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過労死したので今度こそスローライフしたいのに、僕の知識がこの世界に必要すぎるらしい  作者: 悠々


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第 44 話:命の水

エール作りが軌道に乗ると、俺はもう一つの目標である、蒸留器の製作に取り掛かった。


ガラス工房の職人たちが、俺の設計図通りに、フラスコや冷却管といった複雑な形状のガラス器具を見事に作り上げてくれた。


完成した蒸留器に、発酵を終えたエールを入れ、ゆっくりと加熱していく。やがて、アルコールが気化し、冷却管を通って、再び液体となって一滴、また一滴と、出口の瓶に溜まっていく。


最初に垂れてきた液体は、驚くほど透明で、ツンと鼻を突く強い香りを放っていた。アルコール度数七十パーセントを超える、高純度のアルコール。いわゆる「スピリタス」だ。


俺は、その液体を「消毒液」と名付け、すぐに領内に新設した小さな診療所へと届けさせた。


数日後、診療所の医師が、興奮した様子で俺の元へやってきた。


「クラウス様! あの『命の水』は、まさに奇跡です!」


彼は、そう叫んだ。


「先日、林業の作業で深い切り傷を負った者が運び込まれました。いつもなら、傷口が化膿し、高熱を出して危険な状態に陥るところです。ですが、あの液体で傷口を洗浄したところ、化膿することなく、驚くべき速さで回復しているのです!」


医師の言葉に、俺は静かに頷いた。


目には見えない細菌による感染。その脅威から人々を守る、強力な武器。


それは、人々の心を潤す酒とは違う、文字通り、人々の命を救う「命の水」。


アイゼンヴァルト領の医療は、この日、大きな一歩を踏み出したのだった。


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