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27話:ビーチでバレーは

前回の投稿より一週間以内に投稿できませんでした;

冬休み明けテストの対策で時間をとれずじまいで………。



昼飯を食べ終え、加われるはずもないガールズトークも終了し、午後は砂浜でビーチバレーをすることにした。

歌音がビーチボールを持ってきていたらしいので、それを使うことにする。何故かコートも持参しており、移動型ネットとでもいうのだろうか、簡単なネットとそれを支える土台のような物を歌音は組み立てていた。

それにしても、浮き輪やらイルカ型ボートやら色々と持ってきているな歌音は。

遊び道具に関しては歌音の右に出る者はいないような気がしてきた。

「チーム分けはどうするのかな? 朝浦君は男の子だから、朝浦君+1人対3人でいいかな?」

「それでいいと思います。ただ、朝浦様はアタック禁止という方向でお願いします」

ミユにしては妥当な提案をし、チームわけをするために俺を抜いた4人でじゃんけんが始まる。

どうやら勝ち残った一人が俺と組むルールらしい。

「チッ。 あ、いえ。勝ってしまいました」

ミユが手をチョキの形にしながら俺に寄ってくる。

じゃんけんに勝った瞬間に舌打ちが聞こえてきたのは空耳だと信じたい。

「では、真面目にお願いしますね朝浦様。 例え遊びといえども負けは許されませんからね」

「何をそんなに熱くなっているのかは知らないが………。まぁ頑張るか」



陽助&ミユチームVS歌音&芹川&スイチーム



ボスン、と自分のコートにボールが突き刺さった。何が起こったのかは理解できなかった。

ミユも硬直し、俺はたった今サーブをし終えて地面に落ち立つ歌音の姿しか捉えていなかった。

「は?」

ボールはコロコロと俺の足もとに戻ってきた。 なんだ、これ?

「ふっふっふ……これぞ秘奥義」

向こう側のサービスゾーンから歌音のそんな声が聞こえる。

「え、え?」

俺は困惑したまま、ボールを再び歌音へと渡す。

確かに俺は歌音のことを直視していたはずだ。いつボールが飛んできてもいいようにと構えてもいた。

それなのに何故、俺は反応できなかった?

俺がぼぅっとしていたわけではない。現に、ミユの毒舌が飛んできていないからである。

これはミユも何が起きたのか理解できなかったということになる。

ぽすん、と再びこちらのコートにボールが落ちる。すでに歌音はサーブを終えて着地した体勢になっていた。

どういうことだっ……?

「ふふふ、この秘奥義『沈黙の追撃サイレント・ショット』! 隣町のビーチバレーボール大会で知り合った人形みたいに綺麗な女の子から伝授してもらったんだよ!」

歌音はあまり膨らんではいない胸を張って、すでに勝気でいる。

それに対し俺達はなす術がない………かのように思われたのだが。

「朝浦様。ちょっといいですか?」

「ん? 何だミユ。 何かいい方法が?」

「私が歌音さんのサーブを受けます。 私の能力を持ってすれば余裕かと」

「おいおい、なんかチート使うわけじゃないだろうな」

「大丈夫です。私の仮定した人間的身体能力の範囲でやりますので」

なにか引っかかったが、俺はとりあえずミユと場所を交代し、俺は後ろの方で待つことにした。

再び歌音がサーブの体勢に入る。

──────────────────いつ打つ?

