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第50話 大鯰に一撃を!

 グリムはフェスタが戻ってくるまでの間、〈死神の大鎌〉で相手をすることにした。

 オオナマズはフェスタの攻撃でかなりダメージを負ったのか、動きが鈍くなっている。

 その隙を突き、今しかないとグリムは攻め立てる。


「フェスタ、聴こえて無いかもしれないけど伝えるね。しばらく私が相手するから、最後の一撃は任せたよ!」


 グリムは多分聴こえていないと分かっていながら、フェスタに聴こえて欲しくて一人で叫んでいた。

 〈死神の大鎌〉を振り上げ、一気に近付いた。オオナマズは動かない。しかし髭だけがピクピク痙攣(けいれん)していて、嫌な予感がした。

 けれどやるしかない。大鎌を突きつけてダメージを与えようとすると、髭がピクピク痙攣し始めた。重たい体がゴロンと動き、長い髭を鞭みたいにして叩き付けて来た。


 ズドーン!


 髭が鞭のようにしなり、近付くグリムを阻む。

 叩き付けられそうになり大鎌の湾曲した刃で受け止める。

 腕に強い衝撃が走った。痛い。痙攣して痺れてしまうと、体が硬直して動きが鈍る。


「まさか最初っからこれが狙い……分かってたけど」


 もちろん予め想定の範囲内だ。

 しかしここまで硬直させられるとは思わなかった。

 いつの間にか起き上がっていたオオナマズが動きの鈍ったグリムにボディプレスを仕掛ける。踏み潰されたらひとたまりもないところで硬直が切れた。


「これは【ジャストガード】の騒ぎじゃない。よっと!」


 受け止めるのは早々に諦める。

 こんなの防ぎきれるわけもなく、グリムは後ろに飛んだ。

 すると地面が揺れ、地ならしが鳴った。もし押し潰されていたら如何なっていたか、確執に即死判定を貰っていただろう。冷汗が流れて行き、蟀谷を右手の甲で拭いた。


「流石に私一人で相手をするのは厳しいよね。でも負ける気は無いよ」


 グリムの直感が言っていた。赤い瞳がオオナマズを捉えると、目と目が合った。

 なにに怯えたのか、グリムの人並外れた力強い眼光に当てられ、肝心のオオナマズが少し後ろに下がる。髭のレーダーがビンビンに警戒していて、鞭のようにうねりを上げて絶対に近付かせないと高を括っていた。


「そんなに私のことが恐ろしいのかな? 残念だけど、私は怖くないよ。もちろんはったりじゃないからね」


 グリムはゆっくり一歩ずつ距離を縮めた。オオナマズは完全にビビっている。

 あまりの気迫が殺気と勘違いされてしまったようだ。

 オオナマズは攻撃を無視して全力で防御していた。

 しかしグリムは気にせず飛び込む。髭をいくら鞭のようにしならせていても、結局突破口は常に開いているのだ。例えば髭と髭が交差した後、ほんの数秒の間をグリムは縫う。


「いくら防御していても、攻撃に転じることができないと勝てないよ。例えばそこだっ!」


 髭同士が交差した後、大鎌を突きつけて無理やり突破口を開く。

 するとオオナマズはすぐにでも髭を近場に寄せて近付けさせないようにした。

 だけどそれでは止まらない。グリムはDEX(器用さ)を上げている。全部捌き切ってしまい、オオナマズの鼻先に近付いた。大鎌を振り上げ、勢いよく振り下ろした。

 だけど届かなかった。オオナマズの頭がもの凄く硬かった。


 カキーン!

 

「か、硬い!?」


 腕全体に衝撃が伝わった。あまりの硬さに折れたかと思った。

 だけどちゃんと繋がっていた。けれど効かなかったせいかオオナマズも動き出す。

 グリムを攻撃するため髭を使って幕を作ると、逃がさないように閉じ込めた。


「しまった!」


 グリムは後ろに逃げられなくなっていた。それでも逃げ道は無いか模索して振り返ろうとした途端、オオナマズが体を持ち上げた。ボディプレスをしようとしている。

 これは避けられない。そう思わせたのも一瞬(・・・・・・・・・・)。グリムはニヤリと笑みを浮かべた。


「なんてね。フェスタ、今だよ!」

「OK! それじゃあ……そのまま自分の重さで死んじゃってね!」


 グリムのすぐ傍にはびしょ濡れになったフェスタが居た。

 その手には大剣が握られていて、ポタポタと濁った水滴を落とす。

 グリムに気を摂られ過ぎていてオオナマズは気が付いていなかった。

 大剣を構えるフェスタは大振りに構えるわけでもなく、丁度空いた空間に大剣を滑り込ませる。それはオオナマズがボディプレスをするために作った空間だ。

 大剣の刃が見えるように潜まれていて、グリムに攻撃しようとした瞬間、オオナマズは気が付いていても止めることができず自分から大剣の上に落ちて来た。


「うわぁ、結構グロいね」

「そうだね。これは見せられないよ」


 あまりにも壮絶とした光景が広がる。

 オオナマズのHPがごっそり削られ、やがてゼロになった。それも当然で、オオナマズの体は半分はもう……なことになっていた。

 しかもこれをしたのはオオナマズ自身の手によるものだった。何とも言えないだろう。


「まさか自分の重みでやられちゃうなんてねー」

「残酷だね。無慈悲だよね」

「それにしてもよく私の意図が分かったねー」

「気が付いたのはさっきだよ。私の大鎌が弾かれたところを見ていたんだよね。だから上はダメ。だったら下は? それが上手く行っただけの話だけど、達成感があるよ。ようやく倒せた。ナイス、フェスタ!」

「グリムもねー。なにはともあれ、これで一安心だ。イェイ!」


 グリムとフェスタはハイタッチを交わした。

 オオナマズの最後はえらく呆気ないもので、あっさりとしたオチだった。

 それでもまともにやり合えば苦戦する相手を見事な連携で倒せたことに一安心した二人だった。

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