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第89話 報酬がとんでもなく要らない件

 グリム達ギルド:〈《アルカナ》〉の三人は、無事にイシヘンライノスを倒してフォンスに戻って来た。

 真っ直ぐギルド会館に足を運ぶと、行き交う人達を逆流する。

 扉を潜り受付カウンターまで辿り着くも、まだまだ人が居て、再度番号札を取ることになった。


「また待ちですね」

「そうだね。だけど待つのは嫌いじゃないよ?」

「私は好きじゃないなー。んで、どんな報酬が出るのかな?」

「さあね。分からないけど、イシヘンライノスに関連した素材なら嬉しいかな。武具なら微妙だけど、それ以外ならまだ使い道が残っているからね」


 グリムとしては武具以外は当たりだ。何故なら使い道が残っている。

 けれど武具だと必要は最低限もない。

 それもそのはず、呪いのアイテムを装備しているせいで、グリム達には要らなすぎた。


「それじゃあさっきのドロップアイテムも売っちゃう?」

「どうかな? もしかすると、まだなにかに使えるかもしれないから、私は一応残しておくよ?」

「そ、それじゃあ私も残しておきます!」


 Dはグリムの意見に便乗した。

 フェスタもまだ売る気はないようで、インベントリの中に仕舞ってある。

 こうして番号を呼ばれるのをまた三十分近く待っていると、番号が回ってきたようで、N:ブルに受付カウンターから呼ばれた。


「〈《アルカナ》〉の皆さん、お帰りなさい。無事に帰って来られたんですね」

「もっちろーん! それで依頼の達成報告ってどうするの?」


 討伐依頼は採取依頼とは違う。具体的にはどうやって報告すればいいのか分からない。

 困った顔をしてしまうと、N:ブルは唇に人差し指を当てる。

 すると目の奥が何故か光っていた。なにをするのかと思ったが、「なるほど、見えました」と答えた。


「N:ブル。なにが見えたの?」

「景色ですよ。グリムさん達が戦って来た記憶道標(バトローグ)。それをこの目で見たからこそ、依頼の達成を確認しました」


 N:ブルはグリム達には分からない言葉を綴った。

 一体なにを言っているのか。

 さっぱり分からないが、とりあえず依頼を無事に達成したことを認めて貰えたらしい。


「それじゃあこれで……」

「はい。依頼は無事に達成です」

「無事に達成……えっと、ドロップアイテムアイテムなんだけど」

「納品ですね? それでは納品ボーナスも加点して、ギルドpは50pですね」

「「「50p?」」」


 誰一人として高いのか低いのか分からなかった。

 頭を悩まされると、一旦ギルドpは無視することにした。

 そう決めたグリム達は依頼も無事に終わったので、ギルド会館を後にしようとする。

 踵を返し手振り返ると、N:ブルは「あっ、まだ終わってませんよ」と言った。


「まだ手続きが必要なんですか?」

「手続きではなく、報酬です。無事に依頼を達成したことで報酬をお渡ししますね」


 N:ブルは報酬のためにグリム達を立ち止まらせたらしい。

 一体どんな報酬が貰えるのか。グリム達は完全に忘れていたが、トレイの上に報酬が置かれた状態で手渡された。その姿形、グリム達は嫌な予感がしてしまい、眉根に皺を寄せてしまった。


「N:ブル。もしかしてこの報酬って……」

「もちろん装備品です。ネームド装備で〈角岩のペンダント〉と言います」

「つ、角岩ー?」


 フェスタが早速げんなりしていた。

 表情を濁すと、トレイの上に置かれていた〈角岩のペンダント〉をDは手にする。

 見れば見るほどイシヘンライノスのものだ。まさか討伐したモンスターの素材を使ったアイテムとは思わず、一度に二度もビックリした。


「本当に角岩、イシヘンライノスのものですね」

「しかもよりによって装備なんだね」

「はい。そちらの〈角岩のペンダント〉が超低確率でクリティカルが五分の一の確率で出るらしいですよ」

「ちょ、超低確率から五分の一……」


 あまりにも低かった。超低確率が大体十パーセント以下。

 おまけに言えばそこからさらに五分の一の確率。

 言ってしまえば二パーセントの確率でクリティカルが出るのだ。

 絶対に高いとは言い難いが、そもそも誰も装備できないので不必要なアイテムと化していた。


「是非使ってみてくださいね」

「あっ、は、はい」

「「はーい」」


 グリム達は感情を失っていた。なんと返せばマシなのか分からなかった。

 とりあえず報酬を貰って代表してDのインベントリに放り込む。

 一瞬で〈角岩のペンダント〉は姿を消した。けれど次取り出した時も使う機会は無いのだろう。


 初めから使わないことを想定してグリム達はアイコンタクトでやり取りをした。

 もしも欲しい人が居るのなら売っても良いレベルだった。

 まさかここまでやって手に入れた報酬がグリム達にとっては微妙すら通り越して要らないものになってしまったのは、流石のN:ブルの前では見せたくないので、作った顔を張り付けてその場をやり過ごすのだった。

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