第百十八話 啓二のやり方
あけましておめでとうございます!
お待たせた次話になります。今回は啓二のターンとなります!!
では、どうぞーー
セイオリック天聖国
セイオリック天聖国は一番大きな人間の街がある国であり、東の地に近い位置に設置してある。その目的は、魔族の殲滅のためにある国であり、魔族を討ち果たそうとする人たちが集まっている。
さらに、数少ないSSSランクの冒険者も4人が滞在している。結界にも守られていてSSランクの魔人以下では入るのも叶わない鉄壁な加護を持つ。
そこの近くで黒い建造物が建ったのを確認されて、他の国へ招集の伝令を放たれた。
ティミネス国からも召喚者である啓二達やゲイル隊長、他兵士達がセイオリック天聖国へ向かった。
ここからは啓二の話になる。
各国から招集された実力者やセイオリック天聖国の王、SSSランクの冒険者が集まっている会議室でーーーー
「魔王は俺らがやる。お前らは雑魚とでもやっていろ」
啓二からの一言から空気が変わってしまった。啓二は不遜な態度でこの言葉は当然のことだと言い放つ。
後ろにいた召喚者達も啓二の言葉に目を開いて、顔を青ざめていた。啓二のパーティ仲間である裕美と勲だけは呆れるように首を横に振っていたが。
「貴様!何を言ってやがる!!」
「舐めた口を聞くなら、殺すぞ?」
「雑魚とやればいい?貴方は私達を舐め過ぎていませんか?」
当然のように、啓二の言葉に憤る者が現れる。それらの人は他の国から来た冒険者や兵士達であり、セイオリック天聖国の主力であるSSSランクの冒険者達は黙って成り行きを見ているだけだった。
その様子に啓二はほぅと感心するような表情で感心していた。
「流石、SSSランクの冒険者ってとこか。挑発に乗らんとはな」
「貴様!俺らを無視するんじゃねぇ!!」
啓二が無視したことで、剣を抜いて啓二に斬りかかる男が現れた。その様子に驚く人もいたが、本当に実力者だと判断出来る人は何も表情を動かさない。セイオリック天聖国の王もだ。
啓二に向かって斬りかかる男だったが、その剣は残念ながら啓二へ届くことはなかった…………
「ケイたんに手を出すのは止めてもらおうか」
「なっ!?」
啓二の隣にいた勲が剣を白刃取りで止めていたからだ。ここに集まった人達は決して弱くはない。
斬りかかった男はSランクの冒険者であったが、勲はその剣を白刃取りで止めた。勲のスキルである『先読み』で一秒先の未来が見えるのもあり、勲は余裕で剣を止められたわけだ。何故、武器である腰にある剣を抜かなかったのは、実力の違いを見せるためにだ。
「やれやれ、斬りかかってきたと思ったら、勲に剣さえも抜かせないなんて、恥を晒しただけじゃないか?」
「き、ぎぃぃぃぃぃ…………チッ!!」
男は実力の違いを理解したのか、舌打ちをしながらも、剣を収めた。そのまま続けたら、恥を受けるだけで終わらないのをわかっているからだ。
「ふむ、流石だな。これが異世界人の力か」
「お前も流石だと思うぜ。うちの王様と大違いだぜ」
「お、王になんて口を!!」
王の側にいた派手な鎧を来た兵士が王に対して軽い口を利く啓二に敵意を向ける。だが、王は止めろと言うように手を挙げるだけで、兵士は黙って下がった。
「構わん、今は無礼講で行こうじゃないか。ここで言い争いは無駄だ。儂は王ではなく、ガラードと呼べ」
「ああ、ここで戦力を減らしても仕方がないと思うぜ。ここは仲良くして行こうぜ」
啓二の言葉に貴様が言うな!と言いたそうな視線が集まる。啓二はその視線を流して不遜な態度を保つ。
「そうそう、一つだけ言っていなかったことがあったな。後から仲間が来るからな」
「仲間?召喚者が他にいるということか?」
