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第99話 金鉱山に行ってみる

 二日目。グリム達はギルド会館に足を運んでいた。

 如何してこんなところにやって来るのか。

 こんな時間は無駄で、すぐにでもイベントのポイントを稼ぐべきではないのか。

 きっとそう思う人も多いのだろう。実際、グリム達が足を運んだギルド会館にはプレイヤーがそこまでいなかった。


「やっぱりほとんど人がいないね」

「そうですね。あの、グリムさん達はどうしてギルド会館に?」

「んー? そんなのゲームの世界のことはゲームの世界の住人に訊いた方が手っ取り早いでしょー?」

「そう言うことだよ」


 フェスタが全部説明してくれた。

 Dも納得をすると、パンと手のひらを合わせた。

 ここまで納得されると、何も得られなかったと気が厳しい。

 そうはなら荷で欲しいと思い、整理券も必要なく、手の空いていた受付嬢に声を掛ける。

 グリム達御用達のN:ブルだ。


「こんにちはN:ブル」

「あっ、グリムさん達。ようこそギルド会館へ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


 手持無沙汰なN:ブルは暇そうにしていた。

 けれど挨拶をされや否や素早く気を引き締める。

 これこそが鑑だと、心底痛感する。


「期待して貰って悪いけど、実はイベントでポイントを稼げそうな場所を探しているんだよ」

「イベントで稼げそうな場所? もしかして今回開催されたイベントのことでしょうか?」

「そのまさかだよ。ポイントを稼げる穴場を知っているんじゃないかと思ったんだ。なにか目ぼしい場所はあるかな?」


 グリムはいつにもまして遠回りなことは言わなかった。むしろストレートだった。

 するとN:ブルは唐突な直球にしばし困惑する。

 けれどAI脳を超高速回転させると、すぐさま悩み始める。


「うーん、そうですね。確かゴールド系でしたよね。ゴールド系のモンスター……は珍しいのですが、うーん」

「あのさー、設定崩すみたいで嫌だけど、N:ブル達はイベントのこと知ってるのー?」

「「あっ!」」


 確かについつい聞こえてはいたがスルーしていたことを、フェスタが追及した。

 その瞬間、頭の中に疑問符が溢れ出す。

 平然と流してしまったが、今の言葉をそのままにしておくと、色んな意味で破綻するのではないのか。そんな気がしてならない中、N:ブルの口から真実が告げられる。


「はい。一応耳にはさせていただいておりますよ」

「そ、そうなんだ……なんか複雑だね」

「そういう存在ですから。それ以上でもそれ以下でも無いんですよ。それでゴールド系ですか……」


 あまりにも淡々と話が展開し始めていた。

 何だか無性に心苦しくなる。

 それもそのはずで、N:ブルが特殊なのか、それともこの世界のNPC全体がそうなのか、頭を抱えたくなるような案件に、考えたくも無くなった。


 そんな中、N:ブルは何食わぬ顔で頭を悩ます。

 記憶の底まで手を伸ばすと、何か閃いたのか、目をパッと見開いた。

 それから暗い表情を浮かべるグリム達ににこりと笑みを見浮かべる。


 如何やら何か浮かんだらしい。

 これは見せられない顔だと、グリム達はシャキッとする。


「なにか分かったんですか?」

「はい、ご期待に添えられるかは分かりませんが、地図のこの辺りに金鉱山があるんです。まだ開発がほとんどされていない手付かずの山なので、もしかしたら金がたくさん手には入るかもしれませんよ」


 まさかの超が付く程ドストレートな回答だった。

 グリム達はそれを聞いて困惑する。もちろん間違ってはいないし、それも全然ありだ。

 今回のイベントでは金=ゴールドを集めたらポイント換算される。

 もちろん不正や売買ではノーカウントだが、直接金を入手することは何の問題もない。

 だけどそれはあまりにもだった。


「ど、どうする?」

「どうするもなにも、それはあまりにも無謀かな」

「で、でももしかしたら……」

「LUKがある程度高かったらね。でも私達の誰も、突出して高いとは言えないでしょ? 流石に今回は見送り……にしたいけど」


 ふとN:ブルのことをチラ見する。

 期待しているのか、期待されて嬉しいのか、N:ブルは笑顔だ。

 怖いくらい笑顔で、ここは退くに退けない。


「できないよねー」

「だね」


 N:ブルの表情を見ていると、流石に無碍にはできない。

 困ってしまったが、グリム達はここを乗ることにする。

 全然悪い話ではなく、方針も一定に固まった。


「それじゃあ行ってみることにするよ」

「本当ですか! よければ得られた金は当ギルド会館でも買い取らせていただきますよ。時価ですけど」

「時価なんですか。ちなみに今はどのくらいですか?」


 DはN:ブルに訊ねた。

 するとN:ブルはにこやかな笑みを浮かべると、金の時価相場を教えてくれた。

 それを聞いて凄い額だと思った。目を見開くと、やる気が満ち溢れた。


「それじゃあ頑張ります」

「気を付けてくださいね。この金鉱山には面倒なモンスターもいますから」


 どんなモンスターが居るんだろう。

 グリム達は気を引き締め、N:ブルに注意を受けながら、ギルド会館を後にした。

 早速目指す金鉱山=ゴランダ鉱山開発地に向かうのだった。

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