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14話:勉学に励む

こんな時間に投稿してすみません!

ギリギリ三日以内です。はい。

スイの一件が収まった後、また新たな問題が発覚した。

いや、別に命にかかわるような事件だとか天使やら悪魔やらが関わっているわけではない。

一言で言うなら、学生には定期的に訪れる事件。いや、事件と言うよりかは壁。

まぁ、定期テストのことなんだけどな。

この間の一日、結局学校はサボることとなった。それが響いたのか、テスト前の追いこみ押し込み授業が受けられずに有力な情報(出題傾向)が得られなかったのだ。

その日に限って歌音も休んでいたらしく、友達の居ない俺には頼れる相手がいなかったのだ。

しかし、歌音がこれではいけない! と知り合い関係を当たり、勉強会を開いてくれることになったのだ。

で、今は学校の図書室絶賛勉強中……なのだが。

「え、ぇぇ~。虚数って何?」

「そう言えば天使の中には虚数を応用して術を使う者もいたと聞いたことがありますが」

「何なに? 天使ってなんの話かな? ミユちゃん」

「お前らちょっと黙ってろよ……。後、余計なことは……」

「ちょ、ちょっと! 図書室では静かにしなさいよ!」

スイ、ミユ、歌音、俺、芹川の5人が図書室の一つの机を占領し勉強会(?)を開いていた。

歌音は友達関係からノートのコピーなどを持ち寄ってくれた。芹川は違うクラスだがテストは全クラス共通なので、問題はない。

だがしかし、この状況はどうだろうか。

レベルの高い女子4人の中に一人男の俺。周りからはヒソヒソと陰口が聞こえてくる。

はーれむ状態だわー、とか朝浦王国が形成されているわー、とかそんな感じの。

一部の男子勢からは刺さるような視線が。怖がられるよりいい、と考える俺はおかしいのだろうか。

「うーん……もうアタシは寝る!」

「寝ると朝浦様のようになってしまいますよ?」

「それはどういう意味だよ……」

「あっ、結穂ちゃん。ここ教えてー」

「えっとそこはね。ここの──────」

真面目に勉強しているのは仲良し二人組。不真面目なのは天使と悪魔の二人組。

これ、勉強になっているのか?

勉強会は絶対に捗らない、とどこかで聞いたことがあるのだがその通りなのかもしれない。

情報の交換はそれなりに良かったとは思うのだが……。やはり集中できるのは最初の一時間ほどだけだな。

「なぁ、そろそろ休憩しないか? なんかスイは寝始めたし、ミユは……ノートすら開いてないし」

「私は大体理解できましたので」

「そうだねー。疲れてきたね、というかもうすぐ図書室閉まっちゃう時間だよ」

今学校はテスト期間中なので、生徒たちを解散させようと学校の色々な場所がいつもより早めに戸締りを始めてしまうのだ。もちろん部活は期間中活動停止である。

時計はもうすぐ5時を指そうとしている。

「うーん、なんかもったいないよね。折角部活ないんだからみんなと放課後こんな風に雑談とかしたいよねー」

「美里、これ一応名目は勉強会だから。雑談じゃないから」

「まぁ歌音の言いたいことも分かるが……」

「どこか場所を変える? ……そうだ、朝浦くんち行こうよ! 一人暮らしだったよね?」

ぴきーん、と俺は嫌な予感とともに凍りついてしまった。

「いや、あの、それは、ちょっと、」

「えー、なんでなんで? あっ、まさか片付いてないとか? 男の子の一人暮らしだもんねー。大丈夫だよ!私が掃除してあげるから!」

「そ、そうだ! わ、私も手伝うからなっ!」

何故か芹川まで乗ってきた。そしてどうしてそんなにも推してくるのか……。

いやいや、このノリはよくない。よくないぞ! ちょっとしたところから俺が同棲(泣)をしていることがバレてしまう。

助けを求める形でミユを見る。彼女はぐっと親指を立てて見せて。

「それはナイスアイディアですね」

「おかしいだろぉぉぉぉぉぉがっ!」

俺は咆哮した。

「なっ、どうしたの朝浦君! そんなに嫌ならいいんだけど……。そんな叫ぶほど嫌だった?」

歌音が潤んだ瞳で見つめてくる。わけが分からないよ。

ミユは何を考えているんだ……っ。俺を過労死させる気かっ……。

「いや、あの……」

「な、何だっ朝浦陽助! 何か隠しているのかっ。人を家に入れたくない理由が……はっ!」

何が『はっ!』なんだ。

というかどうにかしてくれ。この中で俺の味方はいない……わけじゃない!

「スイ、スイ! 起きろ。 勉強会の場所を移そうと思うんだがどこがいい!?」

「ん……うぅ? おうち……」

うわぁぁぁぁぁぁぁ!

「え、おうち? スイちゃんはもう帰っちゃうの?」

「んぅ? だって、おうち行くんでしょ?」

「え──────────?」

「そうかそうか! 分かった分かった! 俺の家に行こうとりあえず黙ろうかスイ!」

駄目だ、これ以上スイを覚醒させてはいけない。そして無表情で笑うなミユ!

