電光石火
御剣爽がリースロウを撃破する少し前。
二階殲滅組、マラッティーア・ウォーモ、サエッタ・ディチェンブレ。
さて、地下はアリスとクレアに任せたし、僕は二階を潰さなきゃね。
「カピターノ。」
「なんだい?」
「先程の音。何やら重い物が落ちた音……だと思うが、あれで二階にいる連中が気付いた可能性がある……と思う。」
「うんそうだね。」
階段を上りきった所で止まって二階の様子を伺うが、別段騒がしくなった様子はない。
皆熟睡しているのかな。
何にしても気付かれていないのなら都合がいいし、警戒して下手に動かない頭の良い連中しかいないのだとしたら、尚良い。
んー……あったあった。
「サエッタ。『シレンツィオ』を頼めるかな。」
「承知した。『サエッタ』。『シレンツィオ』。」
僕が見つけたコンセントにアートを使いながら手を触れる。
一瞬火花が散り、その直後二階の電気は全て消えた。
「相変わらずの手際だねサエッタ。」
「そこまででもない……と思う。」
「謙遜しなくていいよ。」
廊下の電気がついていたから、部屋の電気がどうだったかは分からない。
仮についていて、そして敵が起きていたとして、声を上げなかったのなら、やはり中々の敵だと言える。
もう勝負はついた様な物だけど。
「起きていようと起きていまいと、今となってはどうでもいい事だね。溜まったかな?」
「十分だと思う。」
「そうかい。なら決めてくれ。」
「承知した。『シレンツィオ・ルッジート』。」
再びサエッタがコンセントに触れる。
すると二階にあった部屋全てから爆発音が響き、目が眩む程の激しい光が廊下を包んだ。
断末魔が聞こえなかったのは爆発音のせいなのか、それとも寝ていたからなのか、今となっては分からない。
分からないが、終わりはしただろうね。
[その通りだよまー君。二階は全滅ー。ヴィットーリャだよ。]
[それは良かった。他はどうなったかな。]
[地下はまだ苦戦中、かな。爽君の方はもう終わりそうだよ。]
[分かった。僕らは二階を探索するから、何か問題が起きたらよろしく。]
[はいはーい。]
「と言う訳で、二階限定の家捜しをしようか。」
「承知した。」
……二階に何かあるとは思えないけれど、他が終わるまでの手持ち無沙汰の時間を無駄にする事はない。
という訳で、僕らは電気のつかない部屋を物色し始めた。