「そうだ。そいつはまだ子供の歳だが、俺らよりも強い。事実、ティミネス国の最強戦力だな」
その言葉にガヤガヤと周りが騒ぐ。見せられた勲の実力だけでも充分高いのに、まだ強い者がいて、そいつがまだ子供だと言うのだ。それに騒がないわけがないのだ。
先に言葉が出たのは、王であるガラードだった。
「…………それが事実だとしても、何故ここに来ない?」
「まず自分の国での脅威を排除し終わってから来るに決まってんだろうが。あいつらなら、国の周りにいる魔物や魔人を全て片付けてから来るだろうな」
「…………」
ガラードは啓二の目を見て本当か嘘か見極めるつもりだったが、啓二は不遜な態度を貫くだけで何もわからなかった。嘘を見破るスキルを持っている者はいないのは知っている。
召喚者の中には『観察眼』のスキルを持っていて、ステータスを覗ける力がある。確認してもらい、簡単な合図を出してもらったから、啓二も確信出来たのだ。
嘘を混ぜても見破れないとーーーー
自分達より強い子供は存在するが、ティミネス国にいて脅威を排除しているのは嘘である。現在は温泉でのんびりしているのだから。
「とりあえず、あいつらは後から来る。で、一緒に魔王を倒すわけだ。理解したか?」
「では、私に貴方が魔王を倒せる実力があるか試させていただけますか?」
答えたのは、4人いるSSSランクの冒険者の1人であるアドラーと言う者だ。その実力とは…………
「俺の実力か?見ただけではわからねぇのか?」
「いえ、貴方が強いのはわかりますが、私に勝てないのであれば、魔王を倒せるわけがありませんからね。それに、貴方の実力を皆に教えるチャンスでは?」
「ふーん、確かにまだ俺の力を理解してない奴らもいるみたいだしな。いいぞ」
SSSランクの冒険者であるアドラーはもちろん、他の冒険者達も啓二の実力が高いのは大体わかるが、残念のがら理解していない人もいるので、アドラーが戦うことに名乗り出たのだ。
生死の結界の中で戦うからお互いは全力で戦う事が出来る。啓二とアドラーが戦うと決まりそうになった所に…………
「だったら、私達SSSランクの冒険者である4人の実力が見たいなー。こっちも4人で出て4対4で戦うのはどうー?」
「こちらの4人を……?」
言い出したのは、裕美であった。何故、啓二とアドラーが戦うことに決まりそうだったのに、そんなことを言い出したのかはーーーー
(もう!啓二だけで勝てるわけがないでしょ!!)
(むぅ)
裕美が念話で啓二に怒鳴る。確かに啓二は輪廻を除けば、召喚者の中では一番と言える実力を持つが、そんな男には欠点がある。
そう、1人で戦うと本来のステータスが半分まで落ちるデメリットがあるのだ。啓二が持つスキル、『仲間意識』は仲間がいると強くなるが、反対に1人だと弱くなる効果があるのだから、1人で戦わせないように、裕美がそう提案を出したのだ。
裕美が出した提案には利が叶っているので、4対4で戦うことになった。
そのメンバーは、啓二は当然としてそのパーティ仲間である勲と裕美で…………最後の1人は、
「彼方、貴女も一緒やるわよ!」
「ふぇっ、わ、私ですか!?」
裕美に指名された彼方は影がうすい少女で、街から街へ転送出来る機会を作り出したのが彼女である。もちろん、戦闘なんて出来るほどに強くはない。
なのに、裕美は彼方を指名したのかは…………
(貴女は戦わないで、後ろから『完全解析』で4人の実力を見極めるだけでいいのよ )
(わ、私にそんなことが…………)
(決まりだから、ごちゃごちゃ言わない!!)
(ふえぇぇぇぇぇーーーー)
というように、裕美は念話で彼方を無理矢理黙らせたのだった。
このようなことがあり、4対4の対人戦が始まるのだった…………
次回はSSSランクの冒険者との対人戦になります!!