「ふっ」

ミユの小さな呼吸の音に俺は反応し、真上を見上げる。ミユがすでにボールをレシーブしていた。

「おっと!」

俺は慌ててトスを上げ、ミユに合図。

ぱしん、と柔らかな音を立ててスパイクが決まった。歌音のコートにボールが落ちる。

「『沈黙の追撃』が破れた!? 流石ミユちゃん……恐ろしい!」

歌音が悔しそうにしながらも、ミユを褒める。どことなくミユは誇らしげだった。

「ナイス、ミユ」

俺も良くやった、とハイタッチを求めるが。

「………」

スルーされた。

「何をぼうっとしているのですか。早くサーブを打って下さい」

「………」

この悲しみはどこへ置いておけばいいのだろうか。



次。陽助&スイチームVS歌音&芹川&ミユチーム



「勝てる気がしない」

俺がそうつぶやくと、すぐさまスイはぴょこぴょこと飛び上がって抗議してくる。

「なんでそういうこというの!? 確かにあまり運動好きじゃないけど……、がんばるよ?」

「………」

スイは運動があまり得意じゃなさそうだった。というか、得意じゃなかった。

この場合、得意じゃないというよりも、ドジだからミスを犯していると言った方がいいのかもしれない。

先ほどの試合の合間に見たスイの挙動からして、駄目だ。

砂に足を取られて転び、スパイクを決めようとしてはネットに突っ込み………。

要するに、俺が攻撃をしてはいけないルールである以上、点数が入らないのではないかという疑問が生まれる。

「いっくよー!」

歌音は先ほどの必殺技(?)を封印したらしく、普通にサーブをしてきた。

山なりに飛んできたボールは、なんとかスイがレシーブ。

「陽助さん、お願いしますっ!」

「おう、任せとけ」

ぽん、とネット際にトスを上げる。後はスイが決めるだけなのだが。

びよーん、ぼてっ。

「………」

ネットに引っ掛かり、跳ね返され、砂に埋まっていた。

「おい」

「ふぐぐぐ……」

飛び出ている足を引っ張ると、スイが収穫できた。

「うう~」

最早キャラを作るどころではなく、そして目を回しているスイを見て、俺はもう一度思うのであった。

勝てる気がしない、と。



次。陽助&芹川チームVS歌音&スイ&ミユチーム



「よ、よろしく。朝浦陽助」

「おう。っていうか、なんでお前はそんなに足が震えているんだ」

芹川は妙に俺と距離を取り、がくがくと震えていた。

「ち、違うぞ。これは朝浦陽助の顔が怖くて震えているとかじゃないんだ。そ、そうだ。武者震いというやつだ」

そんな事を話しながらも、試合が始まる。

ミユがサーブをする。落ちる位置は……ちょうど俺と芹川の間のようだった。

流石というべきか、ミユは各個人の守るべき範囲の境界線にボールを落とすことを考えたのだ。

しかし、俺が攻撃できないというルール、それに加えてなるべく三回で相手に返すようにするというルールの下では、俺が取るべきではないのだ。

だから俺は悠長に構えて、トスをいい場所へと上げるための準備をしていたのだが。

ぽん、とコート上にボールは落ちてしまっていた。

芹川は、はっと気付いたようにして、俺の顔を見た。

「すまない、朝浦陽助。 ……今分かった、理解した。次からはちゃんと頑張る」

「いや、いいんだ。というか、良く分かったな。俺が言いたいこと」

「そっ、それは……えと、なんと言うか」

「以心伝心?」

「なっ………こっ、こころとこころが……。なんでもない! そう、私はただ空気を読んだだけだ!」

「そ、そうか……何をそんなに張り切っているのか知らないが次は頼む」

必要以上に大きな声を出す芹川を不思議に思いながらも、俺は自分の持ち場に戻る。

再びミユがサーブを打つ。今度は若干俺寄りだった。であれば、俺がレシーブし、二回目で芹川が返すか、ちょっとルールに甘んじて四回目で返すようにすればいい。

そう思ってボールの落下地点に向かおうとしたのだが。

「え゛」

「なっ、朝浦陽助っ!」

芹川もボールを追いかけていたらしく、衝突してしまう。

「痛って……大丈夫か、芹川?」

辺りを見渡し、自分の居る位置がおかしいことに気が付く。

あれ? ぶつかったはずの芹川がいない………?

顔を上げると、コートの隅の方に芹川は倒れていた。

「っちょ! 何が起きた!?」

俺は慌てて芹川に近づいて抱き起こす。もしかして俺は衝突の影響で吹き飛ばしてしまったのかもしれなかった。そうであれば大変だ。

「ん……んぅ。 朝浦陽助……ぇえ!?」

芹川は素っ頓狂な声を上げて俺の腕から即座に離れた。

ぜーはーと肩で息をし、俺を睨む。

「わ、悪かった。吹き飛ばすつもりはなかったんだ……?」

「べ、別に。いや、違う。えっと……」

めまぐるしく変わる芹川の表情に、俺はなんと声をかけていいのか分からなかった。


その後ろから。

『チッ。しくじりましたか』

『ミユちゃん! 作戦と違うよ、回避できてないよ!』

『これは計算外でした。まったく腹正しいですね』

ミユとスイのそんな声が聞こえてきたが、俺はなんの話をしているのかが分からなかった。



次。陽助&歌音チームVSミユ&スイ&芹川チーム



最後の組み合わせ。運動能力抜群の歌音と、この中で唯一男である俺のコンビ。

それに加えてあちらにはドジをやらかすスイと、ふらふらになっている芹川。

なんというか、これはもうやらなくても結果が分かっているというか。なんと言うか。

「うーん。スイちゃんも結穂ちゃんも疲れてるし、止めとこうか?」

歌音があちらのコートを見て、そんな事を言う。

確かにこのまま続けてもミユのストレスが溜るだけのような気もするし、俺としては賛成だった。

その旨をミユチームに伝えると、しぶしぶ了解してくれた。とは言っても、スイは最早話を聞いていなかったし、芹川はどこか遠くを見てブツブツつぶやいていた。

「おいおい、大丈夫か………」

俺はパラソル近くに座り、みんなの様子を眺めていた。ミユは財布を持って海の家へ。かき氷を買ってくるらしい。スイは海の中に入り、遠くの方で浮かんでいる。

芹川は浜辺の方でボーっとしている。

「あーあ、ちょっと残念かな」

パラソルの下を占領していた俺の隣に歌音が現れ、突然そんな事を言い出した。

「残念?」

「そう、残念だなーって。 私も朝浦君とチームでビーチバレーしたかったかなーって」

「……あのまま続けてればよかったんじゃあ?」

「そういうわけにもいかないよ。 他の人を犠牲にしてまで自分のことなんて考えたくないしね」

「………歌音?」

「私もね、仲間がよかったんだ。 ………だって朝浦君上手なんだもん!」

ぱぁっと向日葵のような笑顔を咲かせた歌音はストン、と俺の横に座った。

それから太陽を指差して、こんなことを言う。

「太陽って本当に元気だよね。誰にでも光を与えて、すっごく格好いい。でもね、でも─────────」



「太陽には近づけないよね。だって、私には、眩しすぎるし」
















沈黙の追撃……分かる人いますかね。

自分の前作に出てきた技なんですけどねw

よかったらそちらの方も読んでみてください。


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