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第70話 〈運命〉との出会い

また一つ、〈運命〉が変わる。

「そろそろ離れてくれるかな?」


 あれから五分近く少女はグリムから離れなかった。

 如何したら良いんだろう。頭を悩ませるグリムは、ここは意を決して少女に告げた。

 すると少女の耳にも届いたようで、急に腕の力が弱まり解放される。


「あっ、す、すみません……」


 少女もようやく我に返ってくれた。

 ハッとなって頬が真っ赤になる。

 その様子が可愛くて、恥ずかしさのあまり顔を下に向けている辺りが高評価に繋がりそうだ。けれどグリムはそんな一般的なことは知らず、頬をポリポリ掻きながら困ってしまう。


「悪いことしちゃったかな?」

「あー、グリムはそう捉えるんだー」


 フェスタが流し目でグリムのことを見ていた。

 その横顔が少しだけグリムの癇に触る。

 だけどこんなことで怒ったりしない寛容なグリムは「そうだね……」と言葉の枕を繋げた。


「でも当たり前だよ。見ず知らずの少女を傷付けたなんてことになったら大変でしょ?」

「いやいやー。傷付けたなんて言い方、良くないと思うよー?」

「どういうこと?」

「よく見てよ。あの顔は照れているんだよ」

「照れてる?」


 少女のことをグリムは再度見つめた。

 鋭くて力強い眼光が集中すると、少女の体がやけに丸くなる。

 やっぱり何かしてしまったに違いない。グリムはフェスタに尋ねた。


「本当に照れているんだよね?」

「そうだよ。でもさー、グリムが人の感情を読み解けないってことは……そう言うことかー」

「どういうこと?」

「別にー。いやぁ、グリムは同性からモテるからね。うんうん、カッコいいからねー」

「なにが言いたいのかな?」


 正直に言おう。グリムはこの手に関して非常に疎かった。

 特に同性間ではずば抜けている。

 親友であるフェスタにとってはこんな光景は何度も見て来たものでグリムの反応を見ていれば大体察せられた。それくらいメジャーだけど、最近は無かった光景にテンションがMAXにまでぶち上がった。


「まあいいや。とにかく三人で無事にゾンビ・パーティーを耐え抜いたんだ。とりあえず、お疲れ様」

「お疲れー」


 パン! とグリムとフェスタはハイタッチを交わした。

 高らかな音が鳴り響き、空気を震わせていく。

 それからすぐに沈黙が訪れると、今度はグリムから少女に歩み寄る。


「ねえ貴女」

「は、はひっ!」


 少女は緊張した様子で耳を真っ赤にしたまま顔を上げる。

 よく見れば顔全体が真っ赤になっていた。

 もしかして体調でも悪いのかも知れない。そう思ったグリムはお節介にも少女の身を案じる。


「大丈夫、怪我とかしてない? 体調も問題ない?」

「ぜ、全部大丈夫です。心配していただき、ありがとう、ございます……」


 少女は緊張が勝っていてグリムの顔を見られなかった。

 すぐに下を向いてしまい、耳まで蒸発しそうな勢いで真っ赤になる。

 それを気遣うようにグリムは声を再度掛ける。


「そんなに緊張しないで良いよ。私達は無事にゾンビ・パーティーを耐え抜いたんだから」

「は、はい。そ、そうですよね。ふぅ、良かったです。突然ゾンビ達が襲ってきて……ううっ、私、怖かったんです」


 少女は泣き出してしまった。

 顔を下に向け俯いたまま小さくなった体が震える。

 グリムもフェスタも分かっていた。少女があれだけのゾンビの群れに脅かされていた恐怖は例えVRゲームの世界でもトラウマものだろう。

 パニック障害を発病しなくて良かったと胸を撫でると、グリムはちょっとした言葉で励ます。


「怖かったよね。でも大丈夫だよ」

「どうしてそんなことが言えるんですか」

「どうしてって、全ては結果論だけど、貴女は無事に生き残れた。それになにより、私の直感は捻じ曲がらない」


 グリムは両肩に手を置いて少女を励ます。

 少しだけ顔を上げた少女の顔は真っ赤で、目元は涙で覆われていた。

 完全に今にも再度泣き出しかねない状況。

 グリムは如何したら良いのか分からず、これ以上の励ましが思いつかないで焦った。


「どうしようフェスタ。私、マズいことしたかな?」

「うーん。そうだ、頭でも撫でてあげたら?」

「な、なんでそうなるのかな!?」

「いいからいいからー。私を信じなさいってー」


 何故かフェスタは頭を撫でるように指示し、親指を立てて信じろを言った。

 グリムも訳が分からないが、やってみる他なかった。

 少女の肩から手を払い、代わりに頭にポンと手を置いて優しく撫でる。


「大丈夫だよ。大丈夫だからね」

「うっ、は、はい……」


 少女は完全に照れていた。

 けれど何で照れているのか分からない。

 もしかしたら撫でちゃダメだったのかも。逆効果になっていなければいいのにと、グリムは不安に思った。


「やっぱりモテるなー」


 その姿をフェスタはつまみ代わりに眺めていた。

 グリムは心理学部だけど本当に恋愛には疎い。

 もちろん他人の恋愛は察せれる。だけど自分の恋愛、特に同性相手にモテることを気付いていない。そのことを何度でも言いたいし気付いて欲しかった。フェスタは目の前で起こる甘酸っぱい光景に対し遠い目で見ていた。


「まあいっか。おかげであの子も悲しまずに済んで……恥ずかしそうだけどさー」


 こうしてゾンビ・パーティーは無事に脱した。

 グリム達は少女を無事に救いきり、グリムは何故か少女に懐かれるようになった。

【ステータス】


■グリム

性別:女

LV:17

HP:170/170

MP:100/100


STR(筋力):61

INT(知力):66

VIT(生命力):60

MEN(精神力):158

AGI(敏捷性):62

DEX(器用さ):110

LUK(運):69


装備(武具)

メイン1:〈死神の大鎌〉ATK:-X

メイン2:


装備:(防具)

頭:

体:〈死神のシャツ〉〈死神の外套〉DEF:-X

腕:

足:〈死神のレギンス〉DEF:-X

靴:〈死神のブーツ〉DEF:-X

装飾品:〈死神のネックレス〉ステータス:-X


スキル(魔法を含む)

【精神相殺】【観察眼】【看破】【ジャストガード】【眼光】【緊急回避】


ユニークスキル

【マイナス固定】




■フェスタ

性別:女

LV:14

HP:140/140

MP:95/95


STR(筋力):142

INT(知力):48

VIT(生命力):46

MEN(精神力):46

AGI(敏捷性):97

DEX(器用さ):44

LUK(運):45


装備(武具)

メイン1:〈戦車の大剣槍〉 ATK:X

メイン2:


装備:(防具)

頭:

体:〈戦車の軽鎧〉 DEF:X

腕:

足:〈戦車の軽脚〉DEF:X

靴:〈戦車の軽靴〉DEF:X

装飾品:〈戦車のスカーフ〉敏捷性:X


スキル(魔法を含む)

【筋肉増強】【ジャスト回避】【馬術】【アニマルフレンドリー】【潜水】【納剣】【抜剣】【威圧】


ユニークスキル

【万能騎乗】

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