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第73話 デンショバトは繁盛してない1

【お願い】


読者の皆さん、お願いします。

こちらの作品も投稿しています。

かなり自由度の高い作品として、質向上を目指して書いていますので、一度読んでいただければ嬉しいです。

くどいですが、また宣伝します。少しでも多くの読者の方に届けば最高です。


■【再構成版】VRMMOのキメラさん~平凡だけど成長率が最強な私、モンスターのスキルを奪い取って使っていたら、いつの間にか《合成獣》と呼ばれて本当に最強になってました!?

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 ゾンビ・パーティーから一夜が明けた。

 グリムとフェスタは一度フォンスに帰ったはいいものの、そこで終わってログアウトしてしまった。

 だから今日になってアイテム屋デンショバトに足を運んだ。


「こんにちは」

「ちはーす」


 グリムとフェスタはデンショバトの空気の重い扉を開けた。

 入る前から伝わる異質感。明らかに人の出入りがない扉には埃が外からでも分かる形で、下の角に付着していた。

 できる限り触れないようにして、グリムとフェスタは息を飲んで入店したのだ。


「ピジョン、いますか?」

「おーい、ピジョーン!」


 店内は静かだった。相変わらず客数はゼロ。

 悲しいことに繁盛の“は”の字もない。

 重たい空気がじっとりと店内を支配していて、置かれているアイテム達から悲しい叫び声が聞こえる気がした。


「本当に流行ってないよねー」

「しっ、そんなこと本人の前では絶対に言っちゃダメだよ。クレーマーだと思われても困るからね」

「分かってるよー。でもさ、流石にこれヤバくない?」

「まあそうだね。私も見ないふりはできない。だけどこの場所自体が少し難儀だからね。なにか直接的な広告塔を打たないと改善介入には繋がらないよ」


 グリムはそう言った。あまりにも中身が無かった。

 だけど言っていることは全て的を射ていた。

 フェスタには思いつかなかったが、グリムだったらこうすると頭の中で直感が疼いていた。なによりも大々的なのは、この店構えにテコ入れをする手段だ。


「とは言え、本人がその意思がないなら私達が言う話でもないよ」

「グリムは大人だねー」

「大人? 私はまだ十八だけど?」

「そう言うことじゃないんだけどなー」


 グリムは面白くもない冗談や例えを完全スルーした。

 フェスタもグリムのそれをいつも通りの定型だと捉えニヤニヤ笑みを浮かべる。

 そうこうして時間をぼんやり過ごしていると、店の奥から強烈な負のオーラが駆けた。

 グリムとフェスタは気にしない素振りを見せつつも、何となく嫌な予感が(ひし)めいた。

 

「ああ、お二人共いらっしゃい」


 顔を出したピジョンはあまりにも暗かった。

 昨日見た時の倍で暗く、周りに負の鬼火が回り出す。


「ピジョン、一体何があったの?」


 グリムはピジョンに尋ねた。

 するとピジョンはまるで何事もなかったかのように振舞う。

 流石はピジョン。そう讃えたいのはやまやまだが、流石にスルーし辛い。


「いえ、なにもありませんよ」

「嘘だー」


 すぐにフェスタはツッコミを入れた。

 それもそのはずピジョンの目元が暗くなっている。

 徹夜でもしたのか、ゲームの中にまで影響が濃く出ていた。


「フェスタさん。そんなこと言わないでくださいよ~」


 今にも泣きそうな顔をしている。

 泣きたい気持ちも伝わった。店がいつも通りガランとしている。

 そう、いつも通り(・・・・・)がマズいのだ。

 グリムはイマイチピンと来ていなかったが、フェスタは無言で理解していた。


「ピジョン、一体なにがあったの?」

「ちょっとグリムー。それ以上は止めてあげようよー。もうネタじゃないよ?」

「ネタ?」


 全く伝わっていなかった。それもそのはず、グリムはPCOの公式チャンネルに微塵も関心が無いのだ。

 だから昨晩アップされた動画を知らない。

 フェスタが耳元でこっそり教えてあげようとした瞬間、ピジョンが発狂した。


「訊いてくださいよ! 昨日、ゾンビ・パーティーって言うゲリライベントがあったんです!」

「ああ、合ったね。ねっ、フェスタ」

「う、うん。私達巻き込まれちゃったからなー」

「そ、そうなんですか! だったら尚更ですよ。大変だったはずです。ですよね、ですよね?」

「「う、うん」」


 あまりにも食い気味すぎて引いてしまった。

 けれど顔を真っ赤にしたピジョンは続ける。

 自然とグリムの肩を掴んでいて、全く逃がす気がない。


「ゾンビの様なアンデッド系モンスターには聖水と言うアイテムが効くんです」

「そうなの? 初耳だね」

「私は知ってたけどねー。持ってなかったけど」

「そうなの? それなら買っておけばよかったね」

「そこなんですよ!」


 またしても地雷を踏んでしまった。

 グリムは気にせず首を捻ると、ピジョンは泣きべそでグリムに言い切った。


「うちは大量の聖水を仕入れているんです。見てくださいこの量!」

「凄い数だね。もしかしてその箱全部?」


 カウンターの隅に大量の木箱が詰まれていた。

 もしかしてと思ったが、如何やらその通りらしい。


「そうですよ。ですがいくら宣伝しても誰も買ってくれなくて。運営曰く、このイベントはまだ続くのに、誰もうちに来て買って……せっかくのチャンスなのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……はうぅ」


 ピジョンは感極まってしまった。

 けれど気持ちを汲むことはできる。

 だってこんなに閑古鳥が鳴いているんだ。少しでも流行ってくれればいいのにと、来て早々同情の色が濃くなってしまった。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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