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第95話 またしても森だけど……!?

 グリム達は一瞬で広場から移動した。

 体を眩い光に包まれて転移する。

 一瞬意識がふわりと消える感覚が走ったが、その感覚もほんの一瞬なのですぐに体の感覚を取り戻せる。

 視界がまだぼやけているが、段々当たりの景色が浮かび上がる。


「ん!?」


 なんだろう、グリムは嫌な予感がした。

 視界に映るのは緑一面の景色だ。

 しかも草原のようにだだっ広くもない。浮かんでいるのはたくさんの木々だ。

 もしかしなくてももしかする。ここは明らかに森なのだ。


「な、なんでまた森なの?」

「うーん、どうしてかなー? もしかして、グリムは森と親和性が高いのかなー?」

「親和性が高いと言ってもいいんですか?」

「嬉しいのか嬉しくないのか。よく分からないね」


 同じパーティーである人は互いに近い場所に転移する。

 グリムはフェスタとD、二人とすぐに合流することができた。

 フェスタは頭に蜘蛛の巣を付け、Dは木の枝が突き刺さっている。

 かくいうグリムも葉っぱがたくさん付着していて、イベントが始まって初っ端からボロボロだった。


「うえっ、蜘蛛の巣付いてる……」

「木の上にでも転移したのかな? Dも背中見せて、木の枝が付いてるよ」

「あ、ありがとうございます! えっと、グリムさんも葉っぱが……でも素敵です!」

「ありがとうって言えばいいのかな? でもこれで全員揃ったね。それじゃあ早速動こうか」


 パーティーを組んでいることの利点。それはメンバーがすぐに集まることだ。

 そのおかげでソロプレイヤーと同じ位置に立てる。

 これはイベントのスタートダッシュではかなり大事なことで、ソロの方がなにかと動きやすかったりするも半面、パーティーで挑めばモンスターと接敵した際に楽に稼げる。この二分の一の有利性を即座に得られたことで、グリム達は森の中スタートとは言え、まだまだ余裕があった。


 だけど今回のイベントを改めて再確認する。

 〔第一回ゴールドラッシュ・イベント〕。大々的に掲げられたイベントタイトルを開き、イベントの勝利条件を含めた概要を確認した。


 まず、今回のイベントはゴールドラッシュにちなんで金策がメインのイベントだ。

 期間は一週間で、特定のエリアにて通常の確率よりも高く出現するゴールド系モンスターを倒したり、単純に金を集めることによりイベント限定のポイントに変換。最終的に得られたポイントがそのままPにイベント終了後換金される仕組みとなっている。

 これによりとにかくたくさんのモンスター、特にゴールド系を倒せば通常種よりも非常に多くのポイントを獲得できるのだ。

 しかし今回のイベントのミソはそこだけではない。PvPによる奪い合い。それらすら認めらているので、エリア内に居る間は常に警戒が必要。

 何処で虎視眈々と狙っているかも分からないので、早速グリム達は慎重に行動する。


「みんな気を付けてね。何処で誰が見ているか分からないよ」

「OK! いや、ゾクゾクするねー」

「ううっ、こ、怖いです」


 グリム達は固まって行動していた。

 付かず離れず、戦闘にグリムを置きつつ、互いに攻撃の邪魔にならないように気を付ける。

 などと普段よりも一層ピリピリとした空気に苛まれることになったのだが、グリム達は周囲を確認しつつこのイベントを楽しんでいた。その証拠に滲んだ笑みが零れている。


「ねえねえグリムー! 全然モンスター出て来ないよ?」

「そうだね。もしかすると、接敵が難しいエリアかもしれないね」


 ここまでモンスターの一匹にも出くわしていない。そのせいだろうか、フェスタが少しだけ不満を漏らす。

 けれどグリムに当たられても困る。グリムとてモンスターと接敵する頻度が多いとは思っていない。

 しかしながら何か言わなければと思い返すものの、ムスッとした表情をフェスタは浮かべる。


「えー、それじゃあつまんないよー」

「そう言われてもね。まだ始まったばかりなんだから、もう少し探してみよう」


 ここは根気よく粘ってみるしかない。モンスターとは言えそう易々と飛び出してはくれないのだ。

 何故なら単純でこのゲームのモンスターには高度なAIが搭載されている。

 ピリピリとした歪な空気に当てられて、モンスターも無暗に出て来れないのだろうと予想した。


「慎重なモンスターさん達ですね」

「そうだね。だけどそれが野生の勘じゃないかな?」

「野生の勘かー。仕方ないのかー。よーし、もっと根気よく探すぞー」

「その意気だよ、フェスタ。Dも手伝ってくれると嬉しいな」

「任せてください!」


 グリムはフェスタとDを励ました。

 しかし励ますだけじゃダメだと思い、グリムも【観察眼】を使って草木を掻き分ける。

 少しの動きも見逃さないよう眼力を込めると、ガサゴソと草が揺れた。


「二人共止まって」

「「えっ?」」


 グリムの合図で二人は立ち止まった。

 身を屈めるように目配せをすると、目の前の草むらが揺れていた。

 何かいる。もしかするとモンスターかもしれない。ゴクリと喉を鳴らし、冷たい汗が頬を伝う。


「グリム、もしかしてモンスター?」

「分からないけどなにかはいるよ。二人共気を引き締めて、仕留めるよ」


 グリムの言葉に二人共背筋を走る。どんなモンスターが居るかは分からない。

 だけど開幕の先制を勝ち取るため、グリム達はタイミングを計って攻め込んだ。

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