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第百二十四話 結界

はい、続きをどうぞ!

 


 ロールを倒した啓二だったが、次にゼロクアと言う魔王の幹部が続いて現れてきた。しかも、その魔力はロールを超えており、さらに実力は何も情報がない状態である。

 いや、地面から出てきたことから何らかのスキルで、地面の中を動き回ることが出来ると考える。




「俺が前に出るから、二人はサポートを頼むぞ」

「あぁ、俺も出たいがすぐに回復させないとケイたんの邪魔になりそうだな」

「傷は私がなんとかするから、啓二は敵に集中して!!」


 裕美は回復魔法を少し使えるので、肩の傷を治すことに集中して、手から光が伴っていた。啓二はゼロクアを睨み、自分に残った制限時間を感覚で確認していた。




(大体四分ぐらいか……)




 ロールと戦う時間に五分ぐらいも掛かったと考えれば、ロールよりも上のように感じられるゼロクアと戦うには短い時間だと思えた。だが、啓二は出会ってしまったことには、やるしかない。




「うらぁっ、消えやがれ!!”魂丸玉”!!」


 啓二は最初からロールを討ち果たした技を繰り出した。密度の高いエネルギーが渦巻く攻撃を前に、飛んでいるゼロクアは避ける気配を見せずにククッと笑っていた。




「無駄ですよ!”源喰者”」




 ゼロクアは手をかざすと、黒い球体のような物が現れて、パクッと口を開くみたいに、”魂丸玉”を包み込んだのだ。




「何!?」

「まだ、これで終わりではありませんよ」


 ”魂丸玉”を喰った”源喰者”は生きているようにふわふわと浮きながら、大きくなっていく。そのまま、啓二がいる反対側の方向へ向かっていく。そこには、まだ避難を終えていない兵士や住民達がいた。

 啓二達はアレが何をするのか、予測出来てしまった。どんどんと膨らんでいき、啓二達がいないとこへ向かうことは…………




「貴さーーーー」

「もう遅いです。弾けなさい!!」








 轟音と爆風を撒き散らした。




 そこにいた人達や建物は何も無くなっていた。直径50メートルはあるクレーターだけ残り、まだ地面が揺れていた。




「テメェ!」

「ククッ、どんどんと増やしていきますよ?」


 先程のよりも小さいが、”源喰者”の黒い球体が何十も現れた。それらが、先程みたいに爆発を起こされたら、セイオリック天聖国と言う国は再起不能になってしまうだろう。

 先に、黒い球体を片付けようとしていた啓二だったがーーーー




「駄目よ!!あれに攻撃してはーーーー」


 それは裕美によって止められた。啓二は先程、喰われた気での攻撃をやめて、魔力を使った攻撃をしようとしていたのだ。




「あれは、恐らく魔力の攻撃も喰うわ」

「ほぅ、わかるのですか?」


 ゼロクアは感心するように裕美を見ていた。先程の攻撃は気による攻撃だとわかっていて、ゼロクアは数を増やすことによって、手数を増やせる魔力での攻撃を誘っていたのだ。

 つまり、あの黒い球体は気だけではなく魔力も喰えると言うことをゼロクアは認めていた。




「さっきの爆発から啓二の気……いえ、エネルギーを使われているのを感じたわ。魔力もエネルギーの一部に変わりはないし、その黒い球体は敵のエネルギーを喰って、そのエネルギーの量だけ爆発力が上がるといったとこね……」

「少女よ、ほぼ正解だ!!」

「ほぼ正解だと?」

「そう、殆んどは正解でしたが、まだ足りない部分がありましたので」


 ゼロクアは説明しながら、自らの手に魔力の嵐を迸る。






「相手のだけではなく、このように…………自分のエネルギーも使えるのですよ!!」

「それは見えていたさ!!」


 魔力を解放されるよりも先に、予知で一秒先を見通せる勲が動いた。傷は既に回復しており、既に剣を地面に突き刺していた。




「貫け、『玄樹剣』!!」




 勲が持つ剣は魔剣であり、『玄樹剣』は『玄樹』と呼ばれる特殊な樹から作られている。その剣が持つ能力はただ、一つだけ。それはーーーー





 自由自在に形を変える。





 それだけだが、今の状況を打ち破るには充分であった。地面から沢山の剣先が現れて、全ての”源喰者”を貫いたのだから…………




「ほぅ」




 もちろん、ゼロクアをも狙っていたが避けられていた。地面に突き刺した後に地面の中で形を変えて何処から現れるかわからないようにするなどの工夫をしていたが、残念ながらゼロクアには当たらなかった。

 ちなみに、ロールを地面から斬撃を喰らわしたのも、『玄樹剣』を使った応用である。

 貫かれた”源喰者”は形を保つことが出来ず、崩れていった。




「やはり、エネルギーを使わない攻撃が効くね。さらに、この剣みたいに、外部へ放出しない能力なら通るってことだ、ケイたん!」

「おう!」


 邪魔な障害物がなくなり、啓二はゼロクアへ真っ直ぐ突っ込む。ゼロクアは”源喰者”を破られても、冷静だった。三人を相手にしても、相手に出来る実力があるのを信じているからなのか。

 それに、啓二もゼロクアの能力が自分より高いのを理解していた。なのでーーーー






「今だ!」






 啓二は合図をした。それに裕美は答 応えて、『火魔法』で上へ撃ち放たれた。




「む、何を…………っ!?」

「はぁぁぁぁぁ!!」




 啓二は”魂丸玉”の縮小版を連続でマガジンのように、上にいるゼロクアへばら撒いていた。この攻撃はさすがに数が多すぎて、避けることも”源喰者”を発動する暇もない。

 腕をクロスにして、魔力を纏って身体を守っていた。




「効かぬぞ!!」

「まだまだだぁぁぁぁぁーーーー!!」


 効いているように見えなかったが、啓二の攻撃は止まらない。ゼロクアはダメージを受けてはいないが、下からマガジンのように撃ち出されているため、飛んでいるゼロクアは少しずつ上へ押されていた。

 それが、啓二達の狙いであった。






「こ、これは!?」

「間に合ったか!」



 一瞬で、薄い膜のような結界が街を覆っていた。『魔幻界』とは違う結界で、色は薄いエメラルドのような光を放っていた。

 啓二の攻撃によって、ゼロクアは結界の外へ追い出された形になっていた。




「舐めるな、『魔幻界』のエネルギーを吸収した力で破壊してやる!」




 手の一部が変わっていき、巨大な槍のように変わって、エメラルドの結界へ突き刺そうとする。




 ガチッ!と音を鳴らしたが、結界には傷一つもなかった。




「なんだと……」


 今度は結界に触れて、すり抜けようと能力を発動するが、すり抜けることは出来なかった。




「こいつは、俺達全員の魔力を込めた結界発動機で出来た結界だ。一人だけで、俺達の魔力を超えられるものか…………」




 ここで、啓二は力尽きて倒れた。時間が過ぎて、魔力が無くなったから気絶したのだ。それを勲が受け止め、ゼロクアの方へ眼を向けていた。

 まるで、『今回は俺達の勝ちだ』と言われているような感じで、ゼロクアはギリッと歯を噛み締めていた。

 ゼロクアがやれることがないので、諦めたように飛んで何処かへ行ったのだった…………







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