阿弗利加
「わーい!そー君そー君外国だよ外国ー!」
「んな事分かってる。ったく暑苦しい上に鬱陶しいな。」
つ、遂に来てしまったぜ外国。
だだだ大丈夫慌てるな。
食料はちゃんと持ってきたし、常備薬も十分だ。
腹は壊さないし空腹にもならない。
どちらもちゃんとこなしてみせる。
「どうやら鬱陶しいのがもう一人いたみたいだね。リーダーさっさとホテルに行こう。暑いのは確かだし。アリスが干上がっちゃうよ。」
「そうだねごほごほごほ。」
確かにアリスレットは干上がりそうだ。
真っ白い鍔広帽を目深にかぶって表情は分からないが、滝のような汗が地面に染みを作っている。
と、アリスレットの事はともかくとしてだ。
「何だよマラッティーア。お前何時にもまして咳き込んでるな。」
「ごっほごほ。僕はあまり順応性に優れてないんだよっほ。だからごほごほ、すぐ病気にも掛かる。」
……その病気を武器に出来ちまうんだから順応性は決して低くないと思う。
「ともかく行こうか。アリスに水分補給させないと。」
そう言ってマラッティーアは歩き出した。
そのすぐ左隣をサエッタ、後ろにクレア、そしてクレアのシャツをつまみながら歩くアリスレット。
アリスがシャツをつまんでなきゃいつも通りって感じだな。
俺は雨と一緒に少しだけ離れて歩いている。
「なあ。アリスは暑いのが苦手なのか?」
「んーそうだね。今アフリカを消し去ろうか考えてる。」
「そんな大胆発言望んじゃいねえよ。」
「まあ冗談はさておき、アートの影響もあるのかもね。」
えー……確か水を使う力だったかな。
うん、そうだそうだ。
水を使うって事だけ言っておくとか何とか言ってた。
「そりゃ確かにこんな暑くて乾燥した所は苦手にもなるわな。」
「そー君の認識の仕方だと少し語弊があるけどまあいいかな。」
「語弊?」
「知らなくていいよ。知っても役に立たないからねー。それよりほらぁ、早く行かないと置いてかれるよー。」