疑心
「取り敢えずは計画通りに事が進んだな。いたいけな少女をぼろぼろにした甲斐があったというものだ。」
「は、僕には結構楽しんでた様に見えたけどね。」
「そう思うならヴィツィオ、やはりお前は悪だよ。」
「そりゃ悪は僕の根源だからね。そうでなくちゃ困るよ。」
薄暗い部屋に声が二つ。
イニーツィオ・テッラとヴィツィオ。
ジェニトーレの中でもかなり優秀なアート使い。
「しかし、その計画とやらのために火砲とラススヴェートは死んだのか……。バンビーノは許せん、許してはいけない。」
「確かに惜しい連中を亡くした。特にラスはお前に匹敵する程の力を持っていたからな、イニーツィオ?」
「その二人の犠牲のお陰でお前達も布石を打ちやすくなっただろうリースロウ。」
リースロウと手品木一心もその場にいた。
『ヴェストリーチェ』に囲まれたジェニトーレ本部の部屋の一つなのだから当然だが。
「確かに。というより、あの二人が抑え込んでくれていなければ難しかっただろう。」
「そうだね。さて、アリスに死んだと思い込ませ、その後の布石も打てた。万事上々、計画通りに進んでいる。このままいけば、彼を最高の物に仕上げる事が出来るだろうよ。」
そう、コード剣を最高の殺人者に仕上げる事がね。




