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第42話 前評判はイマイチらしい

 グリムはPCOにログインしていた。

 フェスタとパーティーを組んでレベル上げをする毎日の最中、要らないアイテムがそこそこ溜まって来ていた。

 インベントリの中を一括で掃除するためにも、今日はピジョンの営むアイテム屋デンショバトに足を運ぶ。

 相変わらずと言うべきか、あまり繁盛はしていないようで、店内は今日もガランと空いていた。


「こんにちはピジョン」

「あっ、グリムさん。いらっしゃいませ」


 店内で暇そうに品出しをしていたピジョンを見つけた。

 急にやって来たグリムに気が付いたのか、少し遅れて反応する。


「相変わらずだね」

「ええ、閑古鳥が鳴いていますよ」


 あまり店が流行っていないらしい。

 グリムもできる限りのことはしたつもりなのだが、初めて参加したイベントで五位入賞を果たしたものの余り効果はないらしい。

 悪いことはしていないのに、少し気まずいグリムは、ピジョンに促される形で回復。

 インベントリの中に入っているあまり使い道のないアイテムを幾つか買い取って貰うことにした。


「買取ってできるかな?」

「はい、できますよ。おお、鉄製のものが非常に多いですね」

「この間バンロッサに行って来たんだよ。そこでたくさん剣や盾のモンスターと戦ったからね。鉄のアイテムが多いんだけど、私達じゃ使い道が限られているから」


 インベントリの中は古い鉄がたくさん溜まっていた。

 一応スキルを使えば再利用もできるようになるらしいが、専門的なスキルを取るのは難しく、グリム達には扱えない代物だった。

 だからこそこうして必要そうな所に売ってくれそうなピジョンの見せにやって来たのだが、思った以上に反応が良くて安心した。その理由も明らかになり、グリムは納得して胸を撫で下ろした。


「武器を作るためには大抵は鉄を始めた鉱物が必要ですからね。古い鉄でも新しく熱して固めれば十分再利用可能ですよ。私の友人はきっと喜んでくれるはずです」

「それは良かったです」

「それにしてもグッドタイミングでしたよ。今度新しいイベントもあるみたいなので、その際に使われるであろう武器の素材がこんなに手には入るなんて。うちも儲かります」

「新イベント? なに、その情報。初耳なんだけど」


 全く知らない情報にグリムは興味津々。

 するとピジョンは意外そうな顔色を浮かべるものの、情報に疎いグリムに教えてくれた。


「今度新しいイベントがあるみたいなんですよ。二人一組で行うモンスター討伐系のイベントです」

「二人一組? ……それってかなり限定的だね」

「そうなんです。よく分かりましたね」

「ソロで活動していた期間があったからね。二人一組となると、誰を誘うかが重要になりそうだ」


 グリムはイベントの詳細がまるで分らないまま、ある程度の推測だけで問題点を見出す。

 実際のところ、公式配信でその点が触れられた。

 結果として切り上げる形で終わってしまったが、人数を絞るタイプのイベントは大型のプラットホームを持つオープンワールドなゲームでは逆に狭めてしまうのだ。

 けれどその分だけ幅を生むことも可能で、新しいイベントが始まるということは、その挑戦を応援したいとグリムは考える。


「だけど面白そうだね。モンスターを討伐するイベント。参加したいな」

「参加ですか? それでしたら誰か相方を見つけてペアを組まないといけませんね」

「そうだね。だけど私にはもう頼りになる相棒が居るから安心してよ」

「頼りになる相棒ですか? 《死神》に匹敵する相手とはいったい如何いう方なのか非常に気になりますね」


 ピジョンの口から飛び出したのは期待だけではなかった。

 あまりグリムが気に入っていない二つ名だった。


「《死神》……ですか」

「あっ、もしかしてグリムさんはあまり気に入っていないのですか? ごめんなさい。私てっきり公認しているものかと」

「そんな不名誉な呼び名を公認したりはしませんよ。だけど大丈夫だよ。私は気にしていないし、それを払拭するから」


 グリムの目がギラギラと炎に燃えていた。

 あまりの威圧感にピジョンはたじろぐ。

 体が硬直し、咆哮を喰らっていないはずなのに、声を掛けるのも恐れ多い様子だ。


「そんなに怖がらなくても、私はなにもしないよ。今のところは」

「い、今のところですか?」

「はい。それよりピジョン、今回のイベントって他には何かあるの?」

「そうですね。新モンスターが登場するかもしれませんよ」


 ワクワクするワードが飛び出した。

 グリムのギラギラした赤い瞳が、キラキラした赤い瞳になる。

 やんわりしたおかげか威圧感も解け、ピジョンも口調に優しさが浮かぶ。


「どんなモンスターだろうね」

「そうですね。例えば、昆虫型のモンスターでしょうか?」

「昆虫型? 地味だね。嫌いな人も居るんじゃないかな?」

「きっと多いはずですよ。でも、昆虫型のモンスターはメジャーではないので、新モンスターは追加しやすいはずです」


 確かに公式目線で考えたらそれも一つの手だ。

 中々面白い着眼点に感銘を受けたグリムはにやりと笑みを浮かべる。

 それにどのみち参加するんだ。どんなモンスターが出ようが楽しむのが大事だろう。


(一体どんなモンスターが出るんだろ。楽しみ)


 やはりグリムは笑みを浮かべていた。

 新しいイベントに好意的で、早速フェスタを誘ってレベル上げを頑張ることにした。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

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