかいないから仕方がないといえ、鞄の中に入れたくないなと思った輪廻だった…………






−−−−−−−−−−−−−−−






 何とか顔色が戻ったラン達と一緒にギルドに戻って受付をしていたリーダ報告をする。




「あ、ラン様のパーティと輪廻様にテミア様も帰って来たのですね」

「終わりましたので、報告しに来ました」

「了解しました。皆様のギルドカードをお渡し下さい」


 ギルドカードには、倒した魔物や魔人の名と数を表示出来る機能が付いているのだ。ただし、表示出来るのは最後に息の根を止めた者だけなのだ。さらに、レベルアップするために必要な経験値が入るのも最後に息の根を止めた者だけである。

 だから、あの時、テミアが1人で全滅させる案に反対したのだ。テミアが全滅させたら、輪廻に経験値が入らないからだ。






「お待たせました……。これが報酬になります。あと、輪廻様とテミア様の倒した数が多かったのですが……」

「あー、アタシらは殆ど役に立ってねぇから、報酬は全て2人に……いや、御主人様である輪廻に渡してやってくれ」

「その通りだな」

「うん……、私は魔法を見れただけで満足……」


 3人も受け取るはずの報酬を全て、輪廻に渡すと言う。テミアの分は輪廻が管理しているから、御主人様である輪廻に渡すのは間違っていないが…………




「え、どうしていらないのですか?」

「元はこっちの謝罪としてやっていたことだし、殆どのゴブリンとホブゴブリンは2人だけで倒したモノだろ?」

「ああ、黙って受け取りなよ。それで貸しはなくなるんだからな」

「うん……、それにこれはお礼でもあるから……」


 アニーのは重力魔法のことだろう。魔法としか言っていないから、ちゃんと口止めのことを覚えているようだ。

 この3人に何を言っても無駄なので、黙って受け取ることにした。




「どうも」

「またいつか組もうな」

「そうだな、今度は俺達も働けるようにしないとな」

「また見せてね……」


 またパーティを組もうと言ってくれるが、輪廻はちょっと残念そうな顔をして言う。




「それはありがたいことですが、しばらくは無理ですね」

「ん、何かあるのか?」

「はい、もうこの国を出て旅に出ようと思っているので、いつ会えるか、わかりません」


 ずっとティミネス国にいたら、召喚者の皆や兵士達に見つかって連れ戻されてしまうので、さっさとこの国を出て、旅をしたいのだ。

 人間の国はティミネス国を含めて、三つの国があるから、まず近い国を目指すのもいいかなと考えている。




「そうなのか……、残念だがアタシ達はここで稼がないと駄目だからな……」

「もし、ここに戻ってきたら会いに来いよ!」

「殆ど、ギルドにいるから……」


 ラン達とはここでお別れになり、リーダにも短い間でしたが、お世話になりましたと、挨拶をしたら…………






「ええっ!? もうここを出ちゃうのですか!? 期待の新人がぁ……」






 どうやら、ギルドでは輪廻とテミアは期待の新人と認識されているようだ。

 期待の新人が生まれたと思ったら、もうここを出ていくと言われたら嘆くのも仕方がないだろう。


 挨拶も終わったので、旅に必要な物を最低限、買ってからティミネス国を出たのだった…………







次は昼頃になります

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