どうしてこうなった。




「おっじゃまっしまーす!」

「お、お邪魔します……」

「…………」

連れてきてしまった。もうここまできたら隠し通すしかない。ミユが余計なことをしなければいいが……。

スイは帰り道の途中で意識が戻り、自分のしたことに顔を青くしていた。どうやらスイは協力してくれるらしい。

まずは確認。何かボロが出るものはないか。よし、玄関にはない。次はリビング。

ぞろぞろと後ろについてくる歌音と芹川。何が珍しいのかきょろきょろとあたりを見回している。

リビング。何か危ないものはぁぁぁぁぁぁっ!?

リビングの、テレビの、前の、カーペットの、上。なんで靴下があるんだよぉぉぉぉ!

二―ソックスって言うのかあれ?知らんけどとりあえず回収っ!

シュバババババ、とおそらく超高速で靴下を回収し、制服のズボンに押し込んでおく。

「あれ? 朝浦君が……瞬間移動した?」

冷汗をかきつつ俺はみんなを机へと誘導する。

「みんなは座っててくれ……。俺は飲み物を持ってくるから」

「朝浦陽助? なんか疲れれてないか?」

「別にそんなことは……ない」

「あ、アタシ教科書取ってこないと」

今、なんて?

「え?」

「あっ……」

「そうかそうか、スイも手伝ってくれるのか。ありがとう!」

「うえぇぇぇぇっ!?」

スイの頭を両手で掴んで台所へと連れて行く。

台所内に入ったところで手を離す。

「わざとやってのかお前……」

「ひぃぃっ! 怖いよぉ……そんな怖い顔しないでよぉ……」

すぐ涙目になるスイ。なんか俺がいじめてるみたいじゃないか……。

いや、実際第三者がこの場を目撃したらそうとしか思えないような状況だが。

「まぁ、後から気を付けてくれ。それと、これはお前の靴下か?」

「あ、うん。昨日から脱ぎっぱなしだった」

「ふ・ざ・け・て・ん・の・か……っ!」

「いたいいたい。頭掴まないでよぉ……。アタシは悪魔だぞっ!」

と、そこで後ろから何者かの雰囲気を感じた。

振り向くとそこにはカメラを構えたミユが。

「何してんだお前は」

「いえ、大変ですね。と思いまして」

「誰のせいだこの状況は!」

「私は歌音さんに力添えしただけなので」

「それが余計なことなんだよ!」

「そろそろ戻らないと不審に思われますが?」

「……くっ」

ものすごく納得できないが、ミユの言うとおりだった。

とりあえずはバレなければいい。凌げばいいのだ。簡単なことだ、こいつらが何もしなければな……。

人数分のコップを用意し麦茶を汲んでトレイに載せる。

一応全てお客様用のコップだ。こういうところでもボロが出るからな。

「わりぃ、待たせ……あれ?」

リビングに戻ると、歌音の姿が見当たらなかった。芹川は何故か椅子に座りながらもじもじしている。

「歌音は?」

「えっと……他の部屋に」

「何だとぅ!?」

ガタン、と俺の部屋の辺りから物音がした。

本日二度目の高速移動。部屋の前に立ち、扉を開け放つ。

「何してんだ歌音!」

「うおえっ!? えーと、エロ本探し?」

歌音は四つん這いになって俺のベットの下に手を入れていた。

というか、スカートの中が見え……ない。

「いやいや、そんなものねぇから! とりあえず出てくれ」

「うえー、一冊ぐらいあってもいいと思うんだけど」

ブツブツ文句を言いながら部屋を出ていく歌音。何にせよ俺の部屋でよかった。いや、よくはなかったがよかった。


そしてそれから数時間、俺はボロが出ないかどうかヒヤヒヤしながら過ごしていた。

もちろん、勉強の内容なんて頭に入ってこなかった。




「そう言えばさぁ」

勉強がひと段落ついたころ、歌音が唐突に言い出した。

「この間朝浦君さ、人探してたじゃん?」

「あ、ああ……」

俺は気を張るのに疲れていて、曖昧な返事しか出来なかった。

そういえばなんて言ってたっけ。他のクラスの女子の話だったか。

思い出した、あの女の子だ。 放課後に見かけた記憶に引っかかった彼女のこと。

「えっと、その隣のクラスの子なんだけどね。結穂ちゃんとは逆の方向のお隣さんなんだけど、だからB組になるんだけど。空宮杏梨そらみやあんりちゃんって言うんだって」

「空宮杏梨か……」

「なにっ!? 朝浦陽助はまた別の女子生徒に手を出そうとしているのか!」

「どうしてそうなるんだ! というか、俺は誰にも手を出してねぇよ」

「あれあれ、結穂ちゃん? 何を慌てているのかな~」

「美里っ! 変なこと言わないでよね、別に何もないわよ!」

「朝浦王国民がまた増えるのですか?」

「何それ!? 図書室でも聞いたけど流行ってんのか!?」

そんな突っ込みを入れている中で、俺はその女の子についての記憶をたどっていた。

何か、引っかかるものがあった気がするのだ。



それが何かは靄がかかったように分からなかったが。












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