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第百二十八話 戦力増援

 


 重力の壁に乗っているのは輪廻だけではない。輪廻の仲間はそうだが、英二のパーティもいる。それだけではなく、輪廻が出会った中で実力を持つ顔ぶれもいた。

 その数は三人であり、まず…………




「ヤバい状況になっているな」

「問題ねぇだろ、さっき輪廻が中から外へ押し返していたみたいだからな」


 ラディソム国のギルド長を受け持つ元SSランクのダガンに同じくガリオン国でギルド長をやっているメルア。メルアは元Sランクだが、実力はSSランクには劣らない。




「輪廻さん、目標を見つけたので先に行っても?」

「あぁ、任せる」


 輪廻から許可を貰い、水の龍に乗って移動しようとする女性はアルト・エルグで出会った冒険者のエリス。エリスとはたまたまガリオン国で出会い、エリスの目的が魔王の幹部になっているある人を殺すためで、利害が一致したので一緒へ行くことになったのだ。

 ちなみに、エリスは既にSSランクに上がっていて、ステータスも前のと別格だった。




「のう、あなた。エリスと言う者は幹部相手に戦うにはちと厳しいのではないか?」

「いや、エリスの話が本当のことなら勝ち目はあるだろう」


 ルフェアが先に向かったエリスのことで幹部相手に一人で戦うには厳しいと進言してきたが、エリスから聞いたある魔人の情報を聞いた輪廻は勝ち目は僅かだがあることで、認めたのだ。




「ギルド長二人には幹部一人を任せたい。勝てなくても、足止めぐらいで構わない」

「ふっ、私が負けると?」

「打倒するには厳しい相手を任せることになるから、言葉を選んだだけだ」

「ふむ、お前が言うぐらいだから強いんだな?」


 輪廻は下に目を向けると、こっちへ攻撃してくる者がいた。その攻撃は闇魔法、”魔隕石”だ。




「邪魔をするな!!」


 攻撃してきたのは、先程に吹き飛ばされていた四人の内、一人である魔騎士族のバルム。そいつは魔王の側近であり、魔人イア、ウルと同様に昔から魔王に忠誠を誓っていた。

 輪廻がギルド長二人に任せたいのはそいつであり、まず”魔隕石”をなんとかしようと魔法を発動する。




「”第三・重球”」




 輪廻が発動したのは、この世界に来てから三番目に覚えた魔法である。だが、魔法の前に付いている数字は輪廻が付けた物で、意味は”重球”にある効果を使い分けたことによる。”重球”は斥力と引力を使った魔法で、斥力を使った”重球”が第一、引力は”縮星”と呼んでいたが、今は”第二・重球”に変わっている。では、第三は…………




「む、アレは先程の!?」


 バルムが放った”魔隕石”は、輪廻の爆発に近いやり方で引力に斥力を使った魔法によって粉々へなっていた。第三の”重球”は、引力と斥力を使った魔法である。前は使えなかったが、『大気魔法』に進化したことによって使えるようになったのだ。

 引力で周りの重力を集め、一気に斥力で重力を発散させるやり方になっており、その威力は”虚冥”に劣らない程だ。




「”虚手”」

「チッ!!」


 距離がまだあったが、透明な手は輪廻から離れているバルムの元に現れて、裏手によって薙ぎ払われて遠くへ飛ばされる。防御をしていたから、ダメージは期待できないが、街から離すことに成功したからいい。




「アイツは頼んだぞ。他の人はわかっているな?」

「ああ!俺達はまだ弱いから魔物を相手にしているぜ」

「く、勇者なのに輪廻の手伝いが出来ないのは…………」


 魔人と戦うには、まだまだ弱い英二達はまだ残っている魔物を兵士、冒険者、召喚者と合流して片付けることになる。




「まだ言っているの?割り切りなさいよ」

「仕方がないよ、まだ私達は弱いから。まず、混乱している人達を落ち着かせて魔物を片付けないと」


 本当は輪廻の元で戦いたい絢だけど、足手纏いになるのはわかっている。




「俺は先に行くが、道は作っておいた」




 いくつかの重力の壁を準備して、皆が行くべきの道を作ってやる。輪廻はそのまま、下へ急降下していく。輪廻が向かう場所はーーーー




(魔人イアとやりたかったが……いないなら仕方がねえ)


 輪廻はアルト・エルグで出会った魔人イアに見逃された借りを返したかったが、周りを見ても見つからなかった。

 輪廻が来る前に、ディオが眠っているイアを安全な場所へ移すために離れていたのだ。

 では、輪廻の相手はーーーー




「あは、新しい戦力が来やがった。しかも、強えな!?」




 まだ街の中にいる魔人ウルへ向かっていた。このまま、街の中で戦うと被害が大きくなってしまうから出来れば街の外へ出したいと輪廻は考えている。魔人ウル程の実力者を無理矢理動かすのは普通の人には不可能だろう。

 だが、輪廻は違う。




 地面に衝突する前に、輪廻は”虚手”をウルの両側へ配置した。そして、手から檻の形に変えていった。それだけではなく、ウルの手足にも鎖の形をした重力が身体の自由を奪う。




「それだけかぁぁぁぁぁ!!」

「もちろんだ」


 また重力の手を二本作り出して、一本の腕は落ちている輪廻を柔らかく受け止め、もう一本は重力の檻を掴んでいた。




「ここでは戦うには狭いから、一緒に外へ行こうぜ」

「ち、まさか!?」


 ウルは輪廻が何をするのかわかったようで、重力の鎖を引きちぎった。だが、既に準備を終わらせている輪廻は檻さえ残っていればいい。


 そして、輪廻は重力の檻を掴んだまま受け止めていた手で街の外へ向かって大空へ投げていた。




「貴様!!」

「そのまま、潰れていやがれ!!」


 再び、大空へ戻った輪廻は誰もいない場所へ檻ごと投げて、”虚冥”もプレゼントしていた。

 その攻撃をウルはまともに受けて、地震と勘違いされそうな揺れを起こしたのだった。





 ーーーーーーーーーーーーーーーー






 この動作は、他の人にしたらあっという間というような時間であったため、ウルと戦っていた者は理解が遅れていた。皆の意識を戻したのは、啓二が呟いた言葉だった。




「アイツは、来てから早々とやってくれるぜ…………」

「ま、まさか知り合いなんですか?」

「知り合いというか、言っただろ?召喚者の中で一番強い子供がいると…………」


 その言葉で理解させられた。さっきの子供がティミネス国の最強戦力で、啓二が認めるほどの実力を持っていると。現に、魔人ウルが何かする間も与えずに、あっさりと街の外へ連れ出して、先程の揺れを起こす程の威力を放っていたのだ。


 アレだけの実力を持つ子供が現実にいていいのか?と理解を拒みたくなる者もいたが、後から来た英二達によって、考えを中断することになった。

 英二パーティは啓二達と合流して、魔人は輪廻達に任せて自分達は魔物を片付けることになった。


 啓二は幹部と戦える実力を持つが、もしものために予備の戦力として温存すると決まったのだ。






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