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第百三十七話 瘴気武装

遅くなりましたが、続きをどうぞ!!

 


 テミアに助けられたシエルだったが、毒舌によって泣きそうになっていた。さっき死が近づいていたのもあるが…………

 涙目になりそうながらも、テミアの両腕が黒く染まっていることに気付いた。テミアの身体は完全に修復されていて、何故かメイド服までもーーーーと気になったが、一番気になったのは黒く染まって両腕である。

 その視線に気付いたのか、テミアが軽く教えてくれた。




「この腕は自分の瘴気によって黒くなっています。この黒さに形は醜いでしょう? まぁ、ダークエルフのシエル程ではありませんが……」

「……貴女は毒舌を吐かないと説明出来ないの!?」


 テミアは毒舌を含むのを忘れない。ふざけた雰囲気に、トトが信じられない思いで叫んでいた。




「貴様、さっきは何をした!? ワシの鬼潰棒が壊れるなどはーーーー」

「わからないの?」

「っ!?」


 テミアは瞬動によって、一瞬でトトの懐へ入っていた。トトは咄嗟に残った武器でガードをしようとしたがーーーー




「ぐぉあっ!?」


 また残った二節の鬼潰棒が耐える暇もなく粉々へ朽ちていき、そのままトトの腹へテミアの拳が打ち込まれていた。

 巨大なトトの身体が後ろの地面を削りながら吹き飛ばされていく。この光景にシエルも呆気に取られていた。




「私の新しい能力、『瘴気武装』は魔力を持つ物体を破壊しーーーー自分の身体も強化するわ」




 テミアが言う『瘴気武装』は文字通りに瘴気を纏い、瘴気の性質であった魔力を乱して破壊する部分が黒く染まっている両腕にも適用されている。それだけではなく、テミアのステータスである魔力と魔耐を操作して、全てを筋力へプラスすることが出来る。

 今のステータスはこうなっている。




 ---------------


 テミア(魔族) ???歳 女(瘴気武装中)


 レベル:138

 職業:メイド

 種族:病魔

 筋力:15400(39600)

 体力:12100

 耐性:10900

 敏捷:13100

 魔力:13200

 魔耐:11000

 称号:病の魔族・珍魔族・毒舌家・破壊魔人・愛に走る者・掃除者・メイドの鏡・パワー系メイド

 魔法:水魔法(水刃・水遁弾・再水・水蛇・時雨)

 スキル:瘴気支配・瘴気変化・魔力操作・上位鑑定・上位隠蔽・集中強化(金剛・硬質・瞬動・魔融)・毒無効・念話・言語理解

 契約:輪廻(人間)


 ---------------




 ステータスに目を通せば、筋力が凄さまじく増えたのはわかるが、それだけなら強固なる鬼潰棒を壊すのは難しい。

 だが、鬼潰棒が魔力を通う武器だったため、壊すことが出来たのだ。テミアの両手に纏う黒い物質は、テミアの本質である魔力の毒なのだ。

 その魔力の毒によって、魔力によって大きさや形を変える能力を持った鬼潰棒は魔力の毒によって朽ちていく。今もその症状が進行するように少しずつ崩れていくのが見えている。


 トトは起き上がりながら、崩れていく鬼潰棒を見た瞬間に手から離していた。もう使えないと判断したからだ。




「……変な能力を使ってくるな。ーーーーだが!!」


 今度は拳でテミアを殴り潰そうとする。テミアもそれに合わせて、カウンター気味に拳同士をぶつけ合う。




 拳がぶつかり合い、お互いは少し後ろへ下がっていく。トトは自分の考えが正しかったからか笑っていた。




「やはりな! お前は自分よりも強い者の魔力に対しては効果が薄いな!!」

「数手を合わせただけで、そこまでわかりましたか。ただの脳筋ではありませんねーーーーでも、使い方が一つだけではありませんよ?」

「むっ!?」


 テミアの左手から黒い瘴気が蠢きながら右手へ移っていき…………ランスの様な形に変わっていった。




「ランス形態ーー」




 右腕がランスそのものに纏って、瞬動で正面から肉薄する。トトはまさか真正面から来るとは考えてなかったようで、反応が僅かに遅れたが、拳はテミアに合わせられようとしていたーーーー




