表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の手  作者: 印殷
4/7

第4話般若軍

がやがやと混み合う校舎。人だかりであふれ、今にもはちきれそうな教室。そう。いよいよやってきた文化祭当日です。私のチームは、戦争について考える、です。生徒よりは、お年より受けしています。誰に受けようと、見てもらえると嬉しいです。

 幸は自由時間を迎えると、教室の前で智紀を待った。・・・・・遅い。いつもは時間にルーズではないのに。

「智、どうしたんだろう・・・・・」

そのときである。階段から女子の悲鳴が大量の足音とともに聞こえてきたのは。

「ん・・・。何?」

ふと、視線を向けたその先には、劇で王子様の服を着た智紀が女子に取り囲まれていた。きゃーという鋭い悲鳴や、ないている人。最悪、失神してしまいそうな人までいた。

「うわ。すご・・・・・」

幸は傍観者の振りをして、おうおう、と眺めていた。智紀はその良く知る傍観者の視線に気がつき、すまなさそうな顔をしたが、その傍観者は、よっ、と手をあげた。智紀は助けてはくれない事を悟り、自力での脱出を試み始めた。おもむろに、穿いていた白い手袋を取ると、思いっきり遠くに投げた。女子の山は、面白いぐらいそっちへ走った。自力での脱出に成功した智紀はいそいそと幸のところへ行った。

「ごめん。幸。まさかこんな事になるとは・・・・・」

と言った。が当の本人は、

「やあやあ人気者。君もさぞ、大変だろうねえ」

とまるで他人事のように言った。そして、智紀の手をとると、

「王子様はお姫様をエスコートしなくちゃいけないのよ?」

と言った。智紀は、ふっと息をつくと幸の手をきゅっと握り、

「わかってるよ。俺のお姫様・・・・・」

と言った。幸はきょとんとしながら、

「あ、え。俺のお姫様とか。何言っちゃてるの。そ、そんな事言われたら・・・・・」

と言い詰まった。智紀は幸をまじめな顔で見つめ、

「そんな事言われたら、何?」

と、聞いた。幸は頬を赤くしながら、目を泳がせ、

「智が私のこと好きなのかと・・・・・思うじゃな、い・・・・」

と言った。智紀はまじめな顔で見つめたままだった。

「・・・・幸・・・俺・・・・」

と何かを言いかけた瞬間、

「いたわ!!あそこよ!!」

と先ほどの女子の山が般若のような形相で追いかけてきた。智紀は、がっくり肩を落とすと、

「走るぞ!!」

と智紀は幸の手を掴み走り出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