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第74話 赤砂の使い道

 ピジョンは鳴きまわしていた。

 けれどしばらくすると涙も止まってくれた。

 その間グリムがポンポン背中を軽く撫でていた。

 おかげでピジョンの精神状態も安心していたようで、顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうにする。


「大変お見苦しいところをお見せしました」


 ピジョンは涙を袖で拭いた。

 グリムもピジョンから少し離れると、薄ら笑みを浮かべる。


「そんなことないよ。この状況を見たら、誰だって泣きたくなるよ」

「実際に泣いてたけどねー」

「フェスタ、茶化すならもう少し場を弁えようか」

「ううっ、ごめんねー。ピジョーン」


 フェスタは従順だった。グリムに注意され、即刻反省する。

 けれど先程までは泣きまわしていた。

 あんなピジョンの姿を見て、まさか自分があやすことになるなんて。グリムは珍しい体験だったと仰いだ。


「いいんですよ。それよお二人が今日ここに来た理由はやっぱり……」

「そう言うことだよ」

「そうですよね! と言うことは、期待しても?」

「期待は止めて欲しいな」


 いつものピジョンが平常運転で帰って来た。

 けれど勝手なまでの期待は止めてもらうことにした。

 今回はゾンビ・パーティーもあってか、あまり上手くできた気がしない。

 グリムとフェスタは目配せをし合うと、インベントリから重たくなった土嚢袋を取り出した。


「とりあえず五袋採って来ましたよ」

「そ、そんなにですか! 凄いですね。期待以上ですよ」


 まさか期待以上をしょっぱなから叩き出してしまうとは思わなかった。

 正直少なかったかもしれない。そう思っていた自分が嘘みたいに飛んで行く。

 グリムは自然と胸を撫で下ろすと、フェスタが背後で相槌を打った。


「あはは、さっきまでの反応と全然違うよー」

「フェスタ、思うところは分かるけど少し黙って」

「はーい!」


 茶化すのは止めてもらう。

 今一度注意を促すと、今度は愉快に笑いだした。

 こうじゃないとフェスタじゃない。変な気の遣い具合が無くなり、グリムは平穏な日常を取り戻した。


「中を見ても大丈夫ですよね?」

「はい。それが赤砂で合っているかは分かりませんけど」

「大丈夫ですよ。どれどれ……おっ! ちゃんと赤砂ですね。石榴石も入っています」


 石榴石とはガーネットのことだ。

 この言い回しから、本当に欲しかったのはガーネットだと分かる。

 となれば使い道は加工してアクセサリーか研磨剤か。

 二分された選択肢の中、ピジョンにグリムは尋ねる。


「ピジョン、それだけのガーネットをなにに使うのかな?」

「そうだよねー。一体なにに使うのー?」


 フェスタは全く知らない様子だ。

 するとピジョンは意地悪するわけでもなく笑みを浮かべて答えてくれた。


「それはですね、意外に思うかもしれませんが研磨剤に使うんですよ」

「研磨剤?」

「やっぱり」


 まさか当たるとは思わなかった。

 グリムは用意していた二つの選択肢のうち、一つが当たってくれたことを密かに喜ぶ。

 けれどピジョンは意外そうに首を捻る。


「あれ、ご存じだったんですか?」

「少しだけね。でも本当に使うとは思わなかったよ」


 実際、グリムはガーネットを研磨剤に使うことは知っていた。

 けれどどうやって使うのかはまるで知らない。

 しかし当たってしまったのは問題だった。グリムはせっかく披露しようとしたフェスタの見聞を踏みにじってしまったと思い、胸を少しだけ痛めた。


「ふふっ。本当に使うんですよ」

「凄いね。どうやって使うのかは分からないけど、使い道が分かって良かったよ」


 とりあえず依頼は無事に達成。

 報酬も貰えそうだし、ピジョンも総合的に元気になって嬉しかった。


「ですが本当にありがとうございました。これだけあれば十分です」

「それは良かったです」

「また必要だったら言ってよねー」

「はい、ありがとうございます」


 フェスタはピジョンにそう言った。

 軽やかに口走り、ピジョンも乗ってくれた。

 上手くプレイヤー同士の繋がりができてグリムもフェスタも頑張って良かったとホッとした。

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