「ぐがぁぁぁぁぁーーーーッ!?」




 今度はトトの拳がランスによって抉られることになった。この戦いで、初めて傷らしい傷を受けたトトに隙が出来たのを見逃すテミアではない。

 テミアは空いた左手で地喰いを持って、爆発の剣の”爆砕剣”で脚を狙う。




「む!?」

「トドメぇぇぇ!!」


 尻餅を付いたトトに最後の攻撃、ランスが心臓を狙う。巨人族も心臓を突き刺されてしまえば、死ぬ。その時が来ようとするように見えたが、まだトトは諦めていなかった。

 トトが雄叫びを上げたかと思えば、十メートルもあった身体が更に大きくなっていた。大きくなったせいで、ランスの狙っていた先が心臓がある胸から脇腹へ変わっていた。




「なっ!?」

「ぐぎぃ、あ、アハハハッ!!」




 このタイミングであれば、確実にランスは心臓を貫けたはずだったが、それを出来なかったことに驚くテミアと、テミアの崩れていく黒いランスを見て、トトは笑う。

 トトは致命傷を受けているが、心臓さえ無事ならまだ戦えるし、動くことも出来る。厄介な瘴気が崩れていくことにトトは勝ち目が出たのだ。

 ちなみに、瘴気が崩れたのはトトが何かしたのではなく、使える時間が切れただけである。




「終わりだぁぁぁぁぁ!!」

「くっ!」


 振り回される腕が空中にいるテミアへ向かっていこうとしている。空中にいるため、避ける術がないまままた身体をバラバラにされてしまうだろうと覚悟していたがーーーー




 二本の矢がトトの眼へ向かってきていることに気付いたトトは、致命傷になっている身体で受けるのはヤバいと感じて、身体を捻って避けていた。

 身体を捻ったため、テミアへの攻撃は逸れて当たることはなかった。




「余計な事を……」

「今回ぐらいは、お礼を言ったらどうなの!?」


 二本の矢を射ったのは、シエルであった。二人はすぐに合流して…………




「まぁ、いいです。今回が最初で最後になるでしょうが、感謝はしましょう」

「普通にお礼を言えないのかな!? このメイドは……」


 最後はテミアだからと諦めるシエルであった。馬鹿な会話をしている間にトトは痛む脇腹を抑えながら立ち上がっていた。




「この状況、もう俺の勝利で終わりそうだな? お前達にはもう戦う力は残ってない」

「確かに、攻撃する力は既に尽きていますね」


 テミアの切り札であった瘴気武装も少し休まないと使えないし、シエルもさっきので魔力は使い果たしていた。魔力を回復させる隙を、トトはもう見せてくれないだろう。




「そうだ、もう死ね!!」




 無事な方の拳で二人を纏めて叩き潰そうとする。テミアはもうやれることはないというように、黙って拳を見続けていた。シエルは既に逃げるにはもう遅いとわかっているが、あのテミアが大人しくやられるとは思えなくて、側にいるテミアを信じて眼を瞑るしか出来なかった。

 このままなら、一撃で痛みもなく死ぬだろうと衝撃に耐えるシエルだったがーーーー













 だが、その衝撃は全く起きなくて、眼をゆっくりと開いていく。そしたら、拳は二人の上空にて止まっていたことに気付いた。

 まさか、トトが自分で止めたかと思ってトトの方を見てみたが、違った。




「ぐぎぃ、ぐがぁぁぁぁぁ!?」

「え?」


 トトの顔を見ると、力を入れているのに動かない。さらに、痛みに呻いているように見えた。




「ようやく、回りましたか」

「え、何かしたの?」


 テミアの様子から、テミアが何かしたのはわかるが、どうやったかはまだわかっていない。




「な、何をした……」

「私の種族を忘れたのですか? 私は魔力の毒を司る病魔ですよ」


 テミアはトトが傷付いた時から仕込みをしていたのだ。そのまま、魔力の毒を使っても、強力な魔力に守られたトトの身体へ進入させるのは無理だが、傷を付いた箇所からなら進入は可能だ。




「巨大な身体だからなのか、時間は掛かりましたが、貴方は傷を受けた時から既に負けていましたよ?」

「ぐぎぃ、ぐがぁきべぁーーーー」


 トトは喋れない程に顔が膨らみ、それだけではなく、身体も膨らんでいくではないか。




「最後は自分の魔力によって殺されて死にます。これが、私の切り札であるーーーー」






 ”魔体自爆”






 テミアがそう呟いた先に、トトの身体はボンっ!! と爆発して肉片を周りへ散らばった。




「この戦いは私の勝利でしたね」


 テミアが珍しく、勝利の宣言をしていたーーーー




「違うよ! 私達の勝利でしょ!?」

「…………決め台詞を邪魔するババァは馬に蹴られて死ねばいいのに」

「ちょっ、聞こえているわよ!?」


 シエルに邪魔をされたような気分になって、毒舌を吐くテミアだったが、二人が組んだなら最後は毒舌で締めるのが丁度いいと輪廻がこの場にいたら、そう思っていただろう…………








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