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第81話 〈《アルカナ》〉始動

「はい、申請された新規ギルドをギルド会館への登録完了です」


 グリム達は受付カウンターに戻って来ていた。

 そこでN:ブルに書いたばかりの用紙を提出する。

 とりあえず必要事項は全て書き終えた。渡された資料もグリムの理解力の高さと新たに入手したスキル【速読】を組み合わせたおかげで全部読み切り、おそらく何一つ見落としはないはずだ。


「これで終わりなんだよね?」

「はい。これで完了ですが、ギルド会館とギルドの説明は必要ですか?」


 まるでグリムなら既に分かっているはずだと言いたそうだった。

 もちろんグリムは分かっている。けれど隣の二人は分かっていなかった。


「お願いするよ」

「それでは説明をさせていただきますね。まずギルド会館ですが、こちらでは主にギルドに関することを行っています。この建物はそのための施設であり、主にここ一階はあちらに見えます依頼書の張り出されたクエストボードにて依頼手にし、ここ受付けカウンターにて依頼の受理を行います。無事に達成することで報酬及びギルド(ポイント)を獲得できます」

「そこまではいつも通りだね。だけどギルドpって?」


 今まで聴いたことに無い単語が飛び出した。

 一応グリムは理解しているがフェスタ達のために説明を仰ぐ。


「ギルドpとはギルドランクを上げるために必要なものです。ギルドランクを上げることにより、より難易度の高い依頼を受けることができます」

「へぇー。それってどれくらいあるの?」

「最高ランクはSランクです。もちろん依頼の失敗などによりpの減少もあるため、降格の恐れもありますが、是非ギルドのランクを上げてみてくださいね」


 これこそがギルドの仕様だった。

 ギルドランクを上げることにより、更にレベルの高い依頼を受けることができる。

 そうすれば報酬も評価も鰻上りだ。とは言え今のところグリム達は何に使うのか分かっておらず、とりあえずそんな仕様とだけ認識した。


「他にも地下には倉庫やギルドホームへの直通のポータルを完備し、二階にはちょっとした読書スペースや休憩所も完備していますので、是非ご利用ください」


 N:ブルは追加で説明してくれた。

 これもかなり分かりやすく、要するにギルドでは色んなことができる。

 グリム達は何となくで理解を示すと、N:ブルもとりあえず話を終えた。


「さて、どうするんですかこの後は?」

「どうしようかな?」


 まさかN:ブルからそんな誘いを貰うとは思わなかった。

 グリムはフェスタとDの顔色を窺う。

 すると二人とも考えていなかったらしい。この様子を見るに、予定は特に無さそうだ。


「私はなんでもいいよー?」

「は、はい。冒険でもなんでも」


 二人はとりあえず何か言わないといけないと思ったらしい。

 けれどグリムは無理しなくていいと無言のアイコンタクトを送る。

 目力が強かったせいか、慣れているフェスタはいいものの、Dは少しビビっていた。


「それじゃあN:ブル。なにかあるかな?」

「漠然としたご質問ですね。ですが丁度いいところでした」


 ここはN:ブルに委ねてみることにした。

 すると一瞬半月状の気怠い目をする。

 けれどすぐに気を取り直し、ゴソゴソとカウンターの下を漁った。


「実はですね、ギルド限定の依頼があるんです」

「ギルド限定の?」

「はい。この依頼は私達が認めた方にだけ受ける権利が与えられるものなんですよ」


 N:ブルは楽しそうに話してくれた。この私達と言うのは、如何やら受付嬢のことらしい。

 つまるところ、信頼を得ていないとそもそも依頼を出してもくれない。人間関係の構築が大変必要になりそうだった。

 それにしてもそんな依頼を私達が受けても良いのかと、グリムは考えてしまった。

 しかしN:ブルはクスクス笑い声を浮かべると続けた。


「グリムさんのことを高く評価しているんですよ」

「私を?」

「はい。よくギルドを利用して、私達ともフランクに話してくださいますから。おかげでグリムさんが来てくださる時は、とても心地が良いんですよ」

「は、はぁ?」


 グリムは反応に困ってしまった。それもそのはずグリムにとっては当然のことをしたつもりだった。

 けれどそれが高く評価されていて、上手くコミュニケーションが取れていたのだろう。

 グリムは胸を撫で下ろすと、N:ブルに依頼書を提示された。


「こちらが依頼書になります」

「えっと、どれどれ。ん?」

「討伐系なのは分かるけどさー、なにこのモンスター?」

「よく分からないシルエットですが、ゴツゴツしていますね」


 依頼書に描かれていたのは黒い影。

 形は如何見ても四肢を持った四足歩行のモンスター。

 鋭い三角形の何かを持っていて、場所が森と言うこともあり、未知のモンスターかもしれないとワクワクした。


「依頼書の内容は……ああ」

「[石片森林の蠢く角岩]なるほど、情報は多いけど見えて来ないねー」


 聞いたことに無いエリアに訊いたことの無い独特な単語。

 おそらくここに特徴が潜んでいるのだろうが、どんなモンスターが出て来るのか。

 グリムは思考を巡らせる中、N:ブルに声を掛けられた。


「どうですか?」

「どうですかって言われてもね……みんなは受けたいんだね」


 グリムはフェスタ達を見た。するとフェスタは受けたい受けたいと念じていた。

 額に手を当ててみたグリムはDにも尋ねる。


「Dはどうしたい?」

「わ、私ですか!? えっと、その……グリムさん達が受けるのでしたら!」


 完全に自分の意思が欠如していた。けれどこれがDの意見ならばそれを汲むのがギルマスの役割。

 ここは色々な可能性も考慮しつつN:ブルに答えた。


「それじゃあ受けさせてもらうね」

「はい。すぐに受理しますね!」


 手早い動きでN:ブルは依頼書の受理を行っていた。

 グリム達はそんなN:ブルに背中を押される形で依頼を受けることになる。


「気を付けてくださいね。危険と判断した際は、すぐに出も逃げてください。ゼロよりも下は無いんですから」

「あはは、肝に銘じておくよ」


 今のところギルドpは0だった。

 けれどその例えないマイナスは出さないで欲しかった。

 グリムは人知れず傷付いてしまったが、そんな顔色は一切見せず、N:ブルににこやかに送り出されてしまった。

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