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第52話 最終日はサバンナで

 モンスターズ・ペアも最終日になった。

 ここまで集めたポイントは全部で百七十ほど。

 まだ足りないかもしれない。そんな思いで飛ばされたのは、何処までも広がるサバンナだった。


「最終日は夕方のサバンナかー」

「視認性が悪いけど仕方ないね。それよりプレイヤーの数が少ないけど……」

「今回のイベントが人気ないせいだよー。気にしない気にしない」

「こんなに面白いのに」


 飛ばされたサバンナではプレイヤーの姿がチラホラ見かける。

 けれど誰も交戦しようとはしない。それもそうだ。ここまで戦って来たプレイヤー達は、みんなモンスターと真剣勝負をしてきたはず。

 無駄にプレイヤーと争う気など持ち合わせていないのだ。


「さてと、それじゃあ私達も行こうか」

「うん。サバンナーかー、どんなモンスターが居るんだろ」

「さあね。でもどんなモンスターが相手だろうが関係無いよ。最後に勝つのは私達だから」

「さっすがグリム。良いこと言うねー」

「そう言いきった方が強いよ。それじゃあ」


 グリムは続きを言おうとした。その時だった。

 急に何か駆けて来て、鋭い牙でフェスタに噛み付こうとする。

 見ればモンスターで、モデルはコヨーテのようだった。


「コヨーテ? ちょっと待った待った。流石にいきなり過ぎない?」


 大剣を振り下ろしコヨーテ系モンスター=ファンヨーテを一刀両断。しようとしたが素早い動きで躱された。

 大剣が地面に突き刺さっただけで、そこから急激に重さが加わって動けなくなる。

 肘にも膝にも負荷が掛かり、まともに動くことすらできなかった。


「ヤバっ! 早く【納剣】しない……とぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 ファンヨーテはフェスタの動きが鈍っているうちに左代わりに回り込んだ。

 あまりの重さに大剣を振り上げられない。

 それだけじゃない。高く飛んで首筋に噛み付こうとする。

 これはマズい。だけど受けきれない。表情を歪めるフェスタだったが、ニュルッと湾曲した刃が伸びて来た。


「う、嘘でしょ?」

「フェスタ、一人じゃないでしょ。私を忘れないでよね」


 ファンヨーテの首に鎌の刃が触れた。

 〈死神の大鎌〉を刃合せると、そのままゆっくり引いてコトンと落とした。

 ファンヨーテは瞬く間に息絶えポイントになる。最終日のおかげか、ポイントも二倍で四ポイントも入った。


「最終日はポイント二倍なんだよね? それじゃあこのまま中ボス倒しちゃえばさー」

「そう言うこと。多分このエリアにも居ると思うけど、できれば狙いたいね」


 とは言え問題は最終日なところだ。

 最終日の中ボスなんて、もはやボスでしかない。

 倒せる気がしないが、倒しに行くと決めていた。

 ファンヨーテは弱かったけど、それでも苦戦したのだから、頑張る気にしかなれない。


「よーし、それじゃあガンガン倒していくよ」

「分かってるよ。それじゃあモンスターを……おっ、あそこにいるね!」

「アレは……ファンヨーテ?」

「うーん、コヨーテかな? ハイエナに見えるけど……あっ、こっち来た」


 ジッと見ていると奥に居たモンスターに気付かれた。

 ダッダッと地面を蹴り上げて、短い脚で走って来る。

 二人は武器を構えると早速迎え撃つが、的が小さいから攻撃が全然当たらない。


「せーのっ!」

「そりゃぁ!」


 大剣を振り下ろし乾いた大地に罅を入れるが失敗。

 大鎌を振り抜いて横一線で頭を狩り取ろうとしたが躱される。

 あまりのすばしっこさに攻撃が当たらないせいで、デバフ効果が強くなる。


「ちょこまかと……もう! なんで当たらないのー」

「私の攻撃も当たらないね。もしかして、このハイエナ敏捷性に特化してる?」

「だから回避がエグいのかー。もう、せーのっ!」


 ちょこまかとステップを踏みながら噛み付こうとするハイエナ=スッテプエナにフェスタは大剣を叩き込む。

 両手でしっかりと握り込み、膝を落として一気に振り下ろす。

 ドスン! と地面を叩き割るかのようで、隣に居たグリムも攻撃を受けたと錯覚した。


「うわぁ! 待ってよフェスタ。そんな大雑把な戦い方をしてたら」

「そんなこと言われてもさー……上がってきた!」


 大剣を振り下ろして硬直状態に入った。

 動けなくなるフェスタの大剣を坂に使って、スッテプエナが駆けあがる。

 涎をダラダラと垂らしながら首筋に噛み付こうとしてきた。

 マズいと思って大剣を持ち上げようとするが、デバフとモンスターのせいで【納剣】が使えなくなってしまった。


「助けてグリム!」

「分かってるよ。全く、最終日のモンスターのAIはどうなってるんだろうね」


 フェスタの目の前に底無しの口があった。

 目を見開き今にも殺されそうになるフェスタだったが、すっと伸びた大鎌がステップエナの口に挟まった。閉じられる前に倒せば良いの考えで柄を引くとステップエナの口が裂け、気が付けば頭がコトンとなって消滅した。


「ふぅ。全く無理しないでね」

「ごめんごめん。でも結構ポイント入ったんじゃない?」

「どうかな。自分の目で見たら判ると思うよ」

「むぅ。その言い方不満だなー。……ごめんなさい」

「いいよ。でもさ、ポイントがモンスターの強さに比例してないよね」


 まさか苦労して倒したステップエナが二ポイントにしかならないなんて。

 がっかりするグリムとフェスタはより慎重になることにした。

 いくら強い呪いの装備も弱点はある。私達は常にマイナススタートなんだからと言い聞かせてサバンナを歩くのだった。

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