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第 63 話:最後の抵抗
俺の提案は、貴族たちを完全に敵に回した。
彼らは、水面下で団結し、俺を失脚させるための画策を始めた。
「ベルクナー卿は、王の権威をないがしろにし、国を私物化しようとしている」
「彼の作るアカデミーは、反乱分子を育てるための巣窟だ」
そんな根も葉もない讒言が、毎日のように国王の耳に吹き込まれた。街には、俺が私腹を肥やしている、という偽りの噂が流された。
それは、俺の社会的生命を絶つための、執拗で、陰湿な攻撃だった。
だが、貴族たちの思惑とは裏腹に、俺の足元は揺るがなかった。
俺が設立したアイゼンヴァルト銀行を中心とする経済圏は、貴族たちの圧力に屈することなく、粛々と経済活動を続けていた。
そして、何よりも。
俺が作った用水路の水で、飢えから救われた民。
俺が設立した技術指導所で、知識を得て、職を得た若者たち。
彼らは、貴族たちが流す偽りの噂を信じなかった。彼らは、声高に俺を支持することはなかったが、その静かな信頼は、何よりも強固な地盤となって、俺を支えていた。
貴族たちの最後の抵抗は、空回りを続ける。
彼らは、自分たちが虐げてきた民の力が、今や自分たちの喉元に突きつけられた刃となっていることに、まだ気づいていなかった。




