第77話 パーティーよりもギルド
グリム達は立ち話もなんだということで、場所を変えていた。
やって来たのはレトロな雰囲気が漂う喫茶店。
木目調の壁板が美しく、心地の良いメロディーがBGMのように綴られる。
店内はかなり空いていて。マスターと呼べる立派な髭を生やしたおじさんとエプロンを着たウエイトレスが居た。
一番奥のテーブル席に案内されると、メニュー表を見せて貰った。
パラパラと見ながら、グリムは注文をする。
「二人は決まった?」
「うーん、それじゃあコーラに使用かな」
「あっ、私はカフェオレでお願いします!」
「そっか。それじゃあ私はコーヒーで。ホットで頼めるかな?」
ウエイトレスの女性は注文用紙に頼もしく書き綴る。
楽しそうだけど少し緊張した様子だった。
「コーラとカフェオレ。それからコーヒーのホットですね。かしこまりました、少々お待ちください」
急ぎ早に駆け出していた。
もしかしたらほとんど客が来ないのだろうか?
何となくそんな素振りに見えてしまい、グリムは直感で感じ取った。
「それじゃあこれからどうする?」
「どうするってー?」
早速切り出した瞬間に詰まってしまった。
けれど仕方のないことだ。グリムは頭の中に思い付いていた枕を発する。
「例えばこれからパーティーのメンバーが増えることになるけど、戦術やスタンス。新しいことへの挑戦かな?」
あくまでもグリムは漠然としたことを言った。
ありきたりで答えにはなっていない。
それでもフェスタは真剣に考え、ポッと浮かんだらしい。
「そうだなー。あっ!」
「なにかあった?」
グリムはフェスタの考えに期待した。
自分よりもゲームと言うものを長く深く遊んでいるからだ。
きっと何かあるのだろう。そう思ったのも束の間、グリムも知っていることを本題に上げた。
「ギルド作ろうよ、ギルド!」
「ギルド……そう言えばギルド会館があったね。だけどまだギルドは……」
そうだ。グリムは幾度もギルド会館に足を運んでいた。
けれどギルドができたという話は聞いていない。
けれどそれは現時点の話であって、「チッチッチッ」と人差し指を立てて横に振りながら、運営からの情報を提供してくれた。
「それは過去の話だよ」
「過去と言う程過去でもないけどね」
「そういう細かい話はいいんだよー。それよりさー、今度正式にギルドが稼働するんだって!」
「あの、稼働でいいんですか?」
Dも同じところが気になった。
果たして声は稼働と言っていいのだろうか? 始動の方が分かりやすい気がした。
するとフェスタはムスッとした表情を浮かべるが、気にせずに話を続ける。
「とにかく、ギルド会館も本格的に活動を始めるみたいなんだ。でさ、ギルドを作って早速色んなエリアに行ってみようよ!」
フェスタの目はキラキラしていた。
遊び体感が強く、楽しみで仕方がなさそうだ。
こうなったフェスタを止めるのは野暮だ。それにグリム自身も好意的で、その話には乗った。
「いいねギルド。作ったら何か良いことがあるかもしれないね」
「うんうん。良いことがあるよー」
「例えばどんなことなんすか?」
Dはフェスタに挙手して質問した。
すると困ったよ数で腕を組む。如何やら答えを持っていなかったらしい。
気まずい空気が流れそうになり、グリムも一捻りする。
「そうだね。例えばギルドじゃないと受けられない依頼や、エリアの開放、施設の確保はあるんじゃないかな?」
「つまり、ギルドに入っていた方がお得と言うことですね!」
「そう言うこと。とは言え厳密に何が変わるかは分からないけど、おそらくはそんな感じでプラスに働くことは大いと思うよ?」
グリムも確実なことは言えない。だって知らないからだ。
あくまで予測の域を出ることはなく、当たり障りのないことで間繋ぎをする。
その間でアイコンタクトを送り、フェスタと見えない連携を取った。
ポン! と手を叩き、フェスタは知れず話をまとめた。
「まあとにかくだよ! ギルドを作った方が面白くなるってー」
「面白くなる……」
Dは小声になり考えてしまう。
高揚感と同時に不安もよぎったせいだろう。
だからグリムは一度渇を入れる。
「Dはどうしたい?」
「わ、私はグリムさんに従います!」
完全に自分の意思がなかった。いや、それがDの意思だった。
となればグリムは改めて尋ねる。自分の選択肢は自分で決定するべきだった。
「D、本当はどうしたい?」
「ぐ、グリムさん?」
「自分の選択は自分で決めるべきだよ」
「え、えっと、その……分かりました。私もギルドを作りたいです!」
グリムの力強い目力に圧倒され、Dは目をグルグル回す。
耳の先まで真っ赤にしたがようやく結論が出た。
満場一致と言うことで行動は決まった。
「それじゃあギルドを作るってことで良いね」
「OK。よーし、それじゃあギルド会館行ってみよう!」
「その前に注文したものを飲まないとね」
グリム達の方針が決まった。
ウエイトレスが注文したものを持ってくるのを待つ。
その間適当な話題で間を繋げることにして、飲み物が来るのを待つのだった。
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