第 21 話:招かれざる客
アイゼンヴァルトの成功は、良くも悪くも目立ちすぎた。
ある晴れた日、一頭の立派な馬に乗った男が、王都からやってきた。中央政府から派遣された、税務調査官だと名乗るその男は、肥え太った体に、高価そうな絹の服をまとっていた。
「ほお、ここが噂のアイゼンヴァルトか。思ったよりは小綺麗な村じゃないか」
男――名をバルツという――は、領主の館に通されるなり、尊大な態度で周囲を見回した。
「さて、ベルクナー卿。貴殿の領地が最近、羽振りが良いとの噂は王都にも届いておる。よって、納税額を再査定しにきた。喜ぶが良い」
バルツは、そう言うと一枚の羊皮紙をテーブルに叩きつけた。そこに書かれていたのは、現在の三倍にもなる、法外な税率だった。
「なっ……!」
俺の隣で、リーゼが血の気を失った顔で息を呑む。この税率では、我々が必死で稼いだ利益のほとんどが吸い上げられてしまう。これでは、領地は再び破産だ。
「ご不満かな? だが、これは王家の決定だ。儲かっているところから、然るべき税を徴収するのは当然のことだろう?」
バルツは、俺たちの絶望を愉しむかのように、にやにやと笑っている。
俺は、静かに悟った。
道を作り、炭を改良し、鋼を生み出した。それは、自然という名の敵との戦いだった。
だが、今度の敵は違う。
豊かさは、人間の欲望と嫉妬という、もっと厄介で、もっとたちの悪い敵を呼び寄せてしまったのだ。




