第 62 話:未来の設計図
翌日の王宮議会。俺は、最後の改革案を、王と貴族たちの前に提示した。
「これより、王国法典の編纂と、王立アカデミーの設立を提案いたします」
俺の言葉に、議会は静まり返った。
「法典により、税の徴収、土地の所有、商業活動のすべてを、個人の裁量ではなく、法の下で公平に管理します。そして、アカデミーでは、法律、経済、土木技術を教え、身分を問わず、能力ある者を官僚として登用する。これこそが、この国を永続させるための礎です」
それは、貴族という存在を、根底から否定する提案だった。
これまで、彼らは自らの領地を、自らの法で支配してきた。税率も、裁判も、すべては彼らの胸先三寸。その特権を、法の下に差し出せというのだ。
「ふざけるな!」
最初に声を上げたのは、古参の公爵だった。
「我ら貴族は、血と伝統によって、この国を支えてきたのだ! それを、どこの馬の骨とも知れぬ平民に、国を委ねろと申すか!」
その声を皮切りに、議会は怒号に包まれた。
「ベルクナー卿は、この国を転覆させる気だ!」
「平民上がりの成り上がり者が、思い上がるな!」
彼らの怒りは、国の未来を案ずるものではない。ただ、自らの失われる特権に対する、醜い恐怖心から来るものだった。
俺は、その怒りの渦の中で、ただ静かに、彼らの顔を見つめていた。




