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過労死したので今度こそスローライフしたいのに、僕の知識がこの世界に必要すぎるらしい  作者: 悠々


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第 58 話:地図との戦い

王国灌漑計画の第一歩は、正確な地図の作成から始まった。王城の書庫にあった地図は、あまりにも古く、現状とはかけ離れていたからだ。


「これより、王国全土の測量を開始する!」


俺は、王の許可を得て、王国中から若く、才能ある者たちを募集した。アイゼンヴァルトのアカデミーの卒業生たちを中核に、身分を問わず、数学と地理に優れた者たちで構成された「王国測量隊」の結成だ。


俺は、彼らにアイゼンヴァルトで培った測量技術――水盛りや下げ振り、そして三角測量の基礎を叩き込んだ。


だが、彼らの戦いは、困難を極めた。


測量のために貴族の領地へ足を踏み入れれば、「領地への不法侵入だ」と追い返される。山賊に襲われ、貴重な機材を奪われることもあった。計画に反対する貴族が、裏で手を引いているのは明らかだった。


「クラウス様、もう無理です! これでは、計画が進みません!」


隊のリーダーが、弱音を吐くのも無理はなかった。


俺は、彼らを集めて言った。


「君たちが今、描いているのは、ただの線じゃない。この国の未来そのものだ。一本の等高線が、一つの村を救う。一つの川筋が、何万という民の命を繋ぐ。我々の武器は、剣でも魔法でもない。この、正確無比な『データ』という名の武器なのだ」


俺の言葉に、疲弊していた若者たちの瞳に、再び光が宿る。


彼らは、あらゆる妨害と抵抗に屈することなく、粘り強く、そして正確に、王国全土の姿を、一枚また一枚と、羊皮紙の上に描き出していった。


それは、血と汗と涙で描かれた、王国再建のための、最初の設計図だった。


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