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第9話 ログアウトして項垂れて

 グリムはフォンスに戻って来た。

 最初この街を出た時は意気揚々としていたはずが、今となってはそんな姿、影も形もない。

 全身から負のオーラを漂わせ、明らかに近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。

 「はぁ」と一呼吸、溜息を吐いてしまう。


「ちょっと疲れた」


 心と体もくたびれてしまった。

 ふと項垂れた背中を丸めていると、周囲の声が自然と耳に入ってしまう。


「ねぇ、あの人さっき森の方に行った初心者さんじゃない?」

「なんであんな格好してんだろ」

「不気味、ちょっと近寄り難いよね」

「全身黒はいいけど、あんなに自信なさそうに歩いてるとちょっとな」


 周りからの目が辛い。

 それから言葉も少し棘がある。

 外したくても外せない呪いのアイテムのせいでグリムは少しだけ項垂れていた。

 けれどもう仕方のないことなのだ。諦めて受け入れるしかない。


「そうだよね。周りからの目を気にしてたらダメだよね。良し!」


 ここはいっそ気にしないことにする。

 しかしマイナスにしか働かないこの装備を如何したらいいのか。

 大鎌なんて使ったこともないし、慣れ親しんでもいない。

 まだまだ問題だらけだが、とりあえず今日はログアウトすることにした。




「ふぅ」


 気が付くと呼吸を一つ置き、天井を見ていた。

 一瞬ログアウトする際に視界が歪み、意識が遠のいたので怖くなった。

 しかし無事にログアウトできたらしく、ベッドの上に横になっていた。


「何だか一日大変だったなー」


 童輪は両手両足を広げ、感嘆としていた。

 初日ログイン、結果は上々? なのかな。

 とりあえずレベルは上がった。アイテムもスキルも手に入った。だけど見た目が結構痛くなってしまった。そんな趣味、童輪にはこれっぽっちもない上に、あの装備は明らかに弱い。

 童輪はそれを一発で掴んでしまい、落胆が声になって溢れ出る。


「装備変更不可なんて、呪いのアイテムに全てを奪われてるんだけど。これって、後々何とかできるのかな?」


 正直できてもらえないと困る。

 「はぁー」と溜息が出てしまった。


「まあいっか。それより、如何したらいいんだろ。祭理への説明」


 これだと完全に祭理に足元を掬われる。

 もちろん、祭理がそんなことをする子じゃないのは、童輪が一番良く知っていた。

 しかし、これだと完全にキャリーしてもらう羽目になる。何とかして打開策を見つけ出さないとダメだと思った。


「とは言え今ある装備のスキルだけで使いこなせるのかな?」


 童輪は天井を見つめて考える。

 しかし思い付かないので、考えることをやめた。

 どうせ何とかなる。そう思い込むことにして、とりあえずゆっくりと目を瞑るのだった。




 そこは白い空間。何処までも真っ白な世界。

 浮かんでいたのは扉の様で、自動式になっているのか、手をかざすと勝手に開いた。


 ウィーン!


 扉が開き中に入る。

 扉の先は部屋になっていて、まるでリビングだった。


「えっ?」


 すると視線の先には淡いピンク色の髪を腰丈まで伸ばした少女がソファーに座っていた。

 目の前にはテレビの様なディスプレイが備えてあり、誰かのことを見ている。

 愕然とした様子で肩を落とし、そのまま四つん這いなっている白髪頭の少女だ。


「アイ、こんなところで何をしてるの?」


 青い髪をした少女がアイと呼んだ少女は話し掛けた。

 珍しく真剣に誰かのことを観察していたので、ついつい気になってしまった。

 するとアイと呼ばれた少女も振り返り、そこにいた同じ同年代くらいの少女に声を掛ける。


「ナミダ。えーっと、この人を観てるの」

「この人?」

「うん。今日、この世界に来た人だよ」

「初心者? 期待の新人?」


 ナミダはアイに質問をする。

 すると少し表情に影を落とし、眉根を寄せてしまう。


「それは分からないけど。でもね、何だか目を離せないの。不思議だけど、心に電気が走ったのかな?」

「珍しいね。アイは人を見る目が強いから」


 ナミダはアイのことを褒めた。

 するとアイは嬉しそうに笑みを浮かべる。


「ありがとうナミダ。でも如何して、もしかして目力が強いからかな?」

「さあ、それはアイが決めることだから」

「そうだよね。ありがとう」

「私は何もしていない」


 ナミダはアイに感謝されても淡白だった。

 クールな性格の様で、感情表現豊かなアイとは対照的。

 しかしながら二人は同じプレイヤーを観ていた。何だかやってくれそう(・・・・・・・)で、とてもワクワクしていたのだ。

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