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(1)

 私はここにきて有り得ないものばかりに出会ってきた。


 有り得ない事件にも多々巻き込まれてきた。うん。だから、かなり順応力というものが身についているはずだ。身についていないわけない。


 私は驚かない。

 驚かないっていってるじゃん。


 ―― ……例え、己の身体が幼児化していても……。


「はあ」


 私はクローゼットにある姿見に自分の姿を映して大きく嘆息する。

 昨日何か変なもの食べたっけ? 何か変わったことやったっけ? この間カナイが小さくなったばっかりだよね。

 いやいやいや、以前ブラックも時間回帰したよね。で、今回もって、他所でやってくれ、他所で……。


 大体、これ誰得?


 ま、まぁ、きっとブラックがこのくらい何とかしてくれるよね。うん。きっと……というか今日来るのか?


「マシロちゃん、また鍵閉まってませんよー」


 ―― ……がちゃ


「…… あー、ごめん」

「えっと、えっと……えーっと?」


 今朝も朝ごはんの時間ですよーと誘いに来てくれたアルファは、遠慮なく私の部屋の扉を開けた。そして戸口で私と部屋の位置を確認したあと混乱しているようだ。意外と普通の反応でありがたい。


「お客さん」

「マシロちゃんです」

「あー……オカシイな。朝走ってきたところなのに、まだ目が覚めてないみたいだ……」

「大丈夫。おかしいのは私です」


 はっ! もしかしたら、カナイでなんとかなるかもしれない。なんといっても天才魔術師でしょう。


「カナイは、まだ部屋?」


 頷いたアルファを追い越して、私はアルファたちの部屋へ乱入した。

 即、退出した。

 カナイのセクシーショットを見てしまった……。


「着替えがまだだっていおうと思ったんですけど」

「うん、ごめん。ばっちり目が合った」


 がっくりと、私が肩を落としたところで「あれ?」ともう一人の声が聞こえる。


「どこのご令嬢?」


 私のどこらへんをみて”令嬢”なんて単語が出てくるんだろうなぁ。顔を上げればエミルと目が合って、エミルは、え……と顔を強張らせて止まった。

何? 推定四もしくは五歳児くらいになってしまっている以外は変わりないと思うけど、どっか変? 声も子どもっぽい感じになってしまっているけど……


「マシロの子どもっ?!」

「そんなわけあるかっ!!」


 反射的に突っ込んでしまった。


「え、で、でも、そっくり……ああ、従姉妹」


 ぽんっと手を打ってもその答えはないだろう。エミルが天パってる。異世界人の私の親戚がこんなところにいるわけないのに。


「部屋の前で朝から騒ぐなよ……それより、なぁ、さっきちびっこいのが乱入してきたんだけど、どこのガキ?」


 ガキで悪かったわね。


「なんかマシロちゃん本人らしいですよ?」


 開けたドアから顔を覗かせていたカナイは、こっちこっちとアルファに下を指差されて視線を落とした。そして、私のところでぴたりと止まる。


「―― ……何食ったらそうなるんだ?」


 食べ物限定っ?! 食べ物限定なのっ?! カナイはよっこいしょと扉に挟まれつつ私の前にしゃがみ込んで顔を覗かせる。


「別に変なもの食べてないよ」

「ふーん」


 僅かに睨みつけるように目を細めたあと、ぴっ! と人差し指を立て、続ける。


「じゃ、ちょっと上向いて、下向いて、横向いて、くるっと回って、腕上げて」


 思わずいわれたまま指の動きに合わせて、回るところまでやってしまった。

そして腕を上げたところで、目の前のカナイの頭頂部にごんっ! と落とした。


「おお、マシロちゃんだ」


 アルファのその確認基準も問質したい。


「べ、別に魔力的なものは感じない。やっぱり、なんか食べたか、変なもの身につけてるんじゃないのか」


 ワザとらしく私が殴ったところを押さえてそういったカナイが、手を伸ばそうとしたところで私の視界は、ぐんっ! と上がった。


「駄目だよ、カナイ。可愛いからって、手を出そうとしちゃ」

「ちょ、エ、エミル、高い! 怖い! 降ろして」

「落とさないけど、暴れないで」


 エミルにひょいと抱き上げられて、いつもよりも高い視界に緊張し、物凄い近いエミルの顔にドキドキする。

 慌てて、エミルの首にしがみ付き、改めて、睫毛長いなー、鼻高いなー……肌綺麗だなぁ……ってそんなところ見てたら、目が合ってしまった。恥ずかしい! 頭の天辺から湯気でも上がりそうだ。


「魔術系でもなくて、魔法具でもないんだったら……あと病気?」


 一体どんな奇病だ。私はもうわけも分からない脱力感に襲われて、エミルの肩口に頭をこてんっと預ける。それにあわせて、よしよしと頭を撫でられると、凄く心地良い。

 感覚までお子様になってしまっているのだろうか? もう、どうでも良いや。どうでも良いから


「カナイー、ブラック呼んで」


 神頼みならぬ、黒猫頼みだ。私の気だるい台詞にカナイが「ああ」と今更気がついたように、腰をあげた。


「ていうか、お前こそ連絡方法くらい用意してないのかよ」

「してないよ。大抵ふらっと来るんだもん。ケータイとかもないしさ」

「は? 何携帯すんの?」


 話がかみ合わない。


「とりあえず、中はいりましょう? どうせ、もう今日は授業休んで良いですよね。ご飯貰ってきましたよー」


 ちょっと静かだと思ったら、アルファはちゃっかり朝食ゲットしてきていた。

 確かにそろそろみんな朝食やらで、出てくる時間だ。こんな姿晒すわけにはいかない。

 アルファに促されてもちろんいつも通り、カナイとアルファの部屋に入る。




